大預言 URABE/著
私は幼いころから、第六感が冴えている。 霊が見えるのとは違って、いわゆる「虫の知らせ」とか「なんとなく感じる」とか、そういうことが多かった。 その「なんとなく」を、口にすることもあればしないこ...
私は幼いころから、第六感が冴えている。 霊が見えるのとは違って、いわゆる「虫の知らせ」とか「なんとなく感じる」とか、そういうことが多かった。 その「なんとなく」を、口にすることもあればしないこ...
攻撃的な鮮やかさの青空と、鬱陶しいほどの圧力を放つ太陽が、わたしの視界の自由を奪い進路を妨げる。 * いよいよ夏本番。 容赦なく突きつけられる真夏の洗礼とやらに、わたしはただ立ち...
——ウソでしょ。そこまでゴツくなったと言うの?? 告別式へ向かうため、数年ぶりにワンピースタイプの喪服をかぶったところ、胸あたりで頭と腕が詰まり、窒息しかけた。発狂のあまり私は、布を破る勢いで...
人ひとりがようやく歩けるほどの狭い通路を進む。足取りは重く、憂鬱な気分は増すばかり。 前を歩くは作業服のオッサン。くたびれた古いリュックが肩からずり落ちかけている。 「残りの人生、夢も希望もあ...
かあちゃんはオレがまだ赤ん坊のころ、理由もなく殺された。卑劣極まりない残酷な殺され方をしたらしい。あえて死因を挙げるならば「圧死」だろう。かあちゃんはどれほど痛い思いをしたのか。考えるだけで怒りと涙があふれ...
なんだろう、透明なグラスに注がれた水をゆらゆらと漂う、墨の残骸のようなヒモは。 ときに目の前へ泰然と現れたかと思うと、目玉を動かせばサッとどこかへ消えてしまう、素早さと意地悪さを持ち合わせている。 &nbs...
よく「作品には作家らしさが出る」というが、とくに食べ物はその傾向にある。 俺が「あの女(ヒト)」を強く感じたのは、冷えた餃子を食べたときだった。 焼きたてどころか冷蔵庫で一日寝かせ、冷たくちん...
オッス!オラバナナ! しかもまだ青いバナナだ。 おっと。青いってオマエ緑じゃん!なんて野暮なこと言うなよ。ここ日本では平安時代末期までは緑のことを「青」って呼んでたんだ。 どうやら古代には色は...
事の発端は、イタリアンレストランでボンゴレ・ビアンコを食べたとき。 大ぶりなアサリとジューシーな貝の出汁(だし)で彩られたアルデンテを、アタシは一人楽しんでいた。 ーーバケット頼んで、アサリの出汁つけて食べ...
ブヨブヨの抜け殻のようなこの感触、まるで晩白柚(ばんぺいゆ)の皮だなーー。 晩白柚とは、直径およそ20センチ、重さ2.5キロもあるバカでかい柑橘類。あれを食べ終わったあとに残る巨大な皮と、この弾力は似ている...
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