私は、野菜や果物を皮ごとダイレクトに食べるのをモットーとしている。そこで、友人から送られてきた白いトウモロコシをそのまま食べてみた。
近頃、「ホワイトコーン」と呼ばれる粒の白いトウモロコシが流通している。その中にも種類があり、プラチナコーン、ピュアホワイト、ホワイトショコラ、ホワイトレディー、雪の妖精などなど、種苗会社によって付けられたネーミングが光る、オシャレトウモロコシたち。
しかしこれら「白粒種」は栽培が難しいため、幻のトウモロコシとも呼ばれている。
トウモロコシの花粉は風に乗って飛ばされる。そのため、近くで「黄粒種」を栽培しているとその花粉が白粒種に授粉し、黄色と白色が混じったトウモロコシとなるのだ。
そこで、トウモロコシ畑の間隔を200メートル以上離すか、栽培時期をずらすといった注意が必要となる。
このような苦労をしてまで、なぜホワイトコーンを作るのだろうか?
それは、一口食べれば虜になる「スイーツのような甘み」が原因である。
ホワイトコーンはどの品種でも甘い。比較するなら、メロンや桃よりも甘いとされる。さらに歯ごたえもシャキシャキしており、穀物というよりフルーツに近い。
そして極めつけは、ホワイトコーンは生でも食べられる。よって、まるで新鮮なフルーツに噛りついているかのような気分を味わうことができるのだ。
昨年の今ごろ、私は初めてホワイトコーンなるものを手にした。それは群馬県の田舎にある直売所だった。
「生でも食べられる、フルーツコーン」という誘い文句にのせられて、半信半疑でかじりついた記憶が懐かしい。そして宣言通り、フルーツの甘味とシャキシャキの歯ごたえに大満足したわけだ。
あのホワイトコーンが、いま再び目の前に現れたのだ。なおかつ、食に関して信頼のおける友人からのクール便とあらば、何の心配もいらない。
薄くてしっとりとした上品な皮を剥き、きれいに切り揃えられたヒゲをむしる。
(おぉ、美しいホワイトの粒!)
想像通りの眩い輝きを放つ、ホワイトコーン。
そこで私はすぐさまかじりついた。
シャクシャク・・・
フルーツさながらの新鮮な歯ごたえと、濃厚かつさっぱりとした甘みが、私の手を、いや、歯を止めない。
シャクシャク・・・
半分くらい粒を収穫したところで、とある異変に気づく。正確には一口目から気付いていたが、「気のせいだ」と思いこませてここまで来た。
しかし気のせいではなく、現実的に異変が起きているのだから無視できない。
そう、なぜか分からないが舌先が痺れるのだ。まるでサイダーに浸したトウモロコシを食べているかのように、甘みと同時にシュワシュワと軽い刺激を感じるのだ。
ちなみに私はトウモロコシアレルギーではない。ここ最近でトウモロコシアレルギーになったという事実もない。
なぜなら昨日、秩父の美味しいトウモロコシを満喫したところだからだ。
ではなぜ、トウモロコシしか食べていないにもかかわらず、明らかに舌先が痺れているのだ?私の身体に何が起きているのだ――。
得意のGoogle先生に尋ねる。
(まさか、今の今のタイミングでトウモロコシアレルギーを発症したとでもいうのか?)
すると、あるアレルギー科のドクターがこう言っている。
「トウモロコシを食べて舌がピリピリする場合、しっかり茹でてから食べましょう」
・・・お、押忍。
一本目はそのまま生で食べきり、二本目はレンチンしてから食べることにした。
わずか一分でもレンジで加熱したホワイトコーンは、ジューシーかつフレッシュで、舌が痺れることもなかった。
とにかく、トウモロコシアレルギーではなくてよかったと、心底ホッとしたわけだ。
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