わたしとしてはただ単に愚痴をこぼしたかっただけで、自虐的かつ若干のカタルシス効果を狙った程度の発言だったはずが、まさかの言ったそばから現実になるとは「言霊のチカラ」というやつは恐ろしい。
そう、二日前に「高級ネックウォーマーを二つ購入したはいいが、まだ一度も使う機会がないまま冬が終わろうとしている」という、不満というか憤りを感じている心境を吐露したところ、その日の外出時にさっそくネックウォーマーを巻く・・という緊急事態に陥ったのである。
もちろん、事前に天気予報を確認したわけでもなく、なんなら数日前から周りへもこぼしていたわけで、まさか本気の冬が来るなどとは微塵も思っていなかった。それでも、愚痴をこぼした数時間後にそれが実現したのだから、「やはり願い事は口にするべきだ」と、改めて神の存在に恐れ戦くのであった。
そんなわたしは、気を抜けば瞳孔が開いてしまうような寒さに直面し、喜び勇んでネックウォーマーをかぶったはいいが、当然ながらそんなもので寒さを凌げるはずもなかった。
無論、首元を温めるのと温めないのとでは雲泥の差があるし、もしもネックウォーマーなしで外へ出たならば、極度の寒がりであるわたしはリアルにフリーズしたに違いない。だが、念願のネックウォーマーの活躍も虚しく、自宅から最寄り駅までのわずかな道のりが、シベリア抑留を彷彿とさせるいばらの道となったことは言うまでもない。
そして昨日、これまた外出するには覚悟が必要となる寒さに見舞われたが、そんな時に限って人と会う予定があり、外気に触れざるを得ない状況を強いられた。それでもなんとか気持ちを奮い立たせて行動を起こしたわけだが、極寒三日目となる今日——現在時刻午前5時のわたしの装いはというと、上半身はロンティー、裏起毛のフーディー、フリースのプルオーバーという、まるでそのまま外出できそうな重装備。そして、下半身はユニクロの暖パンにヤクの靴下、モコモコのぬいぐるみスリッパという、こちらも完全なる防寒対策を施した状態であるにもかかわらず、さらに股の間にはセラミックヒーターを抱えている・・という、いったいどんな冷暗所に監禁されているのか問いただしたくなるほどの「暖の取り方」である。
——念のため、ここは温暖湿潤気候に属する日本国・東京都であり、室内のエアコンは当然ながらフル稼働。それでも、我が家の欠陥というか特徴というか、コンクリートとガラスとアルミサッシで作られた要塞(自宅)は夏の暑さと冬の寒さを助長するため、冬場はこのような「防寒対策」を施さなければ暮らしていけないのである。
外の気温はマイナス1度。わたしが家を出る頃には0度の予報だが、いずれにせよ冷蔵庫よりも冷えた空間へ身を晒さなければならず、もはやネックウォーマー云々の問題ではない。
わずか数日前、まるで己に寒さの耐性がついたかのような、凄まじい勘違いに浮かれていた自分が痛々しい。周りは「寒い寒い」と言っていたが、わたしはネックウォーマーすら巻かずに闊歩できていたため、つい調子に乗ってしまったのだ。
そして、迂闊にも軽はずみな発言をしたことで、冬将軍の逆鱗に触れたのだろう——見よ、このとんでもない寒さを!!
セラミックヒーターは一時間で30~40円の電気代がかかるが、我が家でデスクに向かっている際は常にセラミックヒーターを股の間に挟んでいるため、一日あたり200円~500円の電気代が発生している。それが一カ月となると・・一人暮らしの狭いマンションであるにもかかわらず、電気代が二万円を超える理由はここにあった。
とはいえ、エアコンは天井部分しか暖められないため、床付近の温度は外気さながらという我が家において、セラミックヒーターを併用しなければ生活などできない。だからこそ、冬場の電気代の高騰には目をつむるしかないのだが、そんなわたしの一番の恐怖は「着替え」だった。
あと少しで外出のために着替えを敢行しなければならないが、リアルにすきま風が吹きこむこの部屋において、いったいどうやって全裸になれというのか——。
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想像するだけで生命活動が停止しそうな、絶望的な状況に震える(掛詞)わたしなのであった。





















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