銀歯滅亡の夜 URABE/著
事の発端は、イタリアンレストランでボンゴレ・ビアンコを食べたとき。 大ぶりなアサリとジューシーな貝の出汁(だし)で彩られたアルデンテを、アタシは一人楽しんでいた。 ーーバケット頼んで、アサリの出汁つけて食べ...
事の発端は、イタリアンレストランでボンゴレ・ビアンコを食べたとき。 大ぶりなアサリとジューシーな貝の出汁(だし)で彩られたアルデンテを、アタシは一人楽しんでいた。 ーーバケット頼んで、アサリの出汁つけて食べ...
ーーピンポーン。 夜9時すぎに玄関のチャイムが鳴った。モニターを覗くと一瞬、事態が飲み込めず呆然となる。 画面いっぱいに広がるは、黄色いヘルメットに大きく貼られた「安全第一」と「緑十字」。 ー...
大したイベントではないが、200人程度の観客が集まると聞いた。あまりに急な話だったのでイベントの詳細は忘れたが、簡単に言うと「趣味のお稽古事の発表会」のようなものだと思う。 とはいえ使用するホールはかなり立...
ブヨブヨの抜け殻のようなこの感触、まるで晩白柚(ばんぺいゆ)の皮だなーー。 晩白柚とは、直径およそ20センチ、重さ2.5キロもあるバカでかい柑橘類。あれを食べ終わったあとに残る巨大な皮と、この弾力は似ている...
ーーわたしは今日、死を覚悟した。 ごく普通の生活を送る中で、急に「死」を意識したことはあるだろうか。ましてや、自分自身に襲いかかろうとする「リアルな死」というものを。 人類へ警告...
久しぶりに服を買いに出かけた。 そもそも外出しないのと、出かけるにしても行き先はほぼ道場のため、オシャレをする必要がない。 しかしそんなことを言っているといつまでたってもモテないので、何年かに一度はオシャレ...
谷崎潤一郎の「春琴抄」を読んだ。 2時間もあれば読了できる薄い文庫本なので、ぜひ一度読んでもらいたい。なにせ帯には「人間の欲望の深淵を覗いてみたいと思うなら、谷崎の作品こそうってつけです」などと書かれており...
汚女子、なんて言葉が流行ったことがあるけど、アタシのそれはちょっと違う。 「いやいや同じだろ!」 ほとんどの人がそう言うけど、自分の中では全く異なるキタナサなんだと伝えたい。 ーーそんなアタシは、風呂に入ら...
怒り、というやつのやり場に困る。 この感情は自然に溶けてなくなることはなく、どうにかして体外へ吐き出さなければならない。 喜怒哀楽でいうと、喜びと哀しみと楽しみについては涙で代用できることが分かった。ところ...
ーー憂鬱だ。 憂鬱(ゆううつ)と鬱(うつ)ではどちらが上なんだろう。鬱に「憂(うれ)う」がくっ付くのだから、憂鬱のほうが鬱より上なのではなかろうか。 そんなことを考えるようでは、鬱でも憂鬱でも...
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