夏の夜長

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(もう夏も終わりか・・・)

 

スーパーでタイムセールとなっていたカットスイカを頬張りながら、名前の分からない秋の虫らしき声を聞く。

残暑というにはまだ早いが、気がつけば8月も終わりに近づいている。そんな季節の変わり目の深夜に、夏の風物詩であるスイカを食べながら秋の訪れに耳を傾けるとは、なんとオツで贅沢な時間の過ごし方だろうか。

 

しかしスイカという青果物は、なぜこんなにもはっきりとしたカラーバリエーションなのだろうか。

 

そもそもスイカは果物として認知されているにもかかわらず、農林水産省によると、

「(中略)くだものと呼ばれることのあるメロンやイチゴ、スイカ(いずれも一年生草本植物)などは野菜として取り扱っています。」

とのことらしい。厳密には、概ね2年以上栽培する草本植物および木本植物であって、果実を食用とするものを『果樹』として取り扱っているのだそう。

 

まぁ固い話は置いておいて、一般消費者の認識としてはスイカは果物ということで問題はないだろう。

そんなスイカはとにかく果肉が真っ赤。そこに真っ黒いタネが散らばっており、目の覚めるような美しいコントラストである。

おまけに外果皮の色や模様は、まるで不屈の精神を表すかのごとく、黒と濃緑の大きなギザギザで彩られている。

 

屈強な外果皮とみずみずしい内果皮(赤い部分)との間には、これまたもやしっ子のような真っ白い中果皮が存在する。

しかしこのもやしっ子には、「シトルリン」と呼ばれるアミノ酸の一種が豊富に含まれており、抗酸化作用や血流の改善、老廃物の排出を促すなど、見た目以上の実力を秘めているのだ。

 

とはいえ、わたしが食べているカットスイカは、赤い部分と黒いタネしか入っていないので、シトルリンの恩恵にはさほど与れないのだが。

 

そしてふと気がついたことがある。もしやスイカは、ダイエットに適した果物ではないか?ということだ。

そもそも可食部の90%が水分でできているため、いわゆる水腹とでもいおうか、水分で満腹になるだろう。だがそんなことをいってしまえば、果物のほとんどはそんな感じなのだから、スイカに限った話ではない。

 

ではなぜ、スイカがダイエットに向いているのか。

 

それは、この黒いタネにある。

さすがのわたしも、スイカのタネをバリバリと食べることはしない。だがたまに白いタネが混じっており、こちらに関してはそのまま食べてしまうが。

似たようなケースで、メロンにも白いタネがこびりついていることがあるが、それも気にせず食べている。無論、真ん中のモヤモヤした部分を取り除いてもなお、残っていた場合である。

 

話が脱線したが、黒いタネを取り除いて食べるには、箸などでツンツン突いて脱落させる方法があるが、表面のタネ以外を取り除くことはできない。

そのため、一口ずつ小さく齧り取った果肉を、タネを噛み砕かないようにそっとアグアグしながら咀嚼することになる。そして咀嚼の途中でタネを確認すれば、それをプッと外へと吹き飛ばすわけだ。

 

おっと。「行儀が悪い!」などという小言はノーサンキュー。唇でタネをコントロールする訓練を行っているのだ。これが小さな毒の塊だと仮定すれば、いかに命中率を上げられるかでその先の未来が変わるのだから。

 

こうしてわたしは、夏の終わりを感じながら、ゆっくりとカットスイカを食べ尽くした。どの果物を食べるよりも時間がかかった気がする。

そして弾着をまとめあげたタネの山を掴むと、水道で洗ってから残弾処理(ゴミ箱へ捨てる)を行った。

 

(・・あぁ、満腹だ)

 

さすがに、これだけ時間をかけてスイカを食べると満腹にもなる。しかもタネのおかげで早食いができないため、必然的にゆっくり咀嚼することを強制される。その結果、内臓にも脳にも良心的な果物ということになるわけだ。

 

カロテンやリコピンも豊富なスイカを、ダイエットのお供に齧ってみてはいかがだろうか。

 

サムネイル by 希鳳

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