美人の義務

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昨日、ちょいブスについて論じた。

では「美人」とはどのような女性を指すのか。

 

本日、奇遇にも美人と称される2人の女性と会うチャンスに恵まれ、まじまじとそのお顔を拝ませてもらった。

 

眼福にあずかるとは、まさにこのことか。

 

 

年を重ねても美人は美人、と実感させられるのは、社長夫人・恵美子(仮名)の美貌だ。

つい先日、孫が誕生しおばあちゃんとなった恵美子。だが衰えることのないその美しさは、一体どこから来るのか。

 

「とくに何かしてるわけじゃないけど、やっぱり人に見られる意識を持つことかな」

 

恵美子は常に小綺麗な格好をしている。ヘアスタイル、メイク、アクセサリー、服装、どれをとってもセンス溢れるチョイスをみせる。

しかしこれらは「高級」「華美」「流行」とは一線を画す安定感がある。清楚、いや、清潔感に加えてTPOを外さない”賢さ”のようなものが。

 

恵美子の若いころを想像するに、相当モテただろう。ご主人である社長に尋ねると、目を細めながら当時を思い出してくれた。

「クリスマスパーティーで偶然、会ったんだよね」

なんと素敵な出会い方だ。これぞまさに美人が持つ特権。

 

ーー恵美子の横顔は、泣く子も黙る凛とした美しさを醸し出す。この顔をもっと近くで眺めていたい。

そう思ったであろうご主人も、イケメンなのだからどうしようもない。こうして美男美女による「眼福カップル」が誕生した。

 

しかし恵美子の美しさを際立たせる要素は、顔だけではない。たとえば書道の腕前は師範級。アクセサリーや料理の器用さもプロ並み。

そんな恵美子の作品を眺めながら、誰もがこう漏らす。

 

「こんなに上手で、おまけに美人だなんて(羨ましい)・・」

 

そう、称賛には必ず「美人」という要素がプラスされる。

作品だけをとっても、見事な筆さばきに箸さばき。なおかつ美人が披露するからこそ、他を寄せつけない圧倒的な結果をもたらすのだ。

 

 

もう一人の美人は、アラフィフにして30代にしか見えない、洋子(仮名)。彼女は「ベストボディジャパン」という、年齢別のミスコンテストの全国大会常連だ。

 

わたしが洋子と初めて会った時、自分より年下だと思いタメ口をきいていた。もちろん、年上であることが発覚してからもタメ口だが。

とにかく、体からにじみ出る「若さ」が彼女にはある。

 

わたしは洋子へこんな質問をした。

「今までの人生で、ブスって言われたことある?」

すると困ったような顔をしながら、

「うーん、ないかな」

そりゃそうだろう。ブスの要素が微塵もないのに、嘘をついてまで貶(けな)す必要などない。

 

洋子の若々しさの秘訣は、引き締まったボディだけでなく、純粋で人懐っこい性格も関係している。

キラキラ輝くまぁるい目と、スッキリと絞り込んだ抜群のプロポーション。それらを惜しげもなく晒(さら)されれば、男女問わずメロメロになること間違いなし。

それに加えてネコのような人懐っこさと、物事を疑わない真っすぐな瞳が、若さの勢いをさらに増している。

 

そんな洋子が放つ華やかな若さと美しさは、まさに美人の象徴だろう。

 

 

この2人の美人に共通するのは、どちらも自分自身に責任とプライドを持っていること。

 

他人に見られることを意識するというのは、すなわち、自分の見せ方に責任を持つことだ。

そしてさらなる美を追求する姿勢こそ、美人が美人であるがゆえの努力といえる。

 

若さと美しさは似て非なるもの。よって、若者に美人はいない。

年を重ねてこそ本物の美人か否か、化けの皮が剝がれる。脱皮後も美しさを纏(まと)う女性こそが、真の美人なのだ。

 

わたしの口癖で、美人に対してつい確認してしまうことがある。恵美子と洋子にも尋ねたが、

「ブスって言われたこと、ある?」

という単純な質問だ。

 

残念ながら、わたしはある。

だが、美人だと思う友人で「ブス」と言われた経験のある者はいない。

同性のひがみで「このブスが!」と言われたことはあっても、男性からそのような悪口を言われたことはない、とのこと。

 

人間、とくに男性は正直だ。美人に向かって、口が裂けても「ブス」などという嘘はつけない。なぜならその美しさを拝みつつ、日々の英気を養っているからだ。

 

つまり、美人は美人としての「責任」を果たさなければならない。そう、ノブレス・オブリージュ(Noblesse oblige)の精神だ。

 

ブスが背伸びをして美人に近づこうとすることを、悪いとは思わないし否定もしない。

だがそれと同じくらい、美人は美人であることを守り続けなければならない。それが社会から求められる義務であり、与えられた役割なのだから。

 

以上のことからも、美人というのは大変な立場にある。ただチヤホヤされていればいい、というわけにはいかない。

 

ーーあぁよかった、ちょいブスで。

 

 

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