二日前、メキシコのメシが不味いことばかり書いたので、もう少し別のメキシコを綴っておこう。
まず、メキシコ(メキシコシティ)へ行ったことがない人のために、お知らせすべきことがある。
主に2つ。
①メキシコにサボテンは生えていない
②メキシカンはストローハットなんてかぶっていない
日本人に植え付けられたイメージでは、でかいサボテンに囲まれ、ストローハットに口ひげをたくわえたオジサンが、ギターかバンジョーだかをかき鳴らす画。
しかし、そんなものはメキシコシティ(市内)ではお目にかかれない。
市内から高速バスで1時間ほど進んだところで、サボテンが突如現れる。
つまり、人為的なニオイがする。
突如サボテンが現れた頃、これまた突然ストローハット売りが現れる。
陽気な雰囲気を醸し出す、やらされてる感満載なアルバイトと思しき男性が。
ワタシは騙されなかった。
オーストラリアのウルルへ行ったときも、原住民のアボリジニーが、携帯電話を隠し持っているのを目撃した。
わざと原住民ぽい衣装と楽器(ディジュリドゥ)と振る舞いで、アホ・・・いや、純粋な観光客たちを楽しませてくれていたのだ。
とにかく、ワタシは伝統や文化など、まやかしだと決めつけているので、このサボテンと帽子が「自然ではないこと」は見抜いていた。
が、多くの観光客(国籍、性別、年齢問わず)の目はふし穴のため、ストローハットをこぞって購入し、サボテンの前でポーズを決めて記念撮影を楽しんでいた。
むしろワタシは、人工的なサボテンとストローハットの、道を挟んだ逆側の景色にくぎ付けだった。
小高い丘が連なっているのだが、その斜面にビッッシリ、民家らしき小屋?が建っているのだ。
(これ、郵便物って届くのかな・・・)
全ての家が斜面に建っているので、真っすぐな家など一つもナイ。
洗濯物は、隣の家の柱と自分の家の窓をつなぐヒモに干してある。
カラフルな国旗みたいで、ある意味、キレイだ。
ここで暮らす人々は、なんの仕事をしているのだろう。
子どもたちが通う学校は、どこにあるのだろう。
手紙や物資を送ったら、本当に正確に届くのだろうか。
車輪のついてる乗り物を路駐したら、すべて、下まで転がり落ちるわけで、ここで路駐はありえないな。つまり、警察もそこは注意する必要がないな。
ちょっと文学的な思想に耽っていると、友人に、「はやく行こうよ」と引き戻された。
そうだ。
私は観光が大っ嫌いなのに、メキシコ赴任中の友人は、毎日、学校と仕事のくり返しで、観光をしたことがないため、帰国前にピラミッドへ登りたい、と懇願されたためしぶしぶ同行したのだった。
上機嫌な友人は、ワタシにストローハットを買い与えた。
ティアドロップのサングラスまで買ってくれた。
なにが楽しくて、こんな滑稽な似非メキシカンを演じなければならないのか。。
(一応、写真には納まっておこう)
テオティワカンは、世界三大ピラミッドの一つらしい。
テオティワカンは、強風だった。
強風にも関わらず、ピラミッドに設置された階段に、手すりはなかった。
その代わり、ところどころロープがぶら下がっていて、お年寄りはそのロープにしがみつきながら、文字通り命がけでピラミッドを登っている。
階段でいうところの「踊り場」的なところ、ピラミッドの中間地点あたりで、ある方向に向かってポーズを決めて写真撮影するのが、テオティワカンの決まりらしい。
観光客は恥ずかし気もなく、全員同じポーズで撮影していた。
テオティワカンの何が恐ろしいって、その記念撮影スポットの背後というか、ピラミッドの外側に、手すりも柵もクサリもロープも、障害物が何もナイのだ。
しかも、強風。
(これ、絶対に死んでるぞ何人も)
友人にその話をすると、友人はケロっと、
「うん、たくさん死んでるらしいよ」
これがラテンアメリカのマインドなのか。
「転落事故は自己責任です」
と書いてあるような気がする看板を目にして、多分、本当に事故が起きても、
「あぁ、勝手に登って落ちたんだね」
で、終わる気がした。
お年寄りが必死にロープにしがみつき、段差が大きく登りにくい階段を、一歩ずつ噛みしめながらココを目指している。
その先に、何があるというのだ。
下手したら、本気のゴールだ。
(以下、自粛。)
とその時、なぜかずーーっと同じペースでピラミッドを登ってきた “仲間” と目が合った。
世界遺産を、革パン、モヒカン、舌ピ、全身タトゥーで、ガムをクチャクチャしながら大騒ぎしてる4人組だ。
何度か話しかけようとしたが、仲間と思われるのもなんだかなぁ、と躊躇した。
しかしもう出口へ向かう道中、このチャンスを逃したら二度とコミュニケーションをとることはないだろう。
私は意を決して話しかけた。
彼らと何を話したかは覚えていないが、気がつくと一緒に写真に納まっていた。
彼らは「TOTAL CHAOS(トータルカオス)」という、ヘビメタバンドのメンバーで、メキシコでライブだったそう。
ヘビメタなど全く無知なワタシだが、
「あなたたちの歌、クールね!」
とノリを合わせて仲間になった。
*
ピラミッドとは縁遠いアメリカ人ヘビメタバンドと日本人が、メキシコの世界遺産でコミュニケーションを図った話でした。
高さ×4×πで4辺の合計になるんですよね。
エジプトのは高さ×2×πで4辺の合計となるようです。
地球をあらわしたかったという説が自分は好きですw
(メモメモ・・・)