キウイとバナナのハイブリッド、果たしてそのお味は・・・

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たとえばわたしは、ベイクドチーズケーキや焼き芋のような「ねっとりとした食べ物」が好きだが、ガリガリ君やガツンとみかんのような「サッパリ氷菓」も大好物。どちらか一つを選べ・・と言われても、時と場合によるため「甲乙つけがたい」というのが本音だが、トータルするとチーズケーキのほうが上だろうか。

そしてこれは、同時に解決できる問題ではないからこそ奥が深い。たとえば、サッパリ系の代表であるソーダやコーラといった炭酸飲料や、レモンやグレープフルーツのような柑橘類を、こってりねっとり系のチーズケーキやだんごに混ぜ込んだところで、さほど美味くはない。

 

やはり、こってりねっとり系には同類であるバターやキャラメル、栗、バナナといった、それ単体でもねっとりとした材料や果実がマッチするのだ。逆に、バターでできた氷菓はそそられないし、栗やバナナ味のかき氷というのも、あるにはあるが個人的には好みではない

このように、味と食感には切っても切れない関係性があり、それを"どうにかして合体させよう"などと思わないほうがいいのだ。それこそ余計なお世話だし、それぞれの良さを味わいながら食べることに、幸せと意義を感じるのだから。

 

ところが今日、わたしは驚くべきハイブリッドを発見した。アリかナシかといえばアリだが、そこまでマッチするとは思えなかった。一口かじって「まぁ、こんなもんだろうな」で終わりだろう——。

そんなことは分かっている。ゆえに、大して期待もしていないわけで、むしろこれまでの"序列"を乱すような試みに、若干の苛立ちを覚えるわけで。

それでも、試さない手はない。何事も経験がすべてであり、結果など副産物に過ぎないからだ。その先に待っているのが落胆や絶望であったとしても、甘んじて受け入れるのがオトナというもの。——よし、試食といこうじゃないか!

 

こうしてわたしは、"期待できないハイブリッド"へと手を伸ばした。その正体とは・・・キウイ味のバナナ、「キウイーナ」だ。

 

キウイーナは、住友商事が扱っている東南アジアの果物部門(旧住商フルーツ)である、株式会社スミフルジャパンの目玉商品。

「まるでキウイのような爽やかな美味しさの、新しい味わいのバナナ。フィリピンのスミフルバナナ研究所で品種改良を重ねて誕生した“スミフル開発品種バナナ”です。爽やかでさっぱりとした口当たりでくせになる美味しさをぜひお楽しみください。」

スミフルは、このようにキウイーナを紹介している。

(こってりねっとりの歯ごたえが売りのバナナに、爽やかでサッパリとした口当たりを混ぜるだと・・? フン、所詮は想像の域を超えない味に違いない)

 

この世のほとんどの謳い文句に対して、疑いの眼しか向けることのないわたしは、ごりっぱな紹介文を冷たい目で斜め読みすると、キウイーナを一房つかんでレジへと向かった。

 

 

店を出るとすぐに、キウイーナを袋から取り出し皮を剥いた。サイズは小ぶりで、スタバのレジ横に置いてある一本売りのバナナと比べると、ずいぶん可愛らしい様相である。

(フンッ!なにがキウイ味だ。ちょっと酸味の強いバナナ程度だろう)

期待値ゼロのわたしは、むき出しになったバナナにはむッと噛みついた。モグモグ・・・。

(・・・・・・キ、キウイの味がする!!!)

なんとこのバナナ、たしかにバナナだがキウイの味がするではないか。しかもバナナのまろやかさを残したまま、それでも舌に響くキウイの酸味と甘みが、完璧にマッチしているではないか!!!

 

わたしは夢中になってキウイーナを貪り食った。店の外で一心不乱にバナナにかじりつく輩は、後にも先にもわたしくらいだろう。そしてあっという間に一房を完食したわたしは、もう一度店内へと踵を返した——これは・・このバナナはまぎれもなく当たりだ!!!

 

 

改めて思うことだが、農業の進化や成長は著しい。試行錯誤の末に失敗作が生まれることもあるだろうが、この「キウイーナ」のように大成功といえるハイブリッド作品も、この世には多く出回っているはず。

フルーツ好きのわたしにとって、キウイとバナナの融合は想像以上のマッチングをみせたわけで、スミフルにはさらなるバナナの新商品を期待したいのだ。イチゴ味のバナナ・イチゴーナや、メロン味のバナナ・メロナーナなど、精力的な開発を希望するのであった。

 

サムネイル/Sumifuru(スミフル)キウイーナより

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