(・・・またか)
毎日毎日ウーバーイーツを利用していれば、そりゃハズレも引くだろう。
今日、久々にコーヒーがブチまかれた紙袋を手渡された。
とはいえ手渡された時点では気づかず、テーブルの上に紙袋を置いた感触で、
「・・あ」
となったわけだが。
紙袋の中でコーヒーが半分以上こぼれており、カップホルダーの厚紙もぐっしょり。そして紙袋の底からポタポタとコーヒーが滴(したた)っていた。
カップを持ち上げてみると案の定、フタが外れている。
フタとカップの間に挟んであったサランラップがごわついているせいで、フタがしっかりと閉まらなかったのだ。
ましてやフタが再生紙か何かでできているため、カチッと閉めることができない。
(フタ閉めた時に気づかないものかね)
普通ならば、はめた時の感触で
「これは外れそうだ」
と分かりそうなもんだ。ましてやプラスチック製ではなく再生紙でできたフタだから、カップをつかんだだけでも外れる始末。
まぁこれは店側に問題がある。
費用的な問題か、あるいはエコに気を使ったのか分からないが、デリバリーに不向きなことくらい肌感覚として分かってほしい。
たとえ一度もデリバリーをしたことがないとしても、配達途中にフタが外れそうなことくらい、容易に想像がつくわけで。
そういえば、ウーバーイーツ配達員をしている友人がこんなことをつぶやいていた。
「配達員が下手な運び方してこぼれる場合もあるけど、店側がこぼれない工夫を、ほぼしていないというのもある」
「昔ながらのラーメン屋の出前、頼んだことある?どんぶりにラップを何枚も重ねて、ビターッて貼って運んで来る。こぼれた後の面倒くささを考えたら、あれくらいやるのが普通」
「でも今、汁物をあつかう店でそこまでやる店はほとんどない。理由は『自分では運ばない』から。こぼれたら配達員のせいだから」
なるほど、その通りかもしれない。
昔ながらのラーメン屋や中華料理屋の出前は、陶器製のどんぶりになみなみとスープが入っているが、幾重にも頑丈に貼り付けてあるサランラップのおかげで一滴もこぼれない。
むしろどんぶりごと渡されるため、店側もこぼれていないことの確認をしたうえで手渡すことができる。
この配達が可能な理由の一つに、器の硬さが挙げられる。
食べ終わったあと、ゴミとして廃棄できるように作られた紙やプラスチック製の容器では、ビターっとサランラップを巻き付けることができない。
なぜなら容器が柔らかいため、キツく巻こうとすると変形してしまうからだ。
ところがこれがどんぶりのような硬い容器であれば、サランラップで密閉することが可能。
よって、配達による大波小波でも汁はこぼれない。
とはいえ、食べ終わったあとの容器回収の手間や破損のリスクを考えると、陶器の皿でデリバリーをすることは現実的ではない。
ましてや本業は店内での飲食ゆえ、そこまでデリバリーのために力を注ぐわけにもいかないだろう。
そうなると、どうしても容器は汎用的なプラスチック製や紙となる。それゆえ、汁物やドリンクはこぼれやすくなる。
(まぁ仕方ないといえばそれまでだが)
過去に注文した汁物で、見事だと思った方法が二つある。
一つはミニペットボトルにスープが入っており、麺や具が器にセットされている状態で運ばれてきた。
これならばスープがこぼれる心配はないが、ペットボトルの費用を考えると、店にとっては負担になるのかもしれない。
もう一つは、ペットボトルの代わりにビニール袋にスープが入っていたバージョン。
これも、食べる際に容器へジャーッと流し込んで混ぜるのだが、ここで悲劇が起きた。
あれはたしか、辛ラーメンのような赤いスープのラーメンだった。
麺の入った容器にスープの入ったビニール袋の口をあて、ジャーッと注ごうとした瞬間ーー。
袋の口が完全に容器の中へ入っておらず、麺にバウンドしてテーブルや床へと流れ出ていったのだ。
大慌てで放出を止めようとするも、ビニール袋ゆえ勝手が悪い。
袋の口を上へ向けようとすると、ホースの口を狭めたときのように、さらに遠くへスープが飛び出ていく。
しかもスープが熱いので、直に触るとやけどしそうな勢い。
ーーこうして我が家のリビングは、真っ赤なスープで染まったのだった。
もしもこんなクレームがあったとすると、「安全に運ぶこと」だけでなく「安全に注ぐこと」まで気を使わなければならず、店にしてみれば頭の痛い問題となる。
結局のところ、ある程度は汁がこぼれることも承知のうえで注文しなければならない、ということだろう。
顧客だからと偉そうにあぐらをかいていては、デリバリー対応する店が減ってしまい、最終的には自分たちの首をしめる結果となりかねない。
・・にしても、楽しみにしていたコーヒーが半分も残っていないことに、憤りを隠せないわたし。
「てかさ、コーヒーくらい自分でいれなよ」
あぁ、耳を塞ぎたくなるセリフだ。
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