相変わらず絶賛減量中の私だが、今回は水抜きをせず、ナチュラルにアンダーまで落としてみようと、食事をかなり細くしている。
そして、手軽でちょうどいい量の食事を開発した。
そのメニューがこれだ。
食事として、
・ウインナー 1本
・6Pチーズ 1個
・サツマイモ(中) 1/2個
おやつに、
・キムチ 3口
・シャインマスカット 3粒
・ナッツと小魚の小袋 1袋
以上のどれか一つ
食事3回、おやつ2~3回で一日を過ごす。
このメニューは、なによりも腹持ちがいい。
さらに栄養バランスもよく、特にたんぱく質を豊富に摂れるためとても気に入っている。
「こんなに少なくて大丈夫?」
と思った人、日本人の一回の食事の量は多すぎるということに、気づいたほうがいい。
実際、普段の量の食事を1日に3回も食べる必要性は、まったくない。
そこまでエネルギーを消費していないし、お腹が空いてないのに時間が来たら食事をする習慣も、痩せない原因の一つだろう。
減量あるいはダイエットの敵は「空腹」でしかない。
まずは空腹をつくらないためにも、こまめに口に何かをいれることが大切。
そのため、私は少量の食事3回と少量のおやつ2~3回のスケジュールで、地道に体重を落としていくのだ。
ちなみに、1週間ちょっとですでに6キロ落とした。
つらくも苦しくもなけでば、体重と同時に食費の出費も減って、いいこと尽くしだ。
あとは試合の相手がいることを祈るのみ――
*
今年の初め、ポルトガルのリスボンで開かれた、2020ブラジリアン柔術ヨーロピアン選手権に参加した。
長時間フライトを経て水分をたっぷり含んだこの体から、どうやって水を絞り出そうか――
あのときの減量について、ふと思い出した。
ポルトガルで宿泊したホテルには、バスタブがなかった。
普段、東京以外で試合の際は、必ずバスタブのある部屋に泊まる。
その理由は「水抜き」をするため。
バスタブにお湯を張り、1時間ほど半身浴をすることで、体内の水分が抜けて2キロほど減量ができるのだ。
海外の試合ならば、食事の量も大変なことになるので、ホテルではなくエアビ(Airbnb)で民家を借りて、食事から節制する。
エアビならばバスタブも洗濯機もあるので、体重コントロールも出稽古(道衣の洗濯)もバッチリだ。
しかしポルトガルでは、エアビで良い部屋を探せなかった。
そもそも治安がとても良いとはいえない国であり、ポルトガル語やスペイン語が話せない私がエアビを借りることは、ある意味危険ともいえる。
そのため、空港近くの安いホテルを予約した。
しかし、最悪なことにバスタブがなかった。
私のこの話を聞いた総合格闘家の友人や柔術の先輩からは、
「シャワールームの床とかドアのすき間にタオルを敷き詰めて、温度を逃がさないようにしながらマックス熱いお湯を浴び続ける」
「デカいゴミ袋をかぶり、その上から熱いシャワーを浴び続ける」
など、実践的な発汗方法のレクチャーを受けた。
しかし、
部屋のシャワーはほんとうにチョロチョロとしかお湯が出なかった。
むしろ、お湯がぬるかった。
何時間浴びても汗など1滴も出なそうな、ぬるさだった。
ーー何しにポルトガルまで来たんだろう
外を走ってケガをすることや、事件に巻き込まれては大変なので、極力外出は控えた。
いや、そういうことをしたことがないので、ただ単にめんどくさかったとも言える。
そしてひたすら、部屋に引きこもりカトゥーンネットワーク(アメリカのアニメチャンネル)を見続けた。
子どもが見るアニメを見ながら、私は考えた。
今日の食事は日本から持ってきたナッツをかじろう。
空腹に耐えられなくなったら、サトウの切り餅をポットで柔らかくしよう。
あとは大量に水を飲んで、飢えをしのごう。
明日の朝、ゆで卵を半分、食べようか。
あとは薄くて軽いウエハースを食べよう。
明日はとにかく食べ物の重さで勝負だ。
会場に着いたら、まず計量しよう。
オーバーしてたら、アップエリアでスイッチやテクニカルスタンダップをやり続けよう。
(註:準備をするエリアで、柔術ならではの準備運動をして汗をかいて体重を落とそう)
試合、デカい外国人が出てくるんだろうな。
まずは低い姿勢から袖をつかんで即座に座ろう。
相手のズボンの裾をつかんで近寄ろう。
またいできたら、シングルエックスに入ろう。
スパイダーができたら全力で煽ろう。
もしスパイダーを切られたら・・・・・
アンクルピックに失敗したら・・・・・
ハーフでつぶされたら・・・・・
サイドで抑え込まれて固められたら・・・・・
悶々と頭のなかで試合を続けた。
果たして何人の相手を倒しただろう。
気づけば汗びっしょり。
頭から髪の毛の間をつたって汗がたれてきた。
ティーシャツが汗で重たくなっている。
(シャワーでも浴びるか)
架空の試合に集中しすぎたため、心拍数は上昇し口の中はカラカラに渇いている。
自分でも驚くほどの、思い込みの強さというか、豊かなイマジネーションとでもいうか。
もはや鼻では足りず、口呼吸になっていた。
そして、シャワーを浴びながら試合の続きを戦った。
現実的にはあり得ないことだが、のべ20試合くらいしたのではなかろうか。
さらにトーナメントだから、それだけ戦えば私の優勝だ。
クタクタに疲弊した私は、シャワーから出ると持参した体重計に乗った。
ーーアンダーだ!!!
(註:規定体重より少ないこと)
私はベッドに寝ころび、アメリカの子供が見るテレビを見ながら、架空の試合を戦っただけだ。
それが、体重にして約2キロも落ちたのだ。
物理的には、ただじっとしていただけなのに。
こんな減量のしかたをマスターした私は、もはやバスタブ要らずなのではないか、とちょっと誇らしくなった。
*
あのときの減量方法はかなりイレギュラーなやり方だ。
むしろそのあと、どっと疲れがでてすぐに寝た記憶しかない。
もう ”脳内選手権” を開催しなくても間に合うように、計画的な食生活による減量を心がけようと、改めて言い聞かせた深夜の回想録だった。
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