赤い恋の結末 URABE/著
アタシは今日、ひと夏の恋に終わりを告げた。 そもそも、このオトコのことはそこまで好きではなかった。ただちょっと、周りにはいないタイプで魅力を感じたのよ。この辺りでは見かけない派手な装いと、時代先取りの圧倒的...
アタシは今日、ひと夏の恋に終わりを告げた。 そもそも、このオトコのことはそこまで好きではなかった。ただちょっと、周りにはいないタイプで魅力を感じたのよ。この辺りでは見かけない派手な装いと、時代先取りの圧倒的...
念のためハッキリさせておくが、わたしが好きな果物は、桃と葡萄と苺と梨である。もちろん、果物全般になんでも好きだが、その中でもどれが好きかと言われれば、この4種類が挙げられる。 さらに、桃の中で...
(これはわたしが悪いのか・・・?) 静かに振り返りながら、床に転がる老人を見下ろした。 * 今から数分前、わたしは千代田線からJR線に乗り換えるべく、西日暮里駅で乗り換え専用の改...
わたしが精神的に幼稚なだけかもしれないが、この年になっても親からの注意喚起を素直に受け入れることができない。よく子どもが口にするセリフで、 「そんなこと言われなくてもわかってる!」 「今からやろうとしてたと...
わたしはおむすびが好きだ。とくに、何も入っていない塩むすびが一番の好みだ。 中に梅干しが入っていたり、磯の香りただよう海苔が巻いてあったりしても構わない。だがやはり、白米が持つポテンシャルを最大限に活かすに...
新幹線に乗った時、わたしの前に座るオッサンだけがリクライニングシートをガッツリ倒していると、なんともいえない不幸な気分に襲われる。 よりによってなぜ、わたしの前のオッサンだけがこんなにもフラットにしているの...
人間がいかに卑しくあさましい存在かは、人間以外の生き物と比べれば容易に分かるものである。 たとえば愛犬や愛猫に噛まれたり引っ掻かれたりして、目くじら立てて怒るようなバカはいない。だが相手が人間だったりすると...
(もはや狂気の沙汰・・・) 投票日の前夜というのは、候補者にとって感動的なフィナーレとなる。その反対に、冷めた目で、いや冷めた耳で聞かされる有権者にとっては、拷問もどきの大騒音でしかない。 たとえば今、近所...
冷蔵庫の中でしなびてしまった緑色のキュウリを、真っ白な霜が覆っている。 ――そうか、製氷室の真下に寝かせたせいで、表面に付着していた水分が凍ってしまったのか。 * わが家には冷蔵庫は存在しない。正確には、ホ...
これは本当の話ではない。あくまで架空の内容なので、ましてやわたし自身の体験談などとは思わないでもらいたい。 便宜上、一人称を「わたし」とするが、決して実話ではないことを口酸っぱく伝えておく。 ...
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