これだからアメリカ人は・・・

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数日前からアメリカにいるわたしは、本日、ブラジリアン柔術の試合に出場してきた。

そして今は、ホテルに戻って一人寂しく、スタバのアイスラテを飲んでいるところだ。

 

それにしても腹が立つ。これだからアメリカ人は信用ならないのだ。

 

わたしはさっき、このアイスラテと一緒に、バタークロワッサンとバナナブレッドを買った。そしてバタークロワッサンが入った茶色い紙袋を渡されたとき、

「バナナブレッドも頼んだんだけど」

と質問をした。すると、

「バナナブレッドも一緒に入っている」

と言われたのだ。

 

しかし紙袋を受け取ったとき、バナナブレッド分の重さが足りない気がしていた。だがもしかするとクロワッサンが軽いのかもしれないので、わざわざ袋を開けて確認するような真似はしなかったのだが。

 

ところが今となっては、なぜあのとき確認しなかったのかが悔やまれる。

やっとの思いで部屋までたどりついて、さぁバナナブレッドとコーヒーでくつろごう!と開封してみると、肝心のバナナブレッドが入っていないのだから。

 

このショックったらありゃしない。

バナナブレッドは決して安くはない。さらに美味しくいただくために、グランデサイズのブラックコーヒーを買ってきたというのに、これではこいつの行き場がないじゃないか。

とはいえ、再びスタバまで押し掛けるのも面倒なので、手持ちのクロワッサンとアイスラテのコンビで凌ぐしかないわけだ。

 

さらにもう一つ、腹の立つことがあった。

わたしが今日この部屋を出たのは午後2時過ぎ。日常的な清掃時間を過ぎていたため、わざわざ電話で掃除を頼んでおいたのだ。

それなのに、戻ってみるとそっくりそのままの状態で残っているではないか。

 

日本からキャッシュを持ってこなかったわたしが、わざわざ1ドル紙幣を用意してチップを置いたというのに。これには非常に腹が立つので、

「今すぐ掃除してくれ」

と電話を掛けた。すると向こうは悪びれる様子もなく、

「夜は掃除しません」

と言って電話を切られた。

発狂しそうな気持を抑え、わたしはアイスラテをゴクゴクと飲み干しながら思った。

 

(・・まったく、これだからアメリカ人は)

 

 

そういえば、アメリカ人つながりで面白いことがあった。

本日の試合でのこと。無差別級という体重制限のないカテゴリーに挑んだわたしだが、初戦の相手が現れなかった。

エントリーしているので、会場内のどこかにいるはず。だが何度アナウンスで呼び出しても一向に現れない。

 

あげくの果てには、スケジュール上は次の順番となる試合が先に始まり、もうすでに勝敗もついてしまったのだ。

 

(・・まさかの、不戦勝?!)

 

体力を温存できると喜んでいた矢先に、バタバタと一人の女性が走ってきた。紫色の帯を手に持っているので、間違いなく彼女だろう。

そして待機エリアに転がり込むと、大会関係者になにやら説明を始めた。

 

「無差別級は明日じゃないの?いつも明日じゃない!」

 

ずいぶん面白いことを言う人だ。そして彼女はこう続けた。

 

「明日だと思ったから、フィッシュアンドチップスとフレンチフライを、山盛りで頼んで食べてたのよ。無差別だから体重を増やさないといけないと思って」

 

そんなことを真面目な顔で説明しているわけで、あまりにお茶目な対戦相手に思わず吹き出してしまった。

 

そして5分後。揚げ物で満腹の彼女と試合をしたのだが、最後の最後まで「リバースの危険性」に神経を尖らせる試合運びとなった。

 

試合後、わたしに向かって彼女がこう話しかけてきた。

「無差別級は、明日よね?!」

試合は終わったのだが、未だに信じられない様子だった。

 

 

現在の時刻は明け方の5時。日本は夜の9時というわけで、時差ボケ知らずの生活を送っている。

 

ラスベガスのいいところといえば、ほぼすべてのホテルにカジノが設置されていること。つまり、24時間眠らないどころか大騒ぎをしているのだ。

カジノを利用しないわたしにとっても、「宿泊先のホテルが、24時間大騒ぎで素晴らしい!」と思う部分がある。それは、ホテル内のスタバが24時間営業していることだ。

 

ラスベガスで試合の度にこのホテルに泊まっているが、たしか昨年までは深夜営業はしていなかったはず。それが今年は24時間オープンということで、明け方近くにノソノソとスタバを訪れた。

 

いうまでもなく、もらいそびれたバナナブレッドをもう一度、買うか買わないかを決めるためだ。

 

ショーケースにはあのバナナブレッド何枚か横たわっている。しかし今さら、一切れ6ドルのバナナブレッドを購入する気にはなれない。

よく見れば、単なるバナナパウンドケーキじゃないか。しかもバナナの量が少ないし、パウンドケーキもパサパサしている気がする。

 

だったらこちらの、オレオマシュマロというやつのほうが珍しいし美味そうに見える。ついでに割り箸のような棒に刺さっているため、指先を汚すことなく食べられる。

 

(同じ6ドルならば、こっちにしよう)

 

こうしてわたしは明け方に、甘ったるいオレオ味のマシュマロを4本も購入したのであった。

 

無論、バナナブレッドの件がなければオレオマシュマロを買うこともなかった。

そのくらい「怒り」という感情は、人間の判断を誤った方向へ導く可能性があるわけで、腹が立っているときの買い物は控えるべきだろう。

 

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