魚醤商人~ギョショー~ URABE/著
魚醤商人——そんな職業に就く日が来るとは思ってもみなかった。しかも、そのおかげで世界的に自分が知られるようになるなどとは、想像だにしないわけで。 だがオレは今、魚醤とともに世界を飛び回り各国で売りさばいてい...
魚醤商人——そんな職業に就く日が来るとは思ってもみなかった。しかも、そのおかげで世界的に自分が知られるようになるなどとは、想像だにしないわけで。 だがオレは今、魚醤とともに世界を飛び回り各国で売りさばいてい...
(・・・・・ん?) もはや「嫌な感じ」はしなかった。ややもすると、異種族間での友情が芽生えたかもしれない、そんな不思議な感情すら覚えたわけで。 * わたしは、物陰から生え出た二本...
地下鉄・有楽町線は、西武池袋線や東武東上線と繋がっているため、通勤時間帯の混雑っぷりと人身事故による遅延の多さが痛い路線である。 それでも辰巳に住むオレにとっては、有楽町線が命綱・・というか唯一の交通手段で...
オレはリュックの紐だ。紐といっても肩紐のことではない。 リュックの紐と聞けば、背負う者の肩を保護するための太くてクッションの効いた立派な肩紐が、真っ先に思い浮かぶだろう。そしていつだってアイツにばかり注目が...
今日ほど現実逃避を考えた日はない——。 まさかとは思うが、地方出張で目的地へ到着する時間に目が覚めるとは、思ってもみなかったからだ。 * オレはたしかに、朝の6時に目覚ましをセットした。しかも、携帯電話とア...
俺は自他ともに認めるズボラ人間だ。とにかく面倒くさがりで、わざわざ何かをするくらいなら何もしないほうがマシだと思っている。 その典型が料理だろう。俺の唯一無二の趣味は"食べること"ではあるが、決して料理はし...
シンデレラにガラスの靴を履かせた王子様は、こんな気持ちだったのだろうか——。 ボクは、シンデレラのしなやかな足を全身で包み込んだ。あぁ、なんと細くて美しいおみ足なんだ。 ——そしてボクは、彼女...
——私は、眠り姫にでもなったのかしら。 気が付くと深夜0時、なんと私は20時間も眠っていたらしい。アイマスクのせいで、寝ている間はずっと真っ暗闇。おかげでいつまでたっても夢の世界をさまよっていたんだ。 安眠...
(・・・おぉ) 近所のカフェで優雅にコールドブリューを味わっていたところ、ガラス張りの壁の向こうを一枚の枯れ葉が舞った。 まだ9月の半ばだが、もう秋が近づいてきたのか——。 タンクトップに短パ...
バカげた話ではあるが、俺はこの目で見たんだ。人間を殺す新聞紙が存在するということを——。 最初は単なる事故だと思っていたが、アイツは、あの新聞紙は意思を持ってターゲットを定め、静かにそして確実...
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