「手当て」の威力に治癒力の速さ・・その理由とは?

Pocket

 

他人に自慢できることなどないわたしだが、唯一、自慢というか不思議とそうなる"現象"について、自分なりに理由を考えてみた。その現象とは、負傷した箇所の治癒の速さだ。

さすがに骨が折れたり靭帯が切れたりしたら、すぐに治ることはないが、小怪我程度ならば瞬間的に症状が改善されるのが特徴。自分自身でも驚くほどの治りっぷりであり、ウソのような本当の話なのだ。

 

 

パキンッ!

ブラジリアン柔術のスパーリング中に、わたしの親指と男性の頬骨とがぶつかった。状況としては、相手の襟を掴もうと素早く手を伸ばしたわたしに対して、相手はわたしの足にしがみつこうと接近してきたため、衝突事故となってしまったのだ。

そして、わたしの指と相手の頬とが接触した結果、わたしの右手親指があらぬ方向へ曲がったのである。

(・・・痛っ!!)

激痛が走ったが折れてはいない。無論、関節が外れてもいない。単なる突き指・・というか捻挫だろうが、わたしの指から軽やかな音が放たれたため、耳元でその音を聞いた相手は「だ、だいじょうぶ?!」と、自らの痛みよりも先にわたしの指の心配をしてくれた。

「大丈夫だけど、20秒待ってもらえる?」

互いに謝り合いながら、わたしは右手親指を逆の手のひらで覆った。そして圧迫しながら念じた——痛いの痛いの、飛んでけぇ!!

 

諸説あるが"手当て"という言葉は、患部に手を当てることで痛みが和らぐ・・という現象から生まれたらしい。それが非科学的なものだとしても、実際に患部へ手を当てておくと、徐々に痛みが和らいでいくから不思議である。ややもすると、ニンゲンにはそういったチカラが備わっているのかもしれないわけで——。

ちなみにわたしは、負傷した瞬間にそれが「手当て」で治まるか否かが分かる。さすがに、肋軟骨が快音を鳴らしたときは「やっちまったな・・」と即座に諦めたが、全治2週間程度の怪我ならば"手当て"でどうにかできるのだ。

当然、今回の親指も"手当て"で治癒できるため、わたしは真剣に手のひらからパワーを送った。「治る、絶対に治る!!」と念じながら——。

 

そして20秒が経った頃、心配そうに見つめる相手に向かってわたしは笑顔でこう言った。

「お待たせ、やろうか!」

 

 

先月、わたしは右足の親指のツメがべっこりと剥がれた。まるで戦闘機が飛び立つ瞬間のように、45度の角度でツメが持ち上がったところを、わたしとスパーリング相手がしっかりと視認しているから、剥がれたことは紛れもない事実。だがわたしは、その瞬間に強く感じたのだ。

「大丈夫、これはくっ付く」

・・・と。

そしていつものごとく、剥がれたツメを押さえつけると手のひらからパワーを送りながら念じた——痛いの痛いの、飛んでけぇ!そしてくっ付く、絶対にくっ付く!!

 

あれから一か月が経ち、そろそろツメのメンテナンス(フットネイル)の時期が訪れた。だが、ネイリストの友人に見てもらうまでもなく、親指のツメが完全にくっ付いていることを、わたしは知っていた。

なぜなら、ツメを切ったり圧力を加えたりした結果、べっこり剥がれたはずのツメが見事に固着していることを確認済みだったからだ。

(やっぱりな。くっ付くといったらくっ付くんだよ!!)

 

 

このように、怪我の治癒が異常に速いのがわたしの自慢である。どのようなシステムで治癒が早まっているのかは分からないが、思うに"動物的な要素が強いから"ではなかろうか。

ほかにも、

「じつはおじいちゃん、村一番の力持ちだったんだ。誰も運べなかった大きな岩を、一人で担いで運んだらしい・・」

という、謎のカミングアウトを父から聞かされるなど、隔世遺伝の可能性も否めないわけだが、それよりも動物的な要素が強い・・に一票を投じたい。なぜかというと、わたしのふざけた食生活をみていると、とてもニンゲンぽくはないからだ。

 

スイカ一玉、バナナ2房、幸水2個、トウモロコシ1本、ジャガイモ5個・・・これは、わたしが昨日食べた食事の内容である。スナック菓子やケーキは食べていないから「不健康」ではないが、それでも決して栄養バランスのいい内容とはいえないだろう。

こんな食生活を送っているにもかかわらず、怪我の治癒が速いことや一般的な女性と比べると力が強いことを鑑みると、草食動物の血が混じっている・・というか「腸内細菌の種類がニンゲンとは違うからではないか」と思うのだ。

 

——というわけで、怪我の治りがはやいのは腸内細菌の影響だと、個人的に自負しているのであった。

 

llustrated by おおとりのぞみ

Pocket