最適な経路

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目的地へ向かうにあたっての「最適な経路」というのは、じつは非常に難しい側面がある。

それが通い慣れた場所であれば、いつもの交通手段でいつもの出口を目指せばいいのだが、殊に初めて行く場所や慣れていないエリアとなると、いくつかの”問題点”が浮上することも。

 

しかも、東京ドームや六本木ヒルズのような広い敷地の場合、会場の入り口がいくつもあることから、公共交通機関を利用する際の駅や出口に気を使わなければならない。なぜなら、同じ敷地内でも出入口によっては数百メートルもの移動を要するため、そうなると電車の駅やバス停が一つズレる可能性も——。

よって、会場が広いまたは複数の建物から成る場合には、その出入口の場所まで確認しておかなければならないのである。

 

加えて、移動経路における乗り換え方法についても、「最短」だけを信じてはならない。なぜなら、自分にとっての最短とAIが考えるそれとでは、着眼点が異なることから必ずしも「最短」イコール「最適」とはならないからだ。

 

 

(お、バスだと入り口の目の前まで行けそうだ)

所用で東京ビッグサイトを訪れるわたしは、自宅からの最適な経路を検索していたところ、乗り換えが一回で済むうえに目的地である建物の入り口まで徒歩1分という、最高の条件が表示された。

とにかく、乗り換えの回数は少ない方がいい。海外旅行など、多少値段が高くても直行便がベストだし、百歩譲ったとしてもトランジットは1回まで——そう考える者は多いはず。これと同じ感覚で、歩くのが大嫌いなわたしは、近場の移動であっても徒歩は極力避けたいと思っているのだ。

 

そんな”わがままを反映してくれた”かのような検索結果について、念のため電車からバスへ乗り換える際のルートを確認したところ、完全に雲行きが怪しくなった。

(都営三田線の日比谷駅で降りて、数寄屋橋の交差点手前あたりのバス停で乗る・・だと??)

そもそも、日比谷や銀座のあたりを”敵地”だと認識しているわたしにとって、(三田線の)日比谷駅から地下道を闊歩してJR有楽町駅の手前付近の出口から地上に上がり、晴海通りを進んだ先にある(らしい)バス停まで移動する・・などというミッションは、とてもじゃないが遂行できない自信がある。

おまけに、バスというのは一本逃すと15分ほど待たされる場合もあるため、バス停にたどり着けなければ遅刻が確定することに——残念ながら、そんな恐ろしい移動手段を選べるほどの度胸はないので、却下。

 

(こちらも乗り換え一回で、トータル430円・・安いじゃないか!)

続いてのおススメ経路は、これまた自宅から恵比寿駅までバスで移動し、そこでJR埼京線に乗り換えるパターンだった。恵比寿までのバス移動については、もはや十年以上のキャリアがあるため恐ろしくはない。しかも使い慣れた駅のため、あわよくばダッシュで一本早い電車に乗れる可能性も——。

ところが、電車を降りてからが「まさかの展開」だった。なんと、750メートルも歩かなければならないらしく、地獄の炎天下を一人で12分も歩かされるなんて・・・こちらもあり得ないので、却下。

 

(こうなったら、ゆりかもめを使うしかないな・・)

そう、ゆりかもめには「東京ビッグサイト駅」があるので、そこからであれば徒歩5分で到着できるはず。だが、ゆりかもめの最大の弱点・・というか皆から嫌われている理由は、とにかく乗り換えが面倒なことだ。とくに、新橋や汐留で乗り換えろ・・などと言われたら、それこそUターンして自宅へ戻るだろう。

にもかかわらず、どの候補も「新橋」「汐留」での乗り換えを勧めてくるではないか——もう行くのやめようかな。

 

しかしながらわたしは知っていた。何を隠そう「豊洲」でゆりかもめに乗り換えられる・・ということを!!

しかも、新橋や汐留と比べると乗り場までの道順が分かりやすい上に、時間的にも最短で乗り換えできることから、「どうせゆりかもめに乗るなら、豊洲から」というキャッチフレーズを胸に、今日まで生きてきたのである。

どうやら、トータルの移動時間でみるとこの経路は最短ではなさそうだが、とはいえ乗り換えで迷ってタイムロスしたり、はたまた降りてから歩かされたりするのはまっぴらごめん。よって、このルートが必然的に採用されることとなった。

 

(よし、経路も決まったし・・あとは寝坊に気をつけるだけだな)

 

 

わたしには強力な必殺技・・というか能力がある。その名も「遅刻」という、摩訶不思議なパワーだ。こればかりは何人たりとも防ぐことができないため、とにかく神に祈るしかないのである。

 

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