イチカワナリコの髪の毛 URABE/著
(・・・あぁ、また逝ったわ) 今日で何人目かしら——。アタシの同僚が毎日毎日、この世から消えていく。そもそも、アタシたちはこんな短命な人生だなんて聞いてないわ。もっと長く、楽しい時間を謳歌できると思っていた...
(・・・あぁ、また逝ったわ) 今日で何人目かしら——。アタシの同僚が毎日毎日、この世から消えていく。そもそも、アタシたちはこんな短命な人生だなんて聞いてないわ。もっと長く、楽しい時間を謳歌できると思っていた...
「あのヒトだれ?ってか、Dのヒトは?」 村山と初めて会った瞬間、思わず口をついて出た言葉だった。その時わたしは、大手広告代理店「D」の担当者と会う目的で、友人とともにアメリカへ向かったのである。 だがそこに...
おれはトウモロコシの皮だ。しかも一番外側の! なにが言いたいのかというと、おれを、いや、おれたちを甘く見るな!ということだ。トウモロコシの皮なんて、大した存在価値もないと思っているだろう?これだから人間は・...
(アツッッッ!!!!) 口の中に留めて置くことができないほど熱々のアーモンドラテを、タンブラーに戻すか胃袋に流し込むか迷った末に、わたしはゴクリと一気に飲み込んだ。 ——おかしい。いつも通り「ぬるめ」とオー...
「誰が書いたのか…っていうのも、重要な要素だと思いますよ」 旧帝大卒、高橋一生似の容姿を持つ後輩が、真面目な顔でそう言い放った。ことの発端は、わたしの書くコラムを読んだ人はほぼ全員「面白い」と言ってくれるの...
「あぁー、それは食べちゃダメー!って、思わず声に出しちゃいましたよ」 笑いながら後輩がそう言った。なんのことかというと、過去にわたしが食べた「霜がこびりついたキュウリ」のコラムを読んだときに、思わず制止させ...
(こんなものを手作業でやったら、いったいどれだけの重篤なストレスと時間的負担を強いられるんだろうか・・・) この時期になると毎回感じることだが、労働者を雇用する事業主が毎年6月1日から7月10日にかけて行わ...
わたしには付き合いの長い美容師の友人がいる。奴はちゃらんぽらんで、いわばお調子者の典型である。 かれこれ15年前、当時の友人は福島なまりの抜けきらない田舎者のくせに、東京のど真ん中で美容師として働いていたこ...
(あれ?配達時間の指定したはずなのに、来ねぇな・・) そう思いながら、わたしはふと時計を見上げた。午後4時から午後6時までの時間指定で配達を依頼したはずだが、時刻は午後6時半を過ぎている。とはいえ、諸々の事...
(・・まぁ、仕方ないか) この一言で割り切るしかない・・・という時がある。無理なものは無理だし、そこにこだわったところでどうしようもないのに、分かっていて固執するほど無駄で無意味なこともない。 しかし、普通...
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