地獄先生ふ〜でぃ〜

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目を覚ますと、大量の汗をかいていた。

 

私はいま、悪夢から目覚めたところだ。

どんな夢だったのかはっきりと覚えていないが、とにかく悪夢の部類に入る内容だった。

 

汗をかいている、と言ったが、この汗は悪夢によるものではない。

ヒートテックに重ねて裏起毛のフーディー(フードのついたトレーナー)を着ており、さらにフードまで目深にかぶって寝ていたせいで汗ぐっしょりになったのだ。

 

なぜこのような厚着をして寝るのかというと、我が家がコンクリートでできているからに他ならない。

 

そして、フードをかぶって寝ることにはもう一つの重要な目的がある。

 

 

久しぶりに会う友人から、

 

「顔焼けたね、外で仕事してるんだねー」

 

「どこ行ってきたんですか?海外?」

 

と、ほぼ間違いなく聞かれる。

 

もちろん、私は外へも出なければ海外へも行っていない。

外出といえば柔術の練習へしぶしぶ出かけるくらいだから、すでに夜だ。

朝や昼間など、ヘタしたらまだ寝ている。

 

それなのに、なぜこれほどまでに日焼けを指摘されるのか。

 

一日の生活を振り返り、思い当たる節が一つだけある。

そもそも、顔が黒くなる理由は紫外線。

ずっと室内にいるにもかかわらず日焼けをするのは、知らず知らずに紫外線を浴びている証拠だ。

 

つまり、

私は寝ながらにして紫外線を浴びていたのだ。

 

狭い我が家を見渡せば、コンクリートとガラスでできている。

そしてガラスにはすべて、ブラインドが設置されている。

 

うちには、カーテンなどという洒落た装飾品は存在しない。

すべてブラインドなのだ。

 

このブラインドというやつは光を通す。

反射光や散乱光も含めると、相当な量の紫外線が室内に到達している。

仕事をするのもブラインドの前、食事をするのもブラインドの前、そして睡眠をとるのもブラインドの前。

 

とどのつまりは、家に居ながらにして燦燦と降り注ぐ紫外線を、余すところなく浴びていたのだ。

 

そこで私は考えた。

 

日焼け止めを塗ろうーー

 

それから毎日、寝る前に日焼け止めを塗りたくってから寝ることにした。

朝起きて顔を洗ったら、すぐに日焼け止めを塗る。

午後、日焼け止めを塗り直す。

そして寝る前にまた、日焼け止めを塗る。

 

そんな生活を送るうちに季節は冬を迎えた。

 

冬といえば乾燥の季節。

ただでさえ乾燥肌の私が日焼け止めを塗ると、顔面がカピカピになる。

おまけに、効果があるのかないのかハッキリしない睡眠時の日焼け止めに、やや面倒くささを感じ始めた頃でもあった。

 

そこで思いついたのが、フーディーのフードを目深にかぶり紫外線をカットすること。

 

我ながら妙案。

耳や首も温められるので、極寒の我が家でも安眠が期待できる。

なお、横向きで寝るクセのある私は、上部(天井側)のフードを余分に引っ張り、鼻が隠れるほど顔を覆う。

よって、紫外線が侵入するすき間など皆無。

 

フードが外れてしまう時はさらに目深にかぶり、鼻の先だけを出してキュッとしばることで解決する。

紫外線対策がメインだが、明け方に寝る私にとっては日光を遮断する目的も果たせるので、このかぶり方は一石二鳥。

 

このように試行錯誤を重ね、室内での日焼けを防止すべく万全の体制を整えた。

 

その矢先の出来事だった

 

首から顔全体を覆う裏起毛のフードにより体温は上昇。

汗をダラダラかきながらも必死に睡眠に食らいつく私。

 

その結果、悪夢という心象現象により覚醒を余儀なくされたのだ。

 

ハァハァと口呼吸をしながらフードの紐をほどく。

おでこと首筋の汗を拭き、ペットボトルの水で喉を潤す。

 

(・・しかたない、日焼け止め塗るか)

 

午前5時半、顔に日焼け止めを塗る私。

そして再び、ベッドへと戻る。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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2件のコメント

やばい、やめてくださいよー(笑)
面白いけど危険!!

日焼け止めは365日必須ですよー
乾燥肌ならお肌に優しいのが良いですね

あ、そして
明けましておめでとうございます‼️
今年はまだコロナですけど、ちょっと落ち着いたらお会いしたいですなぁ…

色の白いは七難隠すとか言うんだろ?
なのに勝手に黒くなる私は、何をもって難を隠せばいいんだよ。

いつでも会ってやるよ😁

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