殺人犯(精神的に異常あり)と同じポテンシャルの私

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大学の授業で「犯罪心理学」のような講義があった。

私は基本的に楽勝科目しか選択しない。よって、この授業に出たということはこれも「楽勝」に名を連ねていたのだろう。

(何も覚えていないが)

 

そもそも授業に出ず雀荘と自宅の往復がメインだったため、大学敷地内に足を踏み入れた時はひどく新鮮に感じた。

 

夜雀荘(バイト)→朝帰宅(その前に一風堂でラーメン)

起きたらまた雀荘(バイト)→朝帰宅

 

この繰り返しで学生生活が成り立っていた。

 

その結果、学業での知識より盲牌(モーパイ)のテクニックが上達した。そして盲牌のおかげで日本財団への就職が決まった

学生時代に習得した経験を活かして社会人のスタートを手に入れたことは、私の大学生活は間違っていなかったということだろうか。

 

 

――授業のはなしに戻る。

その講義は人気らしく、大教室に100人ほどの学生がギュウギュウ詰めになっている。友達のいない私は、3人掛けの真ん中の適当な席に座った。

 

講師は精神科医で、過去に精神鑑定の鑑定人をしていたそう。

精神鑑定のなかでも有名なのは「刑事責任能力鑑定」だ。この鑑定は、刑事事件の被告人に責任能力があるのかを、裁判官・裁判員が判断するときの参考資料として用いられる。

 

講師が話す過去の仕事や精神鑑定の様子を聞きながらも、私は手元のテスト用紙が気になって仕方ない。薄っすら見えるタイトルから、それが実際に使われた心理テストであることは明らか。

 

精神鑑定で使われる心理テストと言えば「ロールシャッハ法」が有名。インクの染みの模様からどんな回答をするのかで、その人の深層心理が見えるというもの。

「何々に見える」と答えたからどうのではない。その答え方に判定要素がある。ロールシャッハテストは、いわゆる統計データから人格を分析するもの。よって、必ずしもその人の人間性や深層心理を決定づけるものではない。

 

正直、私はこの手のテストを「くだらない」と思っており、そんな統計ごときで判定されてたまるか、とも思っている。

だいたい科学的根拠に乏しすぎる。臨床的な見地からは意味のある部分もあると思うが、「私」をそのフレーム内で判断されるのはまっぴらごめんだ。

 

 

しかし単位のためには(くだらない)テストを提出しなければならない。

一通りロールシャッハテストなどをやらされた後、最後のページに「白い紙」が付いていた。そして講師が話し始める。

 

「そこへ木を描いてください、自由に描いてください」

 

今思うと、あれは「バウムテスト」だったのだろう。

バウムテスト(Baumtest)は、1945年スイスの心理学者カール・コッホが考案した、描画による投影法のパーソナリティ検査。空間象徴理論に基づき、完成画から精神状態やパーソナリティを査定するらしい。

 

バウムテストの方法としては、

「一本の実のなる木を描いてください」

それだけだ。

 

しかし、あの時、

「一本」

「果実」

というワードがあったかどうか、今となっては定かではない。ただ、私のイメージはあの時のまま鮮明に残っている。

 

ーー広大な大地にそびえたつ一本の立派な大木。

太く波打つ根っこは地面から隆起し、そのまま幹へと繋がっている。

ゴツゴツと捲れ上がった樹皮を従えた大木の幹はまるで御神木の装いだ。

それを伝い視線を上に向けると、空すらも隠すほどに鬱蒼と生い茂った枝や葉が私の頭上を覆っている。

枝の先には、とても美味そうな、巨大でみずみずしい果実がたわわに実っている。

美しい桜のような花すら咲いている。

 

 

この壮大なスケールの樹木をA4の白紙へ描いた。今回、あの時に描いた「木」を再現してみた。我ながらよく描けてると思う。

私が描くと、こうなる。A4フルに使っての超大作だ。

 

これは、前述した「一本の立派な大木」だ。

果実は実り花も咲いている。

太い根もあり空は青々と広がる。

 

そして幹のイメージは「桜の木」だ。

ゴツゴツとした雄々しい桜の幹。

しかしその風貌からは想像もつかなないやわらかなピンク色は、幹である樹皮から採取される。桜色は花からとれるのではない、黒々とした樹皮からとれるのだ。

 

そんなことを思い浮かべながら、幹の立体感を重要視しつつ見事に描き上げた。

 

 

答案用紙が回収され、講師がパラパラと目を通す。そして雑感を述べて授業が終わろうとしたとき、

 

「最後に一つ、珍しい絵がありましたのでお見せします。これには非常に驚きました」

 

そう言いながらプロジェクターに映し出されたのは、私の絵。

 

「私が過去に担当した精神鑑定で、某被告人に実施したテストでもあるのですが、これはその当時、被告人が描いた絵とまったく同じです」

 

(ザワザワ・・・)

 

なんと、私は日本で2人目らしい。

ちなみにその被告人とは、宮××。

 

 

このテストだけで一概に、私が異常であるとか残虐性を帯びているとか、そういう結論には至らない。私は言われたとおりに木を描いただけ。しかも、自分としてはかなり満足のいく出来に仕上げたつもりで。

 

私は普通だ。

メンタルも好調だ。

フィジカルは絶好調だ。

 

 

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4件のコメント

ゾッとしましたね…
でも一例しか無ければ統計的な意味は乏しいですよね?

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