貧乏バンザイ!

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料理の苦手なわたしでも、得意料理の一つや二つはある。

その一つが、さつまいもを蒸(ふか)すこと。

スーパーでさつまいもを購入したならば、あとはキッチンペーパーやティッシュペーパーを用意できれば、それだけでほぼ完成だ。

 

 

さつまいもはその昔、貧乏な家庭の食べ物だった。というのは嘘だと思う。

こんなにも美味い食べ物しか食べられないのならば、むしろ貧乏のほうが幸せだ。

 

そういえば以前、小料理屋で出されたピンク色の薄っぺらい刺身のようなものに驚いた。めちゃくちゃ美味かったのだ。

その正体は「鯨ベーコン」。

同席していた相手は、

「むかし給食で出たんだよね、今じゃこんな高いのか」

と言うのでなおさら驚く。こんな豪華な(?)ものが出る給食って、とんでもなく羨ましい学校だ。

 

鯨ベーコンが美味かったのも衝撃だが、フチがピンク色だったことも印象深い。どうやら肉の表面の脂が酸化して黄色く変色するので、人工着色でピンク色に染めているのだそう。

食べる人の食欲をそそるように、鮮やかでめでたい色を選んだのだろう。

 

ーーさつまいもに鯨ベーコン。

昭和の時代では貧乏な食べ物に位置付けられていたメニューが、今ではわたしの大好物となっている。

安上がりな女だ。

 

 

話をさつまいもに戻そう。

さつまいもを買ってきたら、まずは表面を軽くすすぐ。そしてキッチンペーパーでぐるっと包み、その上からまた濡らす。この時びしょびしょにすることをお忘れなく。

なお、さつまいもがデカい場合は半分に折ればいい。包丁など使わなくても、フンッとやれば簡単に折れる。

 

そしたら後は、スーパーから持ち帰ったレジ袋にさつまいもを入れて、ぐるっと巻いたら準備完了。そのままレンジへ放り込む。

 

そしてここからが調理の極意となる。

まずはじめに500Wで2分ほど蒸(ふか)す。うちのレンジは500Wと200Wだが、レンジによっては600Wと200Wなど色々あるので不思議だが、高いワット数のほうで2〜3分。

その後、200Wで10~13分やれば出来上がり。

 

わたしの料理のポイントは、サランラップなど使わない便利さだ。

貧乏でサランラップが買えなくても、スーパーのレジ袋を巻けば代用できるという庶民の味方。

さらにサランラップは、一度巻いたものを何度も使い回しはしないだろうが、レジ袋ならば何度でも使えるし、最後はゴミ袋として大活躍。

 

キッチンペーパーも買えない貧乏人は、トイレットペーパーで代用すればいい。とにかく、レンジとサツマイモがあれば、なんとかなる。

 

URABE’sクッキングの最大の特徴は、貧乏人にやさしい料理。

 

 

こうして完成したさつまいも。丸ごと一本、残すところなく食べ尽くす。1本では足りず、2本目に手を出す。そうこうするうちに、3本目。

今夜は合計4本のさつまいもを、美味しく納めさせてもらった。

 

しかし、さつまいもはどんな飲み物とも相性がいい。

一番はブラックコーヒーだが、牛乳でもいいし、お茶でも合う。オロナミンCでも悪くない。

 

ーーあ、わかったぞ。

昔の貧乏人は、さつまいもの美味さを金持ちに知られたくなかったんだ。だからさつまいもを「貧困の象徴」に仕立て上げたんだ。

そうすることで、あいつらにこの絶品食材を奪われまいと、必死に知恵を振り絞ったのだろう。

 

ーーそういえば、こんな感じの古典落語があったな。

 

 

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