極東のクレオパトラ、まさかのマオリ族になる。

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わたしは今日、ピアノ発表会で着用するドレスを選びに店へと向かった。

前回と同じく、銀座にある「シェアリーコーデ銀座店」にてドレスおよびパンプスとアクセサリーをレンタルすることにしたのだが、この店の素晴らしいところはアイテムの保有数もさることながら、指定日時に自宅へ配達してくれることや、着用後の返却も宅配便で済ませられることから、「受け取りや返却の手間が面倒!」というずぼらにとって救世主たる存在なのだ。

これがもし、「着用後はクリーニングをしてから返してくれ」だの「使用後は三日以内に店舗まで返却に来てくれ」だの言われた日には、その面倒くささがネックとなり衣装のレンタルをあきらめるに違いない。だが、自宅に居ながらにして受け取り・返却が可能とあれば、これほどストレスフリーな方法はないのである。

 

というわけで、さっそくドレスの試着に挑んだわたしは、相変わらケンタウロスのようなフォルムに包まれた自分に同情した——弓矢を射るポーズをとったら、それこそ見事なケンタウロスの出来上がりではないか。

前回に引き続き今回も担当してくれたスタッフの女性は、もはや最初っから手で口元を押さえており、隆起した肩および腕の筋肉とゴージャスで妖艶な黒いドレスとのミスマッチなコラボレーションに、女性を見る目というより「珍しい動物を眺める目」で釘付けになっていた。

(きっと、なんて言って褒めようか考えているんだろうな・・)

 

まぁ、ドレスを着ると毎回こうなるわけで、二年前に初めてケンタウロスを発見したときに比べれば、むしろ懐かしさを覚えるくらいの余裕があった。

だが今回、なによりも驚くべき事態に遭遇したのはドレスではなかった——なんと、ネックレスだったのだ。

 

ドレスに合うイヤリングとネックレスを見繕ってもらったわたしは、さっそくそれらを試着してみた。イヤリングは、キラキラと光を反射させるイミテーションダイヤが連なる形状で、黒いドレスを引き立てるアイテムとなること必至。

そしてネックレスは——まるでクレオパトラを彷彿とさせるかのような、豪華で煌びやかなシャンデリア・ネックレス(ビブ・ネックレス)が用意されていた。首が太いわたしにとって、小さなダイヤが一粒ついたような華奢なデザインはNGであるため、肩や腕のゴツさを緩和させるべくこのくらい立派なデザインのほうがマッチするに決まっている。

(極東のクレオパトラ、ここに現る!!みたいなタイトルで登場するのかな、わたし)

 

勝手に自身のタイトルをつけるほどに脳内でクレオパトラと化したわたしは、ネックレスを装着した東洋の美女たる己の姿に目をやった————えっ?!

なんと・・大きな姿見に映っていたのは、クレオパトラでも東洋の美女でもなく、戦うために生まれてきた「戦闘民族・マサイ族の青年」が堂々と立ち尽くす姿だったのだ。

 

いや、これはむしろマオリ族だろう。マサイ族はどちらかというと細身でスレンダーのため、肉付きがよくて野蛮なオーラを纏うコイツは、どちらかというとマオリ族に馴染みそうな風貌である。

にしても、なんだこの”首から胸にかけてのゴージャスな装飾品”による無駄な効果は。こちらとしては、美しいピアノを奏でるためにドレスやアクセサリーをレンタルしてまでステージに立とうとしているのに、ギラギラと力強い光を放つ多層のラインストーンが、首や肩の重厚感をさらに際立たせているではないか。

 

とりあえず、背後にいる女性スタッフに「ねぇ、なんか戦闘民族みたいじゃない?」と尋ねると、彼女は全力で吹き出した上にそれを否定しなかった。

(やはり、他人の目から見てもこれはマサイ族かマオリ族なのか・・・)

 

ちなみに、念のため女性スタッフの首にこのネックレスを巻いてみたところ、案の定、わたしが想像するようなクレオパトラやお姫様のイメージになった。

その際に彼女が「(首周りに)ピッタリすぎると部族っぽくなるのかもしれません。もう少しフロントに余裕をもたせれば・・」とフォローを入れたが——違うのだよ。わたしの首が太いせいで、ネックレスに余裕など生まれないのだよ。

 

 

このように、今回も渾身のステージ衣装を用意したわたしの本番を・・そして、日本人でありながらもケンタウロスとマオリ族の血を受け継ぐわたしの勇姿を、是非とも楽しみにしてもらいたい。

しつこいようだが、決して無駄な時間にはさせないので5月4日の夕方は「ルーテル市ヶ谷ホール」まで足を運んでほしい。むしろ、怖いもの見たさでソッと覗いてサッと帰ってもらえれば、それが一番ありがたいのである。

 

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