秋眠覚醒を覚えず

Pocket

 

秋だからか、それとも夜だからかはわからないが、とにかく眠い。

しかも急に寒くなってきたので、コンクリートの我が家はそろそろ地獄を迎えようとしている。

 

ちなみに、時間を問わず「昼寝」をする場合、どこで寝るパターンが多いのだろうか。

個人的には、「一日の終わりを迎える睡眠は、ベッドで取るもの」と決めているため、昼寝はソファがほとんどである。

まれに、夏の暑い日などは、大理石の床に張りついて昼寝をすることもある。だがこの場合、床が硬すぎて首だの腰だのが痛くなるので、寝覚めがわるい。

 

夏の間、使わなくなった毛布をしまおうしまおうと思いながらも、ずっとソファの背もたれに置いていたわたし。もちろん、きれいに畳んで乗っけていただけなので、いつでもしまうことはできた。

しかし、大きな犬小屋程度の我が家には、この毛布をしまうスペースがなかった。

狭いクローゼットには、毛布を押し込めるほどのスペースはない。料理をしないキッチンにも、毛布が入るほどの余裕はない。ならばトイレ…と言いたいところだが、案の定、そんな容量があるはずもない。

 

つまり、毛布を片付けたい気持ちはあるものの、それを実現する場所がないのだ。

 

こうして、暖かい季節から今に至るまで、洗濯済みの毛布はずっとソファの背もたれに乗せられっぱなしで、秋の終わりを迎えようとしている。

さすがにまだ毛布は要らないが、そうこうするうちにすぐに冬がやって来る。もはやしまう必要もないだろう。

 

とはいうものの、実際のところわたしは、真夏にもこの毛布を利用したことがある。そう、昼寝のときだ。

大前提として「洗濯済みの片付ける毛布」のため、広げて掛けるような真似はしない。四角く畳んであるものを一回だけ開いて、縦長の長方形にする。それを胸から膝あたりまでかぶせて寝るのだ。

 

言うまでもなく、「夏場のエアコン下における毛布利用の可能性が、ゼロではない」と踏んでいたわたしは、毛布の畳み方にも気を使った。

 

一般的には、最初にアタマ側とつま先側をくっつけるようにして畳む。そしてさらに半分に折り、ついでにもう一丁折り畳んでやるとコンパクトな毛布が完成する。

だがわたしは、最初に折るのを左右同士にしたため、超縦長の形状にしてからパタン、パタンと重ねていった。

その結果、最終形態はほぼ同じ。しかしそこから一回開くと、片や正方形に近い長方形、片や縦長の長方形という違いが生まれるのであった。

 

 

この、しまい損ねた毛布を掛けてソファで横になったのは、およそ1時間半前のこと。そこから15分ごとに、目が覚めては寝て、目を開けては閉じてを繰り返している。

 

ところで人間の目は、まぶたを閉じるとつられて目玉が上を向くようにできている。

これは、生理的な協同運動の一つで「ベル現象」と呼ばれる。目を閉じた状態でまぶたをつまみ上げると白目が見えるが、あれこそが覚醒時における正常な反応なのだ。

 

わたしは今日、このベル現象を数えきれないほど見届けてきた。

(もうそろそろ起きなければ…。あと5分したら起きよう…。まずい、日付が変わってしまった…。ダメだ、このまま眠ってしまうのだろうか…。仕事が片付いていないんだ、理性を総動員させろ…。いい加減起きないと、朝になってしまうぞ…。あぁ、寒い。もう少し温まったら起きよう…。)

同じようなことをグルグルと考えながら、目玉が上転するのを確認しつつ何度も落ちて行った。

 

こうして今、ようやく毛布を剥ぎとりソファを後にしたのである。

これを書き終えたら、こんどこそ寝心地のいいベッドで羽布団に包まって眠ろう――。

 

サムネイル by 希鳳

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です