交差点で平然と口から血をたれ流すオンナ

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同級生の姉はめちゃくちゃ美人。

もちろん同級生も美人で、ミス●●の最有力候補に挙がった。

 

しかし、

 

「アタシそういうバカなイベントに興味ない」

 

と、美人らしいセリフを吐き捨てて辞退した。

 

その姉、妹以上に美人で頭もいい。

歯科大学を首席で卒業した才媛だ。

 

顔もいいしスタイルもいい、ついでに運動神経もいい。

雰囲気も美人で服装もオシャレ。

唯一悪いところと言えば、

・・・・・性格

 

いや、それは人それぞれ個性というものがあるわけで、性格が良い悪いは相性のようなものであるわけで、自分と合わないから性格が悪いというのはいささか乱暴ともとれるため。

(以下、省略。)

 

そんな小悪魔が、港区の一等地にデンタルクリニックをオープンさせた。

 

 

私は美人好きなので、早速、小悪魔のところへ通い始めた。

親知らずが4本生えている私の耳元で、小悪魔が

 

「抜いちゃえ」

 

と囁く。

 

よし、抜いてみよう!と親知らずを抜くことをその場で決意。

 

親知らずの抜歯、普通は片側ずつ抜くらしい。

抜歯後の痛みで食べ物が噛めないと困るため、片側は残して生活に支障が出ないようにするらしい。

 

しかし小悪魔は囁いた。

 

「4本いっちゃえば?」

 

私はとにかくめんどくさがり。

とくに歯医者は、何度も通わないといけないので好きじゃない。

 

そんな私を熟知している小悪魔は、私を思って素晴らしい提案をしてくれたのだ。

 

一発で終わるなら、その後不便が生じてもそっちのほうがマシーー

 

そして前代未聞の親知らず4本抜歯オペが始まった。

 

 

私は類稀にみる麻酔が効かない体質。

過去のオペでも「全然痛いよ」と思いながら我慢したことが何度もある。

 

今回は通常の4倍の麻酔を打ってスタートした。

 

小悪魔「痛かったら手上げてね」

 

私「んが!(挙手)」

 

小悪魔(無視)

 

私「んがーー!!!(挙手)」

 

小悪魔「我慢して」

 

私「・・・・」

 

ギシギシと大木を引っこ抜くような音が頭蓋骨から伝わってくる。

そしてあっという間に、4本の親知らずが旅立って行った。

 

私も小悪魔も無事オペが終わりニッコリ。

友人と待ち合わせをしている私は「またねー!」と、上機嫌でクリニックを後にした。

 

 

その直後に事件が起きるとも知らずに。

 

 

事件はクリニック近くの交差点で起きた。

 

私は美人でもスタイルが良いわけでも(ある意味、特徴的なフォルムではあるが)なんでもない。

少なくとも、私自身はそう思っている。

 

ところが、オフィス街ど真ん中の交差点で信号待ちをしていると、全員が全員、目をまん丸く見開いて私を見る。

そして私の周りから人が消える。

 

ーーえ?なんで?

まさか親知らず抜いてカワイくなった?

 

照れる私はうつむいた。

 

ソ ノ ト キ、

 

私の足元に真っ赤な水たまりができていた。

 

一瞬では何が起きているのか理解できない。

 

(どこから来ているんだ、この大量の血液は?)

 

私の足やズボンには血が付いていない。

視線を上にずらしTシャツの腹辺りを見ると、なんと真っ赤。

 

マ サ カ

 

その大量の血液は私の口から垂れて、いや、流れ出ていた。

抜歯による大量の血液がヨダレと相まって、流しソーメンくらいの勢いで口からあふれ出ている。

 

通常の4倍の麻酔を打ったせいで顔面の感覚が消え、口が開きっぱなしだったのだ。

 

私は慌てて、手でアゴを押さえて口を閉じた。

手をはなすとガクッとアゴが落ちて、口から血がドボドボ流れ出る。

想像するに、いっこく堂の人形のような口だろう。

 

そりゃ、虎ノ門のビジネスパーソンたちも驚くはずだ。

口から大量の血を流して平気な顔して信号待ちしてるオンナがいたら。

 

信号が変わるとダッシュで渡り、その勢いで電車に飛び乗った。

そして血だらけのTシャツのまま友人と落ち合った。

 

「なにそれ、ウケるんだけど!」

 

友人は心配するどころか笑い転げている。

そう、雑な扱いをされる私。

 

麻酔が切れるまでの間アイスを舐めながら時間をつぶし、感覚が戻ってからステーキをほおばった。

大きな4つのクレーター(抜歯後の穴)が気になるが、ステーキは問題なく美味かった。

 

なぜステーキか?

大量に出血しているから、肉でも食べて精をつけようという友人の配慮らしい。

 

4本抜歯をしたが、私は痛みも不便も感じなかった。

結果、一気に抜いてよかった。

 

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