夜の昼寝は毒

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ーーしまった。中途半端な時間に昼寝をしてしまった。

 

現在時刻は夜の8時半過ぎ。かれこれ2時間ほど昼寝をしたようだ。目が覚めた理由は大量の汗と悪夢による。そして脳ミソは朦朧(もうろう)とし、体は泥のように重たい。

 

起きがけに熱いブラックコーヒーでも、などというシャレた雰囲気ではない。どちらかというと、キンキンに冷えた水風呂で柑橘系の果物を苦い皮ごとかじりつかなければ目が覚めないような、なんともドロッとした不快な気分。

 

しかし、昼間の昼寝はなぜあんなに気持ちがいいのだろう。

 

会社勤めの頃。たった1時間の昼休みにほんの10分ほど昼寝をするだけで午後の仕事にメリハリがつく。

とはいえ10分の昼寝から目覚めたときは、「雇われ人」というか「時間に管理される仕事のあり方」を呪ったものだが。

それでも、時間に管理される働き方だったからこそ、限られた時間の有効活用ができたように思う。これは学生生活も同じだ。

 

高校生にとって一日のメインは放課後の部活。となると朝早くから教室に詰め込まれて無味乾燥な文字や数字の羅列を押し付けられる時間は、睡眠に充てるしかない。

今思うと、授業中ずっと起きている生徒というのはいたのだろうか。

私は寝ている生徒だったので、誰が起きていたのかわからない。ただ、あんな長時間起きていられる子供など、本当にいるのだろうか。

 

時は過ぎ今はオトナ。

ここ数日は年間を通して最も忙しい時期といえる。本業(社労士)の仕事で「36協定の締結と届出」というものがあり、わたしの関与先へは4月1日をスタートとする協定の締結を原則としている。

そのため、今月中に労基署へ36協定の届け出を済ませなければならない。

 

また、月の真ん中あたりで請求書の発行をしている。こんな作業を「仕事」と呼びたくはないが、これをしない限りわたしの口座はからっぽなわけで、毎月、相当な苦痛を味わいながら請求書を作成している。

これだけでも誰かにやってもらいたい。

 

他にも新規の相談がちょこちょこ、ルーティンの雑務がちょこちょこ、そして密かに動かしている会社が2つあり、それらの仕事をちょこちょこ。

よりによってここ数日で「ちょこちょこ」が重なり、大波となって押し寄せてきた。

 

ましてや夜、わずかな合間を縫って柔術の練習へ行ったり、月謝を無駄にしたくない一心でヘタクソなピアノを練習したり、削れることといったら食事か睡眠しかない状況まで追い込まれた。

まぁ、食事を削ることはありえないが。

 

ーー念のため、風呂に入ることや顔や歯を磨くことなどは、いの一番にすっ飛ばされている。

 

そんな不眠不休の状態が数日続いた夜6時すぎ、不覚にもソファで寝落ちしてしまったのだ。

 

もう一つ、寝落ちする前に大量のチョコレートを食べたことも、結果として悪影響を及ぼしたのではないかと疑う。

甘いものを腹いっぱい食べるとどうしても眠くなる。ましてやクソ甘い海外製のチョコレート(リンドール)など、口の中や歯の裏側が甘ったるい膜で覆われたようにヌラヌラのコテコテになるため、いかんせんスッキリしない。

よって、海外製のチョコレートを恨む。

 

そんなこんなで霊柩車の後部座席に座らされる。運転手はこれからわたしを殺そうとする殺人犯。「(殺人が)外から見えるとまずいからブラインドを下げてくれ」と言われ、車の窓に垂れ下がるブラインドを引っ張ったら壊れてしまい、それを見ていたメイドが慌てて駆け寄りカーテンを取り付けてくれて、車のドアを閉める時に「もう殺される練習はいらないですね」と笑ったところでハッと目が覚める。

 

ーー季節は春。エアコンを30度強風のままにしていた室内は、さすがに暑かった。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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