高級ネックウォーマー(新品・未使用)が二つ、岐路に立たされている。

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二月の上旬というのは、すなわち「冬真っ盛り」と呼んでも過言ではないくらい、冬のど真ん中を担う時期だろう。イメージ的には十二月や一月が「冬」という感じではあるが、実際にいつが最も寒いのか・・と聞かれれば、一月の終わりから三月上旬くらいが「耐えがたい寒さ」に見舞われる期間なわけで。

そして三月に入ってしまうと、同じ気温(寒さ)とはいえ、日差しの柔らかさや昼間の長さが春の訪れを匂わせるため、もはや冬の心境ではいられない。そうなると、多少無理をしてでも春っぽい色合いの服装を選ぶなど、真冬の防寒着からは距離を置くようになる——そうなったら、もう終わりじゃないか!!

 

じつは、わたしには恐れていることが一つある。それは、昨年11月に購入した「オシャレネックウォーマー」を着用する日が、まだ訪れていないということだ。

 

極度の寒がりで有名なわたしは、見た目からは想像もつかないくらい寒さに弱い。むしろ、周りからウザがられるレベルのため、とにかく防寒対策に余念がない人生を送ってきたわけだが、そんなわたしは今シーズンに備えてとあるネックウォーマーを購入した。

(カシミヤか・・薄くて温かいのならば、一つ持っていてもいいだろう)

所持する冬物はいずれも黒っぽいアウターやトレーナーが多いため、「首回りは黒じゃない色がいいのではないか」との考えから、ベージュ色のカシミヤでできたネックウォーマーに目を付けた。

 

そもそも、首が太くて短いわたしは首回りに何かがあることを嫌うため、ハイネックやタートルネックといった衣服は持っていない。そんな事情からも、首が丸出しとなることを避けるべくネックウォーマーをかぶることで、アゴから鎖骨までの保温に努めよう・・という魂胆なのである。

(ちなみに、マフラーは保管の際に場所をとるからNG)

 

カシミヤ素材のベージュのネックウォーマーを確保した十一月の時点では、「寒い」というにはおこがましいくらいの暖かさだったので、極寒の到来まで静かに眠ってもらうことにしたのだが、それから少し経った頃、今度はチャコールグレーのニット素材のネックウォーマーを発見したのだ。

(持っている衣服のほとんどが黒っぽい色であるのは確かだが、チャコールグレーならば黒と合わせてもアクセントになる。ましてや、白っぽい服の際にはこのくらいダークな色合いのほうが映えるだろうし、さすがにベージュ一本・・しかもカシミヤという上品な素材では、ミリタリージャケットやファーマーズジャケットには不釣り合い。ならば、このネックウォーマーも確保しておくほうが無難ではなかろうか——)

 

というわけで、ニット素材のチャコールグレーのネックウォーマーも手に入れたわたしは、厳しい寒さに立ち向かうべく、真冬の装備を整えて”その時”を待ったのである。

 

 

あれから二カ月半が経過したわけだが、今のところネックウォーマーを着用した日は一度もない。

正直なところ、あれらはいずれも安くはなかった。むしろ一万円を超えており、高級な防寒具といえる立場にあるにもかかわらず、二月も半ばに差し掛かろうとしている時点で未だに出番がない・・というのはいかがなものだろうか。

 

もちろん、ネックウォーマーを必要とするほどの寒さではない・・というか、耐えがたい寒さを危惧するあまり、防寒に関して「重装備に頼り過ぎない」との判断(自制心)から着用を控えているのだが、もしもこのまま「まだ大丈夫、まだ大丈夫」が続いた結果、三月を迎えてしまった場合はどうすればいいのか。

さらにいうと、冬のあいだ一度もネックウォーマーに頼ることなく過ごせてしまった場合、その後の冬についてネックウォーマーは不要となるかもしれない。そうなれば、この高級ネックウォーマー×2つは、日の目を見ることなくゴミ箱へ放り込まれる運命になるのではなかろうか。

 

 

もうすでに値札は外してしまったし、返品するには遅すぎる二つのネックウォーマーを、やや忌々しい目で見下ろすわたしなのであった。

 

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