常習犯 URABE/著
全身から血の気は引くし、手の震えも止まらない。心臓のバクバクもおさまらない。とにかく、どうしたらこんなことが起きるのかアタシには理解できなかった。 今日こそは遅刻をしないようにと、4時間も早く...
全身から血の気は引くし、手の震えも止まらない。心臓のバクバクもおさまらない。とにかく、どうしたらこんなことが起きるのかアタシには理解できなかった。 今日こそは遅刻をしないようにと、4時間も早く...
口寂しい夜中のお供といえば、言わずもがなミックスナッツだ。健康志向の奴らは無塩ナッツを選びがちだが、あんなの気休めだ。どうせチビチビナッツをかじるなら、思い切って好みの味を買った方が精神衛生上良い。過酷な減...
昨日、オレは久しぶりに衣装ケースから引っ張り出された。何か月ぶりだろうか。ヘタすると一年ぶりくらいか。あぁ、やはりシャバの空気はうまい。 体質的に冬場の出番が多いオレ。というか「主」が寒い時期にしかオレを履...
俺はアイツのことを、畏敬の念を込めてこう呼んでいる。 「スーパーザコ」 単語として良い響きではない。だがたとえばサッカーなどの「スーパーサブ」を思い出してもらいたい。単なるサブは控え選手を指すが、スーパーサ...
食い意地を張ってるとか、そういう次元の話ではない。憧れのマドンナお手製のクッキーが、ラスト一枚残っているのだ。俺はたしかに一枚食った。だが他のやつらも全員、一枚ずつ取ったはず。ということは、この一枚は誰のも...
アタシは呪われている。なぜなら、気付くといつも「アノ音」に襲われるから。ほら、今だって遠くから聞こえてきた。 トントンツトトン、ツトトン、ツトトン いよいよ限界。このままでは本当...
今日オレは派手な衝突事故を起こした。正確にはオレが起こしたわけではない、オレの主が勝手に衝突したのだ。コイツはどうも落ち着きがないというか、周囲を確認せずに突っ込むクセがあるので、前々から用心していたがとう...
結局、この島を左右するのは、アタシたち派遣社員なのよ――。 アスカは、ヌラヌラと輝くピンクのグロスを塗りながらそうつぶやいた。彼女は某メガバンクで働く派遣社員。27歳にして銀行の裏も表も知り尽くす、スーパー...
現代をサバイブできるのは、この私だ――。 そう確信したのは今朝のことだった。朝5時、そろそろ寝ようとトイレに行き手を洗おうとしたところ、バスンッという音とともに水が止まった。 (あぁ、断水か)...
いつぶりだろうか。電車で立ちながら夢を見るほど眠ったのは――。 地下鉄・有楽町線に乗りこんだ私は、座席が空いていないことを確認するとドアにもたれかかった。大きなリュックを背負っているため、お辞...
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