※閲覧注意※ 人間塾 URABE/著
私は都内で塾を営む、バツイチ四十代の男である。 だが塾と言っても学習塾ではない。男塾の現代版のようなもので、立派な社会人を養成するための「人間塾」を開いているのだ。 なに、大したことは教えてい...
私は都内で塾を営む、バツイチ四十代の男である。 だが塾と言っても学習塾ではない。男塾の現代版のようなもので、立派な社会人を養成するための「人間塾」を開いているのだ。 なに、大したことは教えてい...
(チッ、しみる) シャワーの湯が、オレのくるぶしのちょっと前にある擦り傷にかかった。擦り傷ってやつは、どうしてこうも沁みるんだ。切り傷は一瞬、ツキンと刺すような痛みで終わる。だが擦り傷はジンジ...
いつものごとくペーパーワークをするために、近所のスタバへ足を運んだ。偶然にも窓際があいていたので、ラップトップで席取りをするとコーヒーの注文にレジへと向かう。 スタバに限らずカフェのいいところは、焙煎された...
私の目の前にいる、大のおとなのオトコがあたふたとうろたえている。わずか数ミリの蚊の存在に、恐れおののいているのだ。 普段のあの勢いはどこへいった?強者の象徴のようなオトコが、刺されたところで何ら影響のない蚊...
突然だが、私は喪服だ。 ひとり一着は持っていなければならない、究極のマストアイテムである喪服。制服の学校に通う生徒ならばいざ知らず、いい歳した大人が喪服の一つも持っていなければ、笑い者どころか常識知らずの恥...
(オレはもう二度と、遅刻などしないだろう) そんな確信に近い手ごたえをひしひしと感じた。JR中野駅から数百メートルほど離れた道端で、オレは小さくガッツポーズをした。 * &nbs...
東京は摩訶不思議な都市だ。なかでも新宿は魔界である。 * 大学入学と同時に静岡から上京してきた俺は、都内の外国語スクールに就職して7年が過ぎる。人付き合いが得意なほうではないため、飲みに誘われても断り続けた...
見た目さえよければそれでイイ――そんな妄想が通用するのは、十代の若者だけじゃ。この世にはびこるモノのほとんどは、意味や価値そして役割がある。決して見た目なんかで製品の価値は変わらない。ちゃあんと適材適所で使...
毎日顔を合わせていると、気がつかない変化というものはある。とくに男は、女の髪型やメイクが変わったことなど気づきもしない。毎朝顔を合わせる妹でさえ、髪染めただのグロス変えただのいわれても、分かるはずがない。興...
遅刻をしない風景って、どんな感じなんだろう――。 ここ何か月、いや、何年も何十年も考え続けたことだった。私はADHD(注意欠如多動症)を抱えながら生きている。今でこそADHDは一般的な病気として認知されてい...
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