香水フルメイク、ワタシは最強

友人が呟いたとある内容について、わたしが思ったことを綴っておこう。

その内容とは、友人が所属する道場へ出稽古に来た女性が、ニオイのキツイ香水を大量につけた状態で、化粧も落とさずに練習に参加したのだそう。そのため、使用後の更衣室は香水のニオイでとんでもないことになったらしい。

無論、メイク落とし完備の道場ゆえに、「化粧を落とす手段がなかった」という言い訳は通用しない。よっぽど素顔を晒したくなかったのか、あるいはイケメン揃いの道場ゆえにオトコ漁りに来たのか、真意のほどは不明。だが少なくとも、友人はいい気分ではなかったのだ。

ここで問題となるのは、油脂やワックス、石油系界面活性剤、顔料、染料、香料などでできた化粧品が、お気に入りの白い道着に付着した場合の、損害賠償請求権についてだ。

化粧を塗りたくった顔を白い道着にこすりつければ、眉毛や口紅、ファンデーションの色が移ることくらい、小学生でもわかることだろう。さらに、メイク落としまで用意されているにもかかわらず、己の見た目を保持するあまりに他人の衣服を汚す行為が許されるのだろうか。

似たような問題で、血液付着問題がある。真っ白い道着に誰かの血液が付着し、どす黒い赤褐色の点々が刻印された日には、泣くに泣けない悲劇のヒロインとなる。とはいえ、出血は故意ではないので、怒るに怒れずクリーニング代を請求するわけにもいかない。・・これぞまさに、泣き寝入りである。

ならば、カラフルな化粧が相手の道着に付着することが容易に想像つく状態で、それでも化粧を落とさずに練習に参加する女性に対して、道着が汚れた場合のクリーニング代を請求できるのだろうか。

・・残念ながら難しいだろう。先生に指名されてペアを組まされ、逃げるに逃げられない状況ならばまだしも、「化粧を落とさせればいい」「その女性と組まなければいい」と言われてしまえばそれまでだからだ。

さらに化粧品というのは、一度付着するとなかなか落ちない特徴がある。男性諸兄にも気を付けてもらいたいが、女性の化粧品がシャツに付いてしまった場合、パートナーに言い訳をするのが面倒ならば、捨てるほうが手っ取り早い。そのくらい、化粧品の顔料や染料は落ちないのだ。

・・ということで、メイク落としがダメならば、目出し帽のような覆面マスクを道場に常備しておくといいだろう。「化粧を落とさなくていいから、これをかぶって練習しようね」と、ニッコリ笑顔でかぶせれば、誰もイヤな思いをせずに済むわけで。

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そしてもう一点、香水のニオイについてだ。これは腋臭（わきが）や不潔臭と同様に、肺呼吸が必須の人間にとって避けては通れない重大な問題である。

腋臭は病気ということで、差別をする以前に治療の必要があるが、風呂に入らない・体を洗わないといった、単なる不潔が原因の悪臭については言語道断。ノコノコ練習に参加してるんじゃねぇよ！と、すぐさまシャワー室へ叩き込むべきだ。

そしてこの不潔と同レベルに位置するのが、香水である。見たくなければ目を伏せればいい。聞きたくなければ耳栓をすればいい。では、ニオイを嗅ぎたくない場合はどうすればいい？息をしなければいいのだろうか？

・・このように、スメハラというのが人間にとって、じつは最も難しい問題なのだ。個人的には、化学物質でできた香水のニオイを嗅がされるくらいならば、昼間に食った餃子のニンニクのニオイのほうが百倍マシである。

普段からマスクをする習慣のないわたしだが、もしも、香水クサイ人間と一緒に練習をする状況に追い込まれたら、ここぞとばかりにマスクを着用するだろう。

コロナ禍がもたらした最大の教訓は、「マスクをしていれば、異臭や悪臭から鼻を守ることができる」ということだからだ。

というわけで、我がジムは育ちの良いお嬢さまと、気高く上品なご婦人らによって構成されているため、香水を振りまいて化粧も落とさずに練習へ参加するといった、非常識で下劣な人間はいない。

とはいえ、そんなマナーを知らない若者が過去にいたことはある。だが、厳格で真面目な諸先輩方の指導により、化粧を落としてから練習に参加することを覚えたわけだ。

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無知は罪であるということを、社会に出たら嫌でも痛感させられる。よって、ジムへ行くのに香水振りまいてフルメイクで来るような、「自分可愛い」から抜け出せない女性は、それが通用するのは学生時代と身内だけであることを、肝に銘じておくといい。

などと偉そうなことを言いながらも、それが外国人だったりすると、文化や民族性の違いから「当たり前」になってしまう場合もあるので、ニオイというのはやはり難しい問題なのである。