シャワリンピック

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オリンピックのいいところは、普段お目にかからない競技の世界トップレベルの争いを、じっくり観戦できるところ。

 

わたしにとって「水系」の競技は縁遠い。泳げないわけではないが、人間は水中では生きられないため、命の危険を感じずにはいられないからだ。

 

サーフィンなど、あんな高い波に向かて飛び込んで行くとは自殺行為にしか思えない。

白波の間から選手の顔が見えた時、あぁよかったと心底ホッとする。

 

サーフィンをする友人にこの話をすると、笑われる。

「なんか痛いなぁと思いながら陸に上がったら、アキレス腱が見えてたことあるよ」

・・・そんなことあります??

なんか痛いなぁ、じゃないだろう!悶絶する痛さだろうが。

 

どうやら海水が冷たかったせいで神経が麻痺していたらしく、ちょっと切れたかな?くらいに思っていたらしい。

そして友人は、そのまま病院へ運ばれたそうだ。

 

このように命の危険をともなう水系競技だが、オリンピックで興味をそそられたのは「板飛び込み」だった

 

選手全員がすばらしい飛び込みをするが、解説者は、

「あぁー、ちょっとしぶきが大きいですねぇ」

「あぁー、板の先端を踏めませんでしたねぇ」

などと厳しい言葉を口にする。

 

各選手への専門的なコメントを聞きながら「わずかなミスでの減点」というものを、わたしは学んだ。

そのうち素人のわたしにも、成功か失敗かの違いがわかるようになってきた。

 

とくに入水時の「水しぶき」は分かりやすい。空中での回転が足りなかったり、つま先がピンと伸びていなかったりすると、足の甲や裏で水面を叩いてしまい、高いしぶきがたつ。

これは減点対象だ。

 

また飛び込み板のしなり具合も、蹴る位置によってまるで違う。板の先端をきっちり踏めると、ボヨンとしなり高く飛べる。

だが少し手前を蹴ると、板はしならず高さも出ない。

あの板はそうとう硬い素材でできているとみた。

 

そしてわたしが最も気になったのは、選手がプールから上がった後の行動だった。全員、すぐさまシャワーを浴びるのだ。

 

男子3メートル板飛び込みは、15人くらいが順々に6回の演技を行う。シンクロナイズドダイビングなど、もっと短いターンで順番が回ってくる。

なのに選手らは水から上がると、すぐさまシャワーを浴びている。

 

(そんなに塩素が強いプールなのか?)

 

競泳ですぐさまシャワーを浴びる映像を見たことはない。なぜ、飛び込みだけこんなにもすぐにシャワーを浴びるのかーー。

 

とその時、友人が飛び込みの元日本代表だったことを思い出す。彼女ならば間違いなく、真実を教えてくれるだろう。

 

「飛び込み競技は一人ずつ飛ぶので、次の出番まで時間がかかる。その間に体を冷やさないように、シャワーやお風呂であったまってから、体を拭いて待つんですよ」

 

なるほど!そういうことだったのか!!

この説明には得心が行った。さらに彼女は、

「あのシャワー、家のシャワーみたいに温度調節できるんです。あとはジャグジーが設置されてたりしますよ」

とも教えてくれた。

 

たしかにほぼ裸状態の選手、待っている間に体が冷えてしまうことは想像がつく。

演技に支障が出ないよう体を温めておくためにも、シャワーは温水、さらにジャグジーで体温キープと、バックヤードは選手のための配慮がされているのだ。

 

選手のためといえば、プールサイドから水面に向かってシャワー状の水が撒かれている。あれも何だろう?と思っていたところ、

「水面が静止していると、入水までの距離感がつかめない」

ということで、シャワーでさざ波を立てているのだそう。

 

さざ波により、3メートルを超える高さから落下してくる選手に対して、水面までの距離を分かりやすくしているのだ。

 

たしかに水面まで遠いのか近いのか分からなければ、飛び込む選手は恐怖を感じる。これも経験しなければわからない、配慮といえるだろう。

 

 

ちょっとした予備知識を入れたところで、数日後には「高飛び込み」が行われる。

板飛び込みが3メートルに対して、高飛び込みは10メートルの高さから飛ぶ競技。これはビルの3階に匹敵する高さだ。

 

2秒弱という瞬く間の美しい演技に加えて、プールから上がった後の華麗なるシャワーを、ぜひお見逃しなく。

 

 

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