久々に会った友人(男)と、われわれ中年世代の恋愛観について語り合ったところ、中年男性にとって必要なのは、見た目の美しさや体の相性ではなく「居心地の良さ」なのだと力説された。
とはいえ、一概に“居心地の良さ“といっても、それはやはり人それぞれだろう。なんせわたしにとっての居心地の良さは、優しさや包容力ではなく「面白さや斬新さ、加えて儚さと危うさ」あたりが条件となる。逆に、わたしのような傍若無人な暴君(?)と過ごす時間を、「あぁ、なんて居心地がいいんだ!」などと感じる変わり者は、そうはいない・・どころか皆無だろう。
かくいう友人も、若い頃はビジュアル重視で女性を選んでいたようだが、40歳を超えてからは落ち着いた恋愛を好むようになったとのこと・・おっと、彼は既婚者だった。
同世代はほぼ結婚経験のある友人ばかりの中、特殊な性癖があるわけでも生活習慣にこだわりがあるわけでもないのに、なぜかまったくモテないわたし。そこで、ユニクロの白いダウンジャケットを購入した際に言われた「ガンダムみたい」という話を友人にしたところ、案の定、大爆笑されたわけだ。しかも極めつけが、
「まだベイマックスのほうがマシだよね」
という、まさかの”再現セリフ”だったことには盛大に吹いた。要するに、白くてモコモコしたフォルムはベイマックスを想像しがちなのだろう。
ちなみに先日、うずくまっていたわたしがゆっくりと立ち上がったところ、それを見ていた友人が「エヴァンゲリオンの初号機みたいだ」と呟いた。ダウンを着ればガンダム、ゆっくりと立ち上がればエヴァの初号機——。わたしって一体なにものだと思われているのだろうか。
「でもさぁ、ベイマックスでもガンダムでもエヴァンゲリオンでも、どちらも女性としての魅力は皆無だよね? で、みんながそう思っているとしたら、そんなキャラクターみたいなオンナに惹かれるオトコはいない・・ってことじゃない?」
もはやオンナじゃないどころか、ヒトでもないキャラクターを連想させるあたり、白馬の王子様が現れることなど二度とないのでは・・と悲観していたところ、友人が自信たっぷりにこう断言してくれた。
「世の中、変わり者っているんだよ。絶対にいるから、大丈夫」
・・おいおい、何を言っているんだ。わたしはそんな珍獣枠なのか?!
「でもさぁ、もしかしたらワンチャンあるんじゃないか・・って、シャレたフットネイルをしたり髪型を整えたり、美意識高く生きてるっていうのに変わり者すら来ないのは、いったいどういうことかね?」
こうなったら、変わり者でもなんでもいいから「とりあえず門を叩けや!」と思うのである。それを聞いた友人は吹き出しながら、
「何年経ってもワンどころかチャンも来ない、と・・・プッ!」
・・・全然面白くねぇよ!!!!
とどのつまりは、わたしにとっての”ワンチャン”は、年上好きの風変わりなオトコしかいないと思われる。「ちょっと珍獣でも飼いならしてみようか」というノリで、少しだけ付き合ってみてもいいかな、と・・いや待てよ、それは恋愛ではなく飼育なのでは——。
そもそも、全員一致でわたしをガンダムやエヴァに見立てているあたり、他人がわたしをどのような目線で見ているのかがよく分かる。そういえば、柔術の練習でも男性と組まれることが多いわたしに向かって、先生はこう説明してくれた。
「ウチは女性差別をしない、ジェンダーレスなジムなんで」
「こんなに筋肉のあるヒトを女性と組ませたら、逆に失礼にあたるじゃないですか」
などなど、なんとも謎めいた理由で”非女性扱い”してくれるわけで。
「いや、とにかく大丈夫。世の中には必ず『物好き』がいるから!」
友人からも謎の励ましを受けたわたしは、とりあえずその瞬間を待つことにした。まだ見ぬ“変わり者”を待ち焦がれて——。
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