私の足を引っ張った、薄手のフリース

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(・・・しまった、翌日になっているじゃないか)

いつものごとく、ちょっとだけ仮眠をとろうとしたところ、気がつくと2時間が過ぎていた。まったく昼寝(夜寝)というやつは、なぜこうも気持ちがいいのだろうか——。

 

ちなみにここ最近の昼寝(夜寝)には、わたしなりの工夫がこらしてあった。それは、つい爆睡しないように「ある程度の寒さを維持する」という工夫だ。

わが家は床から1メートルまでが異常に寒い。そのため、立っていれば顔や上半身は暖かいが足元は冷たい。さらに座りでもすれば、それこそ体の大部分が冷たくなるため、足元の暖房器具を稼働させなければ、とてもじゃないが穏やかな気分で過ごすことはできない。

つまり、ソファで横になると頭からつま先まで全身が冷たくなるという、まったくくつろぐことのできない恐ろしい環境が整っているのである。

 

さらにわたしは、わずかな時間であっても"仮眠"という天国を満喫するために、ソファで昼寝(夜寝)をする際はニトリの毛布にくるまって寝ている。

この毛布は手触りがよく、ツルツルしていて気持ちがいい。そんな不思議な素材を身にまといながら、しばし夢の世界へと旅立つのが、わたしにとっての手軽で小さな幸せなのだ。

 

だがこの毛布をまとうと、それこそぬくぬくと温かくていつまでも眠れてしまう。おまけに、ソファの座面には高反発マットレスを敷いており、加えて低反発クッションがいくつも散乱しているため、その都度好みの枕を選んでは安心して目を閉じることができるのである。

そして気がつくと、30分の仮眠が二時間の睡眠になっているのだ。つまり、この毛布さえなければ・・言い換えると、肌寒い状態であれば爆睡を免れ、30分で起きることができるわけだ。

 

(うぅむ、せっかくの仮眠天国を満喫できないのは残念だが、仕事をほっぽりだすわけにもいくまい・・・仕方ない、寒い状態で丸まるか)

 

こうして、エアコンフル稼働にもかかわらず横たわればガクブル震えるソファで、わたしは仮眠を強いられてきたのである。

ところが今日、ニトリの毛布をかぶっていないにもかかわらず、なぜか日付が翌日になっているではないか。おかしい・・ソファの上が寒いのは相変わらずなのに、なぜこの状態でわたしは爆睡してしまったのだろうか——。

 

(ま、まさか・・・このフリースのせいか!?)

そう、わたしは今日、普段羽織っているパーカーを洗濯したため、代わりの上着としてフリースを着用していた。といっても薄手のフリースなので、この時期に外で着るには頼りなさすぎる。よって、うすら寒い室内での保温にちょうどいい代物なのだ。

ところがこのフリース、生地の薄さ以上に保温能力が高い。そのため、本来ならば寒さで眠ることなどできないはずが、首から腰まで温かなフリースで包まれていることで、毛布など掛けなくてもぐっすり眠ってしまったのだ。

 

おまけに足先はヤクの靴下で守られているため、これだけで十分保温できる。つまり、スウェットパンツの部分だけが寒い状況なのだが、足先と上半身が温かいことで下腿部の寒さなど気にならなかったのだろう。

お、恐るべしフリースの潜在能力——。

 

 

などと「仮眠しすぎた言い訳」を考察してみたわけだが、いずれにせよ、厚着をしなくても生地が持つ特性でここまで保温できる・・という事実に、密かな感動を覚えたのである。

そして、なぜ室内にもかかわらずここまで衣服にこだわり、衣服に助けられなければならないのかは相変わらずの疑問ではあるが、寒い冬もあと少しで乗り越えられるわけで、その先にある暖かな春を夢見て、寝過ごした分の残務処理に勤しむのであった。

 

サムネイル by 希鳳

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