人生というのは挑戦の繰り返しであり、どうせなら失敗が多い方が得るものも豊富で面白い。そんなことは分かっているのだが、とはいえ「なるべくならば、失敗は少ない方がいいだろう」などと怖気づいた結果、振り返ってみれば常に同じ飲食店ばかりを選んでいる、臆病者のわたし。
そんな薄っぺらい人生に終止符を打とうと、わたしは今日「なか卯」の門をくぐった。およそ半年前、”ゆずネードスカッシュ”という飲み物に惹かれて同店を訪れた経験はあるが、今回はそういった季節モノではなく純粋に「卵と白米の勝負」に出たのだ。
なか卯といえば親子丼だが、すき家や吉野家といった「牛丼チェーン」を倦厭(けんえん)するわたしは、その手の類の店へ足を踏み入れることは滅多にない。殊に女性と食事をする場合、同じファストフードといえど牛丼・親子丼系よりもバーガー系を選ぶ率が圧倒的に高いので、可能性があるとしたら一人の時だろう。
だがそもそも、牛丼が好きではないわたしが牛丼の専門店に入ることはないし、なんなら親子丼も好きではないので、こうなるとなか卯や吉野家の暖簾をくぐるタイミングというのは、そう簡単には訪れないことになる——。
こんなバカげた茶番を繰り返さないためにも、そしてなか卯が誇る「こだわり卵」と「お米」の質を確かめるためにも、満を持して一人でなか卯へと踏み込んだわたしは、券売機の前で立ち尽くしていた。
(鶏肉臭のする鶏肉は好きではないので、親子丼系は無理。そして、ファストフード店が提供する牛丼やかつ丼も好きではないので、これらも却下・・ん、なんだ?この唐揚げが乗った丼は。から揚げ弁当というものが存在するくらいだから、から揚げ丼があってもおかしくはないのだが、これまでの人生で「から揚げ弁当」を注文したことがないわたしにとって、このメニューは理解しがたい。さらに、うな重なるものが表示されているが、これは本物のうなぎなのか?このような疑いをかけるのは店に対して非常に失礼だが、とはいえ年がら年中低価格でうなぎを提供できるというのは、しかも”おまけ程度”のメニューであるにもかかわらず高級食材を安価で仕入れられるというのは、ちょっと眉をひそめたくもなる。となると、わたしが注文できるのは期間限定の「天然いくら丼」か、”無難の代名詞”でもある「和風カレー」の二択になる——よし。せっかくだから、ここは両方行ってみよう)
こうして、親子丼がウリの店へ来たにもかかわらず、いくら丼とカレーを選択したわたしは、念のためサイドメニューにも目を通してみた・・あっ!!!
なんとそこには、単品の「こだわり卵」と「ごはん」のボタンがあるではないか。他にも、カレールゥの単品やとろろの単品、から揚げの単品、うなぎの単品、親子丼の上に乗っている部分の単品など、すべてのメニューが「単品」で購入できるようになっていた。
(そもそもわたしはTKGが大好物。要するに、生卵と白米があればそれだけでいいのだ。ということは、わざわざ天然いくら丼や和風カレーを選ばずとも、この「生卵」と「ごはん」だけで十分じゃないか? しかもどうだ、青ネギやら食べるラー油やら、TKGをさらに盛り上げてくれる調味料?もチョイスできるわけで、鶏肉も牛肉もうなぎも・・申し訳ないがもはや用無しである)
こうして、随分長い時間券売機とにらめっこをしていたわたしは、ようやく注文を完了させることができた。
ちなみに、サイドメニューを見た時点で「生卵と白米」に変更したように思わせてしまったが、実際には天然いくら丼と和風カレーもしっかりと注文した。しかも大盛りで——。
とにもかくにも「三人前の丼物」をペロリと平らげたわたしは、改めて「和食(牛丼)系ファストフードチェーンの中では、なか卯がイチオシ」であることを再確認した——そう、TKGを構築する上で重要な要素となる、あのオレンジ色の黄身を手に入れられるのは、チェーン店多しといえど”なか卯”のみだからだ!!




















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