午前4時ーー。
そろそろ寝なければまずい。何がまずいかといえば、外の明るさに耐えきれなくなることだ。
我が家はベランダを含むすべての窓がブラインドで覆われている。オシャレマンションゆえ、カーテンを設置するスペースもなければ暗闇を作らせる余地も与えられていない。
明け方に寝るわたしにとって、入眠とは明るさとの戦いとなるのだ。
*
午前4時半。
締め切ったブラインドの隙間から、夜が弱体化し、朝が勢力をふるい始めた気配をヒシヒシと感じる。
(やばい、急がねば)
暗闇が暗闇でなくなり、黒が濃紺に変化するとでも言うべきか。
ゾワゾワ胸騒ぎがする。この感覚、明確に朝を迎えつつあることを身体が本能的に感じ取っている証だ。そう、サーカディアンリズムというやつだ。
しかし作業の区切りがいいところまで済まさなければ、寝るに寝れないし死ぬに死ねない。
大急ぎで脳と指を動かし、なんとか滑り込みで夜っぽさの残るうちにベッドに入りたいと願う。
*
午前5時半。
今日は天気がよくないのかもしれない。恐れていたほどの明るさは入ってこない。
鳥やセミの鳴き声も気にならないし、バイクや車の移動音も少ない。
(急げ、このラッキーを利用しない手はない!)
あと少しでキリのいいところに到達する。とにかく急げ。
*
午前6時。
既にベッドの中にいる。だが完全に朝が始まり、活気づく世の中から迫りくる「プレッシャー」のため、すんなりと眠りにつくことができない。
さらに外は曇りか雨らしく、いつものような明るさには至らない。とはいえ室内は、電気をつけなくても文字が読めるほどの十分な照度ではある。
「アイマスクをすればいいじゃないか」
という意見をよくもらう。
たしかに過去に、アイマスクをして寝たこともある。
だが眼球を圧迫されるあの感じは、目玉が突出しているわたしにとっては恐怖であり、その不安からか悪夢にうなされ汗びっしょりで飛び起きることが常。
そのため、アイマスクは使わないことにしている。
*
午前7時。
これはもはや早朝とかそういうレベルではない。完全に健康的な「朝」だ。
地上からは子どもの声が聞こえる。それと同時に人間どもが動き始める気配を感じる。
不思議なもので、車やバイクの音がしなくても、外で人間が動き始めた気配というものは、室内にいても伝わってくる。
空気が動く、とでも表現すればいいのか。とにかく生物が外をうろつき、漲(みなぎ)る生命力を感じるのである。
これがまた睡眠を阻害する要因となる。
*
午前8時半。
動きの早い会社はすでに活動を開始する時間だ。わたしの携帯がブーブーと振動し、無視するのが困難になりつつある。
「枕元に携帯など置くから眠れないんだ!」
というド三流がいるが、手の届かないところでブーブーされてみろ。それこそ脳が覚醒して睡眠どころの騒ぎではない。
仮に緊急の連絡だと困るわけで、チラッと片目でLINEを確認する。そのほとんどは昨夜わたしが送信したメッセージに対する返信。
とりあえず、リアクションが必要そうなものに対してスタンプを返す。すると、
「もしかして今から寝るとか?!」
すぐさま返信がきた。そうだ、この人へは午前5時半すぎにメッセージを送っているため、その後すぐに寝たとしてもかなりのショートスリーパーということになる。
とりあえずこのコメントに対する返信は保留とし、ギュッと目をつむり睡眠に集中。
*
午前10時。
もう限界だ、ベッドから旅立とう。
今回のサムネは、ホナウド!
コメントを残す