喪服と女 URABE/著
突然だが、私は喪服だ。 ひとり一着は持っていなければならない、究極のマストアイテムである喪服。制服の学校に通う生徒ならばいざ知らず、いい歳した大人が喪服の一つも持っていなければ、笑い者どころか常識知らずの恥...
突然だが、私は喪服だ。 ひとり一着は持っていなければならない、究極のマストアイテムである喪服。制服の学校に通う生徒ならばいざ知らず、いい歳した大人が喪服の一つも持っていなければ、笑い者どころか常識知らずの恥...
人間は自分の死期を前もって知ることはできない。よって、一分後には死んでいる可能性も十分ある。天変地異など予測できたところで防ぎようもなく、そうなったら運を天に任せるしかない。 そのくらい、人の命など短くて儚...
(オレはもう二度と、遅刻などしないだろう) そんな確信に近い手ごたえをひしひしと感じた。JR中野駅から数百メートルほど離れた道端で、オレは小さくガッツポーズをした。 * &nbs...
お気に入りの服や靴を買ったはいいが、滅多に着用せずにしまい込んだり、誇らしげに飾って眺めたり、そんなタイプはいないだろうか? わたしは逆にお気に入りばかりを着用するため、すぐダメにするタイプだ。とくにダメー...
これだから現金なんて持ち歩かないほうがいいんだ――。 私はいま台場のスタバにいる。そしてベンチのようなソファに腰かけて仕事を進めているのだが、さっきから私の左30センチ横にチラチラ光るものがあ...
東京は摩訶不思議な都市だ。なかでも新宿は魔界である。 * 大学入学と同時に静岡から上京してきた俺は、都内の外国語スクールに就職して7年が過ぎる。人付き合いが得意なほうではないため、飲みに誘われても断り続けた...
毎日顔を合わせていると、気がつかない変化というものはある。とくに男は、女の髪型やメイクが変わったことなど気づきもしない。毎朝顔を合わせる妹でさえ、髪染めただのグロス変えただのいわれても、分かるはずがない。興...
遅刻をしない風景って、どんな感じなんだろう――。 ここ何か月、いや、何年も何十年も考え続けたことだった。私はADHD(注意欠如多動症)を抱えながら生きている。今でこそADHDは一般的な病気として認知されてい...
――ここはどこだろう。田舎であることは間違いない。窓の外は雪景色、かなり積もっている。そしてわたしは市営バスのシルバーシートで、崩れ落ちそうな姿勢を保ちながらなんとか座っている。なぜか?乗客などわたし以外に...
我が家にはいま、大量の土佐文旦(とさぶんたん)がある。ある日の朝、デカい段ボール箱を抱えた配達員がやってきた。 「重いので気をつけてください」 そんなこと分かってるよ、と内心減らず口を叩きながら受け取ったそ...
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