腹がはち切れんばかりの満腹なのに減量できるレシピ大公開

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貧乏もしくは減量中の諸君に朗報がある。体重が増えずに・・いや、むしろ体重が減るのに、満腹かつ満足できる食事メニューを編み出したのだ。

 

ダイエットや体質改善といった、長期的な減量を目的としていないことを前提に、毎日「美味い!」「腹がきつい!」が連発できる、デザート付きの豪華な食事なのだから画期的といえる。

そんな夢のフルコースの中身は、魚のすり身(かまぼこ)とキムチ、硬い豆腐(または厚揚げ)、ふりかけ、カットスイカというラインナップ。

なぜこの組み合わせかというと、ただ単にわたしが食べたいと思ったものを並べただけなので、これといって科学的な裏付けもエビデンスもない。それでも実際に食べてみるとわかるが、最後のほうは満腹すぎて食べるのが辛いほど、腹いっぱいで苦しくなれるから贅沢である。

 

 

近所のスーパーをうろついていると、40%引きのシールが貼られた「いわしのつみれ」を発見した。これは買わなければ!と手を伸ばしたところ、その隣には「タコ揚げかまぼこ」にも40%引きのシールが貼られていることに気がついた。

いそいそと両方の値引き商品をかごへ放り込むと、さらにその隣に「手取りしらす」なる練り物が40%引きで売られているのを発見した。不思議なもので、「しらす」と聞くと無条件で「美味そう」となるのはなぜだろう——。

 

こうして、値引きされた"魚のすり身系"を3種類確保し、ほかにも何かないかと物色していると、今度は豆腐コーナーへ突入した。その瞬間、わたしは20%引きのシールが貼られた"とある豆腐"に、本能的に飛びついた。

「硬とうふ」

硬い豆腐というのは、もうそれだけで「美味い」と決まっているのだから謎である。キャッチボールができるであろう硬さを誇る白い立方体を、手のひらでポンポンしながら、なんだかとても得した気分になった。

するとその横に、同じく20%引きで「生あげ」と書かれた立派な厚揚げが寝そべっているではないか。まるで小さな枕くらいの形とサイズで、こちらもしっかりとした硬さがある。

「硬い豆腐系を見つけたら、無条件で購入せよ!」という家訓に従い、こちらの厚揚げもカゴへと放り込んだわたしは、陳列棚に目を光らせながらレジへと向かった——と、そのとき・・・

「いかと胡瓜の海鮮キムチ」

という、食欲スイッチを強打する商品を見つけてしまったのだ。キムチや韓国料理は好きだが、辛すぎるのは得意ではないため、いわゆる「日本製キムチ」に目がないわたし。そして、イカとキュウリであればそこまで辛さが沁み込んでいない・・ということを知っているので、大喜びでこのキムチを手に取った。しかも、これまた20%引きということでダブルの喜びである。

 

これらの食べ物を今すぐ味わいたいわたしは、最後にカットスイカ(大)を買い占め、今度こそレジへと並んだ。そして、帰宅するなりつみれや揚げかまぼこを開封すると、いかと胡瓜の海鮮キムチとともに口へと運んだ。

(う、美味い!!!)

魚のすり身はそもそも魚だし、イカのキムチも魚介類。それらと相性のいいピリ辛キュウリが合わないはずもないわけで、あっという間にかまぼこ系とキムチを完食した。

 

(・・しまった。豆腐とキムチのコラボを忘れていた)

後悔先に立たず。こうなったら胃袋の中でコラボするしかないのか——いや、待てよ。

わたしは、業務用冷凍庫に"とある秘密兵器"が隠されていることを思い出した。それは、手作りのふりかけである。料理上手の友人が材料から何からすべて手作りで完成させた、特製ふりかけなのだ。

 

おもむろに硬い豆腐と生あげ(厚揚げ)を並べると、それらが隠れるほどどっさりとふりかけをかけ始めた。もはやふりかけの山である・・いや、山というより山脈か。

そんな「ふりかけ山脈」が出来上がると、さっそく山を切り崩して口へと運んだ。

(・・めちゃくちゃ美味い!!!)

ふりかけが美味いのか、はたまた硬い豆腐が美味いのかは分からないが、両方の相乗効果であることは間違いない。豆腐とキムチはよくある組み合わせだが、豆腐と大量のふりかけというのもかなり相性がいい。豆腐のみずみずしさをふりかけが吸収するので、なんというか"食べ応え"が出るのだ。

 

こうして、せっせと豆腐・厚揚げ山脈の切土を続けたわたしは、最後の最後で箸を置いてしまった——もう、無理だ。

たしかに、魚のすり身系を3種類とイカ胡瓜キムチ、そして豆腐一丁と厚揚げに大量のふりかけを食べきるのは、冷静に考えても「食べ過ぎ」である。ボリューム的には二人分・・いや、三人分の食事量といえる。

(とりあえず、お口直しにカットスイカだ)

こうして"デザートは別腹"の法則に従い、カットスイカ(大)へと箸を伸ばした。冷たくてみずみずしいスイカが、シャクシャクと心地よい歯ごたえとともに喉を通り過ぎて胃袋へと落ちていく。あぁ、美味い——。

 

スイカを食べ終えると、わたしは再び"豆腐厚揚げ山脈"の切土ラストスパートを開始した。スイカの清々しさが後押ししてくれたので、あっという間に山脈はこの世から消え去った。

 

 

こんなにも満腹を体感したのに、翌日の体重は変わりないもしくは減っているのだから、本当に不思議である。

このレシピが栄養素的に偏っているとか健康的ではないとか、そういうくだらない意見は置いておいて、はち切れんばかりの満腹を得られるのに減量できるという現実に、わたしは幸せを感じるのであった。

 

(やっぱ、カットスイカは最高だな・・)

 

Illustrated by 希鳳

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