♪マル・マル・ヨギ・ヨギみんな落ちるよ♪

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ーー妄想や金縛りではない。だがわたしの上に「偽ヨギボー(Yogibo)」が横たわっているのは事実だ。

 

わたしは「偽ヨギボー」と共に夜を過ごしている。その正体は掛け布団。

そして歴代の掛布団は、なぜか翌朝にはシーツの中でダンゴムシのよう丸まっていた。例外なくすべて、だ。

 

現在使用している掛布団とシーツは「ニトリ」の商品。毎シーズン買い替えても財布に優しいニトリは、わたしのお気に入り。

そんなニトリに対して予(かね)てから疑問があった。それは、

「なぜ四隅を留めるヒモがついていないのか」

ということだ。

 

掛布団本体の四隅には、ヒモで縛るための「輪っか」がついている。なのにシーツ側にヒモがついていないため、縛ることができない。

たしかにシーツの二隅(ファスナーがついていない側)はカットされ、中の布団を引っ張り出せるようになっている。このアイデアは秀逸。

 

しかし、引っ張り出した布団を固定するための、ヒモなりボタンなりが存在しない。

睡眠中も絶えず動くわたしは、目覚めれば布団が床に落ちている。もはや落ちていない日などない。

そして布団はシーツの中でかたより、収拾がつかなくなっている。

 

それでも真面目なわたしはせっせと布団を直した。シーツと布団の角を揃えて、長方形の掛布団を再現し続けた。

 

そんなある日の夜中(早朝)。寒さで目が覚めると案の定、布団は丸まり床へ落ちている。わたしの上には薄っぺらい布が被さっていた。

ーーシーツだ。

 

無意識に布団を引っ張り上げたところ、シーツだけを掴んでしまったらしい。おかげで布団はシーツの中でかたより、錘(おもり)となって落下したのだろう。

度重なるシーツの不祥事に、さすがのわたしも堪忍袋の緒が切れた。

 

ーーわかった。そこまでわたしを困らせたいのなら、そのままでいるがいい。

 

布団にキレたのはこれが初めてだが、穏やかではいられなかったのだから仕方ない。

あれ以来わたしは、シーツの中で丸まり「偽ヨギボー」となった掛布団を体に乗せて寝ている。

 

偽ヨギボーの欠点は、体全体を覆わないことだ。

ここ最近は暑くも寒くもないため、さほど問題は起きない。しかし冬は偽ヨギボーの真下に潜り込まなければ、寒くて眠ることなどできない。

うずくまった人間ほどの大きさの偽ヨギボーを、体から外れないように乗せ続けることは、見た目以上に難しい。

 

しかし一度決めたら貫くのが信念。

側から見たら「ヒト2人が重なって寝ている」状態下で、わたしは寒さを凌いで安眠を求めた。

 

逆に暑いときも大変だ。

「偽ヨギボー」がギュッと丸まっている分、布や綿の密度は高くなり、すぐに汗ばむ。そして暑いからと蹴り飛ばすと、今度は寒い。

そこで加工を施す。これまでよりもさらに細長く丸めて、腹の上に横たえてみる。

 

(ちょっと重いが、悪くない)

 

こうして「細長偽ヨギボー」となった布団を駆使しつつ、わたしは睡眠を確保しているのだ。

 

かといって悪いことばかりではない。

例えば体の左右半分だけに布団を掛けたい時、「細長偽ヨギボー」が重宝する。通常の長方形の布団でこれをやれば、布の重みで布団は床へずり落ちてしまうだろう。

しかし「細長偽ヨギボー」ならばその心配はない。思う存分、左右どちらかの半身へ乗せることが可能。

 

ーーこれだけのヨギボーパターンを揃えているということは、これすなわち、本家・ヨギボーよりもヨギボーを知り尽くしているといえよう。

 

 

そうそう、偽ヨギボーを使ったオススメの寝方がある。それは、

「横向きになり、その上に偽ヨギボーを乗っける」

という方法。

 

これはバランス感覚が養われ、かつ、適度な重みが人に安心感を与え快眠をもたらす。

ぜひお試しあれ。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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