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クレー射撃の難しさは、クレー(皿)が割れないとか、Aクラスになれないとか、そういう部分ではない。

何よりも、射撃をするのに金がかかりすぎることだ。

 

都内に射撃場はないので、千葉県の成田空港近くにある射撃場か、神奈川の山奥にある射撃場か、埼玉県の吉見百穴(古墳時代の墓群)の近くにある射撃場まで行かなければならない。

射撃場が街中にあるはずもなく、人里離れた山奥にポツンとたたずんでいるいるため、公共交通機関のみではたどりつけない。だったら栃木県の那須にある射撃場まで、新幹線を使って向かう方が到着時刻は早かったりもする。

 

かつてはレンタカーを借りたり、電車とタクシーを乗り継いだりして、一日がかりで射撃をしていた。さらに身一つで向かうことはできず、銃や射撃用具、弾と一緒に移動することになる。

海外旅行ばりの大荷物、しかも中身は「散弾銃」という物騒なモノなわけで、誰かに手伝ってもらうこともできない。

補足として、銃は所持者以外の人間は撃つことも触ることもできない。許可を受けている銃砲店以外は、決して他人の銃に触れてはならないのだ。

 

移動にかかる時間的・金銭的・肉体的苦労はこのような感じだが、射撃場に着いてからが浪費の本番スタートとなる。

クレー射撃をするには、クレーと呼ばれる素焼きの皿を散弾で割らなければならない。つまり、費用としてクレー代と弾代が発生する。そしてクレーが割れようが割れまいが、引き金を引けばおよそ100円が一瞬で消える。

 

1ラウンド25点。試合形式で練習すると4ラウンド100点満点を一区切りとするため、少なくとも1万円が消える。

なお、4ラウンドで帰ることなどできるはずもない。早起きして、レンタカーだの新幹線だのタクシーだの、金と時間を使って大荷物を担いでここまでやってきたのに、たったの4ラウンドで去るなど到底無理だからだ。

がむしゃらに10ラウンドほど射撃をしたところで日没を迎える。昼飯代やドリンク代を合わせると、2万5千円を超える散財っぷり。

 

そして心身ともに疲れ果てた状態で、片道2時間の帰路へと着く。もはやぐったり。しばらく射撃はいいかな、という気持ちにすらなる。

こうして一日が終わり本日の収支を計算してみると、3〜4万円が消えているのだ。

 

こんなにも金のかかる趣味を続けられるのは、射撃場の近くに住んでいるか、自家用車を持っているか、普通に金持ちか、そういった人でなければ難しい。

射撃をする度にまとまった金額が消えるわけで、足が遠のくのも無理はない。

 

それに比べて、月会費制の趣味は安い。

柔術など、毎日練習に通っても交通費とドリンク代しかかからない。500円でおつりがくる安さだ。ジムの場所も自宅や職場から近いため、多少遠くても気になるほどの交通費はかからない。

むしろ行けば行くほど日々の単価は下がるわけで、行ったほうが得!という心境になる。

しかし月会費制の習いごとの弱点として、

「行ける時に行けばいい」

と考えがちになり、結局行かないケースが往々にしてあることだ。

 

いつでも行ける=一度も行かない。その結果、幽霊会員のような状態となり退会してしまう人も多い。

まぁ所詮趣味だから、仕事や家庭優先となるのは当然のこと。ライフスタイルに合わせて趣味を選ぶべきだし、年齢や生活環境でも趣味へのモチベーションは変わっていくし、無理なく楽しめるのがベストであることは間違いない。

あとは趣味に対する取り組み方、扱い方をうまくコントロールできればいいわけだ。

 

 

この考えでいくと、わたしのように「顧問」で仕事をもらう場合、これは「月会費制のジム」と同じ感覚となる。

スポットで仕事を依頼される場合もあるが、それはあくまで限定的な作業や対応となり、「体験入会」に近い。

 

毎月、顧問先の従業員ひとりひとりの労働時間、残業時間、有休日数、賃金総額などをチェックする。そして必要に応じて、保険加入や労働条件変更などを事業主へ打診する。

 

もちろん優良企業は毎月何も起きない。美しく問題のない賃金台帳と出勤簿を眺めながら、

「すごいなぁ」

とため息が出る。わたしの出番などどこにもナイからだ。

主に事業主がしっかりしている企業はこの傾向にある。なんだかんだで人間性というのは組織において重要だし、影響力も大きいのだろう。

 

そしてわたしの仕事は、企業と労働者の健全を守るべくパトロールすることだが、優良企業ほど手を出す必要がなく、結果としてわたしは仕事をしていないことになる

顧問というのは保険的な立場、カッコよく言えば守護神として存在するわけで、健全な状態を維持するのが仕事。とはいえ、

「顧問料を払っているのだから、実働を見せろ!」

という意見への対処として、労務関係以外でも随時相談を受け付けている。

 

その結果、離婚について、不動産購入について、マルチ商法について、占いの結果について、恋愛相談、筋トレの方法、おススメのレストラン、犬の飼い方、暇つぶしなどなど、社労士の範疇ではない相談回数が圧倒的に多いのが実情。

そして悲しいかな、わたしはそっち方面の評価で成り立っているようだ。

 

だがこれこそが「月会費制ジム」の正しい使い方だろう。週7でジムに通えば、一日単価は安くなる。顧問社労士も、毎日使い倒せばお買い得というわけだ。

 

月会費制ジム、もといサブスクURABE。24時間体制で、会員様のご利用をお待ちしております。

 

 

サムネイル by 希鳳

 

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