常習犯による「遅刻フラグ」解説

 

(とにかく、わたしのことは甘やかさないでもらいたい。それ以外に方法はないのだから!!)

足早に目的地へ向かいながら、心の中でそう強く叫ぶわたし。厳密には遅刻ではないのだが、13時半には到着するつもりだったところ、現在時刻が13時32分であることに焦りと苛立ちを覚えるのであった。

 

事の発端は、待ち合わせをしている友人からのLINEだ。

当初は「13時半から仕事を始めたいから、少し早めに来てもらえるとありがたい」ということで、わたしの方から「じゃあ10分早めの、13時20分に到着するように行くね」と伝えた。

この時点ではなんら問題はないというか、逆算すると13時15分に家を出れば目的地へ定刻にたどり着ける——そう、近所での待ち合わせのため、移動手段となる交通機関の遅延など、遅刻の原因となりうるトラブルの心配がないので、わたしとしては身構えることも恐れることもなかった。

 

ところが、当日の朝に友人からこんなLINEが届いたのだ。

「後半の予定をずらせたので、13時40分くらいまでに来てもらえれば大丈夫」

当初13時半開始予定だったものを、10分遅らせる程度の些細な変更であるにもかかわらず、なぜ友人は「あえて」伝えてきたのかというと、多忙であろうわたしを気遣いプレッシャーをかけないように・・と、時間に余裕を持たせる配慮をしてくれた模様。

そして、このメッセージを読んだ瞬間「やった!到着が20分も遅くなった」と喜ぶわたし——この時点で間違っているだろう。たしかに、タイムリミットは延びたかもしれないが、なにも「その時間に来てくれ」と言われているわけじゃない。つまり、本来の待ち合わせ時間である13時半に着けばいいわけで、なんなら13時20分だって構わないのだ。

 

それなのに、遅刻常習者の脳内では「タイムリミットが延びたということは、変更後の時間に到着すればいい・・すなわち余裕ができたのだ!」と認識されるため、自ら遅刻の可能性を助長するのだ。

 

そして案の定、出発時刻が延びたことで時間ができたわたしは、よせばいいのに余計な行動を思いついた。

(よし、時間ができたからシャワーを浴びて、身を清めてから向かおう!)

 

直前になってこのような行動に出ることは、すなわち「遅刻フラグ」が立つことを意味する。

もちろん、わたしは遅刻をする気はないし、まさか遅刻をするとは微塵も思っていない。だが、たかが10分余裕ができたからといってシャワーを浴びるのは、客観的に考えればリスクでしかない。たしかに、シャワーを浴びる時間だけならば10分はかからないが、体を拭いたり髪を乾かしたりすれば、あっという間に5分は過ぎるわけで——。

このように「シャワーを浴びる」という行動に付随する行為まで計算に入れていないわたしは、短絡的に「余計な行動」を追加した結果、出発時刻までに準備が整わず遅刻をするのであった。

 

だが、さすがにわたしもそこまで愚かではない。数え切れないほどの遅刻フラグを立ててきた過去の教訓からも、今回のシャワーに余裕がないことくらい理解している。だからこそ、急いでシャワーを浴びるのだ!!

——要するに、ここで「シャワーを浴びない」という選択肢が挙がらない時点で、遅刻の可能性が濃厚となっていることに気づいていないのが問題。普通に考えたら、よほどの理由がない限り「10分余裕ができたからシャワーを浴びる」とはならない。よくよく考えれば「たかが10分」であり、そこまで十分な余裕とはいえないからだ。

それこそ、念入りに歯磨きをしたりSNSを流し見したりすれば、10分などあっという間に過ぎてしまう。逆にいえば、10分の余裕ができたからといって、何か新しいことをやろうとするほうが無理がある。

それなのにわたしは・・・。

 

だからこそ思うのだ。仮に時間的な余裕が生まれたとしても、わたしにそれを伝えないでもらいたい。それこそ「良かれ」と思ってわたしを気遣う必要などないどころか、そもそもの待ち合わせ時間すらも、10分早めに設定してもらえると助かるのだ。

一般的には、待ち合わせ時刻ピッタリに登場するというより、「相手を待つ」くらいのスタンスが望ましいとされる。しかしながら、わたしにその感覚は備わっていないため、待ち合わせを決める時点であえて10分早めの「デッドライン」を設定してもらえると、仮に遅刻したとしても結果的に遅刻にならない・・という保険になる。

とにもかくにも、これ以上わたしを甘やかさないでもらいたい!!

 

——などと他人任せの責任転嫁を唱えながら、それでも走ることはせずに急ぎ足で友人の元へと向かう、遅刻常習者(わたし)なのであった。

 

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