買う側ももらう側も悩みの種となる、海外土産の解決策

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帰国が近くなった際の悩みの種といえば、やはり土産選びだろう。わたしのように、食べ物・・とくに甘い菓子ならばなんでも喜ぶ単純なニンゲンならばまだしも、ある程度ちゃんとした関係性の人への土産というのは本当に難しい。

はっきり言って、もらっても嬉しくないものなど要らないはず。「日本で売ってたら絶対に買わないけど、わざわざアメリカで買ってきてくれたんだから喜んで受け取っておこう・・」という気を使わせた結果、土産をあげたほうももらったほうも、無駄で不毛な儀式を行っただけとなる。

 

たとえば「大谷君のグッズを買ってきて」というように、アメリカならではの商品をリクエストされたならば、それはもう簡単である。オオタニグッズなど空港で山ほど売られているわけで、カードの残高だけを気にしておけばいいのだから。

ところが、ほとんどの場合はリクエストを求めても「大丈夫だよ、土産話を聞かせてもらえればそれで充分」などと、まるでいい人ぶるから困るのだ。こういう時はハッキリと指定してくれたほうが、こちらが救われるということを理解してもらいたい。

わたしなど常日頃からニンゲンはトウモロコシから出来たといわれているが、わたしは抹茶でできている」と宣言しているため、いつどこへ行っても抹茶の緑色が目に入れば「URABEに買ってやろう・・」と、無意識に財布を開くシステムが出来上がっている。そのため、友人がパリ旅行へ行った際に"チューブに入った抹茶チョコレートっぽい歯磨き粉"を買ってきてくれたときも、これで歯を磨きたいとは思わなかったが、抹茶イコールURABE・・という紐づけの、強固たるやを確信したのである。

 

さらに、土産品として売られている物の多くは、大体が大したことのない商品だから困るのだ。たとえば、冷蔵庫に貼りつける以外に使い道のないマグネットや、中学生ならばリュックに付けてくれるであろう「I LOVE N.Y」的なキーホルダー、そして自宅にはお気に入りが絶対にあるであろうご当地マグカップなどなど、もらっても処分に困るラインナップで陳列されているから厄介なのだ。

こうなると、海外土産として優秀なのはハワイ土産ということになる。ハワイといえばマカダミアナッツ・・というくらいに、マカダミアナッツのまわりをブラックチョコレートで包んだ「アレ」を買っておけば、ほぼ間違いないからだ。おまけにアレは美味い。北海道土産でROYCE’(ロイズ)のチョコをもらうよりも嬉しいのは、わたしだけだろうか——。

 

ならば菓子のような食べ物を土産として買って帰ればいいわけだが、東京バナナや六花亭のホワイトチョコレートのように、自分用としても購入したいくらいに美味い菓子というのは、なかなか探せないのが現実である。おまけに、値段が高すぎてもちょっと困ってしまうわけで。

ましてや、日本の菓子よりも美味い菓子など存在しないわけで、だったら日本で菓子を買って渡したほうが——あ、いいこと思いついた!!!

 

渡米前にわたしは、ラスベガスに住む友人用に"抹茶味の巨大ポッキー"を買ったことを思い出した。そしてそれは、未だにスーツケースの奥で静かに眠り続けていることに気がついた。

(・・ということは、これをそのまま持ち帰れば「アメリカ本土を踏んだ、<だが、日本で購入した>抹茶ポッキー」ということになるわけで、これは立派な「アメリカ土産」といっても嘘ではないだろう)

——完璧だ。

 

日本の菓子はなんだって美味い。そして巨大ポッキーといえば土産物としては常連である。ましてやアメリカを往復した巨大ポッキーなど、そう手に入るものではない。

なんせ、高度何万メートルを飛んで太平洋を渡り、乾燥気候の砂漠地帯で40度の高温に晒され、手荒く放り投げられたスーツケースの中で痛みに耐えたポッキーなのだから、これこそが過酷なアメリカ旅行を凝縮させた、最高の土産品といえるだろう。

 

 

というわけで、「わたしが食べてしまわなければ」という条件付きではあるが、日本で購入したジャンボ抹茶ポッキーが、わたしからのアメリカ土産となる模様である。

 

llustrated by おおとりのぞみ

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