二十四の生贄

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わたしは粘着質だ。それでいて偏屈で強引。

納得のいかないことがあると、どんなに号泣されようが解放を懇願されようが、逃げる相手の両足にしがみつき絶対に離さない。

 

この「友達にはしたくない、恐ろしく嫌な性格」を持つわたしは、人だけでなく物に対しても同様に接する。

おなじみ、我が家の冷蔵庫はホテルのミニバーと同じスペック。こいつが許せない。

 

先週、雪見だいふくを製氷機の上に置いておいたところ、翌朝ドロドロに溶けていた。

 

あの事件は許すまじき悪夢だが、寛容なわたしは一つの実験を試みることにした。

前回、製氷機で雪見だいふくを保存したら溶けた。しかしドリンクホルダーの飲み物は凍っていた。

 

ならば、ドリンクホルダーにアイスを置いたらどうだろうか。

 

このバカげた考えに苦笑する人は多いだろう。しかしわたしにとっては死活問題なのだ。

今どき自宅でアイスを食べられない日本人などゼロに等しい。その限りなくゼロの一人がわたしであり、我が家なのだから。

 

念のため、ドリンクホルダーだけでは失敗したときに後がない。そこで再度、製氷スペースでも挑戦することにした。

さらにアイスの種類にも配慮する。雪見だいふくはさすがにデカい。このちっぽけなミニバー冷蔵庫に対してアイスの割合が大きすぎる。

 

よって、24個入りの個包装された「ピノ」を選択。

 

コンビニでピノを購入し、帰宅途中で半分ほど食べてしまったが、残り10個を我が家のクソ冷蔵庫に配置する。

 

 

まずは製氷スペースに手前から奥へ3個並べる。

つぎにドリンクホルダーへ3個、同じくドリンクの上に2個置いてみる。

さいごに冷蔵庫の真ん中の段へ2個。

 

合計10個のピノを冷蔵庫のあらゆる場所へ配置し、庫内の温度を最大に下げる。キンキンに冷えた個室の完成だ。

さすがに2〜3個はアイスのまま=固まった状態で残っているのではないだろうかーー。

 

予想と同時に祈る思いで冷蔵庫をそっと閉じる。

 

 

翌朝ーー。

結果を発表すべきか否か迷う。なんというか、大方の予想通りの結果ゆえ、あえて文字にする必要もないだろう。

「それ見たことか!ちょっと考えればわかることだ!」

お𠮟りの言葉が遠くで聞こえる。

 

ピノは全滅。

わたしはこの手で、10個のピノをかたっぱしから握りつぶした。

本来のアイスの状態を維持したピノならば、指先で押された程度で形が崩れることはない。

 

しかし冷蔵庫(と製氷スペース)で一晩を過ごし、アイスのできそこないと化したピノ。

表面のチョコレートは形状を保つも、中はもはや空洞に感じる。そして親指と中指でグッと力をいれると、あっけなくグシャッと潰れた。

同時に中から、溶けたアイスが恨めしそうに流れ出た。

 

ーー努めて冷静に考えよう。

今回もご多分に漏れず、ドリンクホルダーのドリンクはいずれも凍っている。にもかかわらずアイスだけが溶けている。この違いはなんなんだ。

 

もしかするとーー。

 

ゴミ箱をあさりピノの空箱を取り出す。するとそこにはハッキリと、

「要冷凍 -18度以下」

と記されている。

 

氷は0度を超えると溶けだす。だが調べたところ、乳脂肪で覆われたアイスは-15度で溶け始めるらしい。

そして我が家のようなミニバータイプの冷蔵庫の製氷スペースは、せいぜい-5度とのこと。

 

(・・・そりゃ溶けるはずだ)

 

冷蔵庫全体の温度をマックスに下げたせいで、アイスが全滅しただけでなくドリンク類がすべて凍ってカッチコチ。

ペットボトルのお茶も水も、スタバのアイスコーヒーまでもが固まっており、ストロースら刺さらない。

 

ーー季節は春

そろそろ冷凍室付きの、ツードア冷蔵庫を購入する時期がきたのかもしれない。

 

 

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