足の甲のトンネルのその先へ

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まさか、自分の足にここまで左右差があるとは思いもしなかった。だが、新品のサンダルの左足は入るのに、右足はつま先しか入らないのだからどうしようもない。

 

そういえば数日前に、ブラジリアン柔術の道衣のパンツがパツパツで、危うく発狂しかけたわたしだが、アレも結局は同じことだ。上着はちょうどいいのにズボンが入らないのだから、セットで身につけるものは、わたしにとっては厳しいということだろう。

そしてこのサンダル、一体どうすればいいんだ・・・。

 

 

夏になるとわたしは、リカバリーサンダルで過ごす習性がある。しかも今年は、新たにOOFOS(ウーフォス)のビーチサンダル(トングサンダル)を購入したので、3足を履き回すことで毎日快適なフットワークを確保できるというわけだ。

にもかかわらず、パーソナライズド広告により頻繁に登場するウーフォスの「ヒョウ柄シャワーサンダル(スライドサンダル)」に引き寄せられるようにして、わたしはまたもやリカバリーサンダルを購入してしまった。

(ビーチサンダルだけじゃ、対応できない場面があるかもしれない!)

4足目のリカバリーサンダルを購入する正当な言い訳として、ビーチサンダルでは失礼にあたるシチュエーションあるかもしれない、ということで堂々とクリックしたソレが、朝の9時に到着したわけだ。

 

せっかく眠りについたところ、早朝のチャイムによって睡眠を遮られたことは腹が立つが、ヒョウ柄のウーフォスに足を突っ込む楽しみは抑えきれない。よし、今日はさっそくおニューのサンダルで出掛けよう——。

 

 

こうして目の前には、ウーフォスのヒョウ柄シャワーサンダルが置かれている。スマホの画面越しで見るよりも安っぽいが、リカバリーサンダルとしての機能は間違いなく搭載されているため問題はない。

サイズは25センチ。レディースでは最大サイズのため、これがダメなら返品するしかない。とはいえ、ウーフォスのビーチサンダルは25センチのため、サイズが合わないということはないだろう。

 

まずは左足をそっと突っ込んでみる。やや窮屈だが、どうにか踵までしっかりとソール内に収まった。しかし驚いたのは、ビーチサンダルはゆとりがあったが、シャワーサンダルはサイズが同じでもきついということだ。

足の甲を覆う「輪っか」の部分が狭いのだろう。ビーチサンダルならば足のほとんどが自由な空間にあるため、ソールに足の裏がおさまれば履き物として合格である。だが、シャワーサンダルの場合は甲を覆うトンネルをクリアできなければ、履き物としての価値はゼロとなる。

とりあえず、片足はなんとかクリアした。そして、右足を甲のトンネルへと突っ込もうとした瞬間——。

 

(だ、ダメだ!横幅が引っかかって入らない!!)

 

最初から嫌な予感はしていた。なぜなら、右足のほうがなんとなくデカいと感じていたからだ。

わたしは、スニーカーやパンプスのような「踵を覆う靴」は持っていない。そのため、秋冬はスリッポンタイプのビルケンシュトックのサンダルを履き、春夏はキーンやウーフォスなどの合成樹脂でできたサンダルで過ごしている。そしていずれも、ユニセックスやメンズの製品であることを、ついつい忘れていたのだ。

あぁ、足の甲が覆われているタイプのレディースサンダルを、持っていなかったことが仇となった。まさかの「甲の輪っか」が予想以上に狭かったのだ。

 

右足の爪先だけがトンネルに隠れている。これはどう考えても無理がある。だが、左足はつま先から踵までソールの上に乗っているわけで、右足がどうにかなれば返品せずに済む。

しかも返品したところで、新たにサイズアップすることはできない。なぜなら、25センチが最もデカいサイズだからだ。ということは、ヒョウ柄のリカバリーサンダルを履きたければ、目の前にあるコレをどうにかするしかないのだ。

 

とはいえ、やはり物理的に無理がある。つま先しかサンダルに引っ掛かっていないわけで、右足を怪我しているかのように引きずれば、歩けないことはない。だが今日は仕事の予定がある。そんな状態で遠方まで出掛けるのは、リスクでしかない——。

そこでわたしは、サンダルにペットボトルを詰めた。

ウーフォスが開発した「ウーフォーム」という特殊素材は、一般的なスポーツシューズのソールに使われる素材と比較して、37%も足への衝撃を吸収するのだそう。たしかに、このねっとりとした伸びのある柔らかさは病みつきになる。ということは、そのフレキシブルな伸縮性に期待するしかないわけだ。

 

こうして、ペットボトルをねじ込んで30分が経過した頃、わたしの右足はなんとか甲のトンネルに収まることができた。——そうか、強引にペットボトルを突っ込めば、ウーフォスは伸びるのか!

 

わたしは「いい買い物をした」と、静かにほくそ笑んだのである。

 

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