目を覚ますと、大量の汗をかいていた。
私はいま、悪夢から目覚めたところだ。
どんな夢だったのかはっきりと覚えていないが、とにかく悪夢の部類に入る内容だった。
汗をかいている、と言ったが、この汗は悪夢によるものではない。
ヒートテックに重ねて裏起毛のフーディー(フードのついたトレーナー)を着ており、さらにフードまで目深にかぶって寝ていたせいで汗ぐっしょりになったのだ。
なぜこのような厚着をして寝るのかというと、我が家がコンクリートでできているからに他ならない。
そして、フードをかぶって寝ることにはもう一つの重要な目的がある。
*
久しぶりに会う友人から、
「顔焼けたね、外で仕事してるんだねー」
「どこ行ってきたんですか?海外?」
と、ほぼ間違いなく聞かれる。
もちろん、私は外へも出なければ海外へも行っていない。
外出といえば柔術の練習へしぶしぶ出かけるくらいだから、すでに夜だ。
朝や昼間など、ヘタしたらまだ寝ている。
それなのに、なぜこれほどまでに日焼けを指摘されるのか。
一日の生活を振り返り、思い当たる節が一つだけある。
そもそも、顔が黒くなる理由は紫外線。
ずっと室内にいるにもかかわらず日焼けをするのは、知らず知らずに紫外線を浴びている証拠だ。
つまり、
私は寝ながらにして紫外線を浴びていたのだ。
狭い我が家を見渡せば、コンクリートとガラスでできている。
そしてガラスにはすべて、ブラインドが設置されている。
うちには、カーテンなどという洒落た装飾品は存在しない。
すべてブラインドなのだ。
このブラインドというやつは光を通す。
反射光や散乱光も含めると、相当な量の紫外線が室内に到達している。
仕事をするのもブラインドの前、食事をするのもブラインドの前、そして睡眠をとるのもブラインドの前。
とどのつまりは、家に居ながらにして燦燦と降り注ぐ紫外線を、余すところなく浴びていたのだ。
そこで私は考えた。
日焼け止めを塗ろうーー
それから毎日、寝る前に日焼け止めを塗りたくってから寝ることにした。
朝起きて顔を洗ったら、すぐに日焼け止めを塗る。
午後、日焼け止めを塗り直す。
そして寝る前にまた、日焼け止めを塗る。
そんな生活を送るうちに季節は冬を迎えた。
冬といえば乾燥の季節。
ただでさえ乾燥肌の私が日焼け止めを塗ると、顔面がカピカピになる。
おまけに、効果があるのかないのかハッキリしない睡眠時の日焼け止めに、やや面倒くささを感じ始めた頃でもあった。
そこで思いついたのが、フーディーのフードを目深にかぶり紫外線をカットすること。
我ながら妙案。
耳や首も温められるので、極寒の我が家でも安眠が期待できる。
なお、横向きで寝るクセのある私は、上部(天井側)のフードを余分に引っ張り、鼻が隠れるほど顔を覆う。
よって、紫外線が侵入するすき間など皆無。
フードが外れてしまう時はさらに目深にかぶり、鼻の先だけを出してキュッとしばることで解決する。
紫外線対策がメインだが、明け方に寝る私にとっては日光を遮断する目的も果たせるので、このかぶり方は一石二鳥。
このように試行錯誤を重ね、室内での日焼けを防止すべく万全の体制を整えた。
その矢先の出来事だった。
首から顔全体を覆う裏起毛のフードにより体温は上昇。
汗をダラダラかきながらも必死に睡眠に食らいつく私。
その結果、悪夢という心象現象により覚醒を余儀なくされたのだ。
ハァハァと口呼吸をしながらフードの紐をほどく。
おでこと首筋の汗を拭き、ペットボトルの水で喉を潤す。
(・・しかたない、日焼け止め塗るか)
午前5時半、顔に日焼け止めを塗る私。
そして再び、ベッドへと戻る。
Illustrated by 希鳳
やばい、やめてくださいよー(笑)
面白いけど危険!!
日焼け止めは365日必須ですよー
乾燥肌ならお肌に優しいのが良いですね
あ、そして
明けましておめでとうございます‼️
今年はまだコロナですけど、ちょっと落ち着いたらお会いしたいですなぁ…
色の白いは七難隠すとか言うんだろ?
なのに勝手に黒くなる私は、何をもって難を隠せばいいんだよ。
いつでも会ってやるよ😁