とぼけるスライスチーズ

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貧乏になって初めて知ること、というのは想像以上に多い。貧乏になって「思い知ること」というのも当然あるが、そうではなくて生活の知恵として得るものが多い、という意味だ。

清貧生活を継続しているわたしは、ウーバーイーツに手を出しかけたが引っ込めた。そして本日も見事に自炊を敢行した。

 

わたしの得意料理はレンジを使った調理だが、そこへプラスして「包丁を使わない」という要素も加わる。極論をいうと皿や箸も使いたくはないが、レンジへ入れる際にどうしても皿が必要な場合は、やむなく食器棚から引っ張り出して食材を載せる。

「皿を使わずにレンジが使えるのか?」

という質問が飛んできそうだが、答えはYesだ。中でも得意とするサツマイモやトウモロコシ料理に関しては、買ってきたらそのままレンジへ放り込んで、サツマイモならオーブンのボタンを、トウモロコシならレンジのボタンを押せば完璧に仕上がる。

「トウモロコシはラップに包まないの?」

当たり前だ。トウモロコシのひげくらいは毟(むし)ってもいいが、皮をむくなど言語道断。さらにラップのような余計なものを巻く必要などまったくない。トウモロコシのありのままの姿でレンジへ寝かせ、4分も加熱すれば歯ごたえのあるみずみずしいトウモロコシの出来上がりだ。

 

食物の皮というのはとにかく万能だ、ということを思い知らされる。これも貧乏だからこそ、ウーバーイーツなど注文できないからこそ知り得た知識といえる。

くれぐれも、サランラップ®などの食品用ラップフィルムは巻かずに、トウモロコシの皮で勝負させてあげてほしい――。

 

ということで本日の食材は玉ねぎ。こちらも、御多分に漏れず皮つき食材の代表選手であるが、一つだけ難点がある。それは、時と場合によっては爆発するということだ。

レンジで5分ほど加熱していると、小さな破裂音とともに玉ねぎの破片がレンジのドアにへばりつき、中の様子が見えなくなることがある。かれこれ20回ほど玉ねぎを丸ごとレンチンしているが、大爆発が1回と小爆発が3回ほど起きている。勝手な推測だが、新鮮な玉ねぎだと薄皮がしっかりと密着しているため、加熱により中の水分が膨張しギュウギュウ状態となり、爆発するのではないか――と考える。よって、フォークなどで玉ねぎに穴をあけておけば、爆発は防げるものと思われる。

とはいえそんな手間をかけるならば、もっとまともな調理をするはずなので、わたしは決して穴などあけずにレンジへ放り込むのだが。

 

ところが本日の玉ねぎは、同じ「丸ごと」でも普段のものとは違う。どこが違うのかというと、すでに皮をむいた状態で真空包装されているのだ。これならば皮をむく手間も省けるしゴミも少なくて済む。

と、そこでわたしは閃いた。この丸裸の玉ねぎにラップをかけてチンするくらいなら、ラップの代わりにアレをのっけてやろう――。

 

ガサゴソと冷蔵庫から取り出したるは、とろけるスライスチーズ。こいつを玉ねぎにかけてやれば、とろっとシャレたホットオニオンが完成するはず。しかも本日の我が家にはポン酢という最強兵器がある。

先日、調味料が何もないと告白したところ、外資系企業に勤める料理上手の友人からこのようなメールが送られてきた。

お世話になっております。

塩よりも先に醤油を買うことをお勧めします。私のおすすめはこの4つ。

くまさんチーム

・エクストラバージンオリーブオイル

・バター(マーガリンではない)

おさるさんチーム

・醤油

・ポン酢(なんでもよい)

くまさんチームとおさるさんチームのどれか1つを組み合わせるだけで、たいていのものはおいしくできます!

なぜ「クマ」と「サル」なのかというところに疑問符がつくが、分かりやすくカテゴライズしてくれた結果だろうから触れないでおこう。それよりなにより4種類というのは、わたしにとっては多すぎる。だが幸いなことに、貰い物のオリーブオイルがあるため、「サル」のどちらかを買えば組み合わせが完成する。よって、ポン酢を選んだのだ。

なぜならポン酢は、豚しゃぶにおいて必要不可欠な調味料だからである。これさえあれば、今後は豚バラを買ってきてレンチンすれば、いつでも豚しゃぶにありつけるではないか!

 

というわけで、丸ごと玉ねぎにオリーブオイルとポン酢をダクダクと注ぎ、最後にとろけるスライスチーズをしんなりとかけた。まるで眠りについたばかりの赤子に、そっと布団をかぶせるかのように――。

ちなみにチーズ1枚では玉ねぎをしっかりと覆うことができなかったので、合計3枚を使って完全に包囲してやった。

(玉ねぎがホロホロになるまで、じっくり熱を通してやろう)

こうしてレンジのタイマーを10分にセットし、とろ~り熱々の「チーズホットオニオン」の完成を待った。

 

――10分後。

玉ねぎに異変が起きている。いや、玉ねぎではなくチーズのほうに異変が起きている。なんと、跡形もなく消え去っているのだ。

玉ねぎはホクホクしっとりで甘みもあるが、一口食べても二口食べてもチーズの風味がまったくしない。玉ねぎをどかしても、当然ながらチーズの姿は見当たらない。

 

(3枚も重ねておいたチーズが消えるとは・・・)

 

さっそく、こういった場合におなじみの主婦の友人へメッセージを送る。すると、

「チーズは油脂だから、長時間の加熱で分離したんじゃない?」

という非常に的を射た回答をもらう。なるほど、理解できた。だがたとえばピザトーストなどは、パンの上にとろけるチーズをのせて、焦げ目がつくほど焼いても消えずに存在している。トースターのほうが熱くないというのか――?。

 

とりあえず、チーズはレンジとの相性が悪いということを覚えた。次回は玉ねぎの上にとろけるスライスチーズをのせて、オーブンで焼いてみようと思う。

 

サムネイル by 希鳳

 

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