クリスマスカラー

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(うん、やっぱりうまい!)

 

わたしは今、ずんだ餅を食べている。

 

ずんだ餅ーー。

宮城県を代表する郷土料理の一つ。枝豆をすりつぶし、砂糖で味付けをした緑色の餡を絡めた餅。

ずんだ餅という名前には諸説あり、「甚太という農夫が創作した」という説や、「伊達政宗公が陣太刀の柄で枝豆を砕いた」という説、「豆を打つ音のことを『ずんだ(豆ん打)』と表現した」という説など、さまざまな言い伝えがある。

(参考:農林水産省「うちの郷土料理」)

 

ご存知の通り、わたしは抹茶が大好きだ。グリーンティーももちろん大好きだ。

そしてこちらもご承知の通り、わたしはモチやだんごといったもち米類が大好きだ。

三度の飯よりモチが好き。

 

つまり、美しい緑色でできている「ずんだ餅」は、わたしの大好きな要素でできていると言っても過言ではないのだ。

 

ちょっと待て!ずんだは抹茶ではない。枝豆をすりつぶしてペースト状にしたもののことだ!

 

まぁ落ち着け。そんな目くじら立てて反論するほどのことでもない。

ただなんとなく、こじつけるのにちょうどいい理屈だと思っただけのことだ。

 

とその時、自ら不審に思うペースト状の食べ物が脳裏に浮かんだ。

 

(うぐいすあんは、なぜ食べられないのだろう)

 

うぐいすあんーー。

青エンドウ(グリーンピース)を茹でたものをすりつぶし、砂糖で味つけした緑色の餡。

 

なるほど、だからか!これでスッキリした。

わたしの3大不好物は、牡蠣・あんこ・グリンピース。その一つであるグリンピースをすりつぶして作ったものなど、食べられるはずがない。

 

よって、同じ緑色のペーストであっても、「ずんだ」と「うぐいすあん」では天と地ほどの差があるのだ。

 

 

しかしずんだ餅はうまい。いくらでも食べられるーー。

 

とそこへ、玄関のチャイムが鳴った。

「ヤマトですー、クール便のお届けにまいりましたー」

 

そういえば、友人の紹介で予約していた「特製キムチ」が届く頃だった。

 

それにしてもさっきスーパーで、ずんだ餅か白米かで迷ったことが悔やまれる。どうせなら両方買えばよかった。そしたら届きたてのキムチを白米で山ほど食えたのにーー。

 

これは悔しい。まさかのキムチ到着にもかかわらず、白米の用意ができていないのだから。

 

「米、炊けばいいじゃん」

 

そんな野暮なことは言うもんじゃない。今すぐ食べたいのだ。

米が炊き上がるまで待つことなど、できないのだ。

 

わたしは、ビニール袋に詰められた特製キムチをポンとテーブルに置いた。

(うまそうだ)

間違いなくうまいだろう。これを食べずして、友人にお礼など伝えられるはずもない。

 

ーーそうだ、誠意を示すためにも食べよう。

 

ビニール袋の結び目をほどくと、わたしはダイレクトに割りばしを突っ込み、白菜キムチをパクパクと食べ始めた。

 

(うめーーー!!!)

 

想像どおりのうまさだ。これは白米などなくてもいい。キムチだけで十分うまい。

 

とはいえ500グラムのキムチを半分ほど食べたところで、ちょっと他のものと一緒に食べてみたい衝動に駆られた。

 

そうだ、ずんだ餅に巻いて食べてみよう。

 

そもそもモチはもち米でできているわけで、もち米と言えば白米の親戚だ。

また、ずんだは枝豆をすりつぶしたもので、もとはと言えばシャキシャキ新鮮、ビールのおつまみに最適な野菜である。

 

ということは、白菜でできているこのキムチと枝豆は、野菜つながりの仲間と言える。

そしてキムチを白米に乗せる代わりに、親戚であるもち米に乗せるだけのことで、大した違いはない。

 

モグモグ

 

(なんだこりゃ!予想以上にうまい!!)

 

白菜キムチを広げ、その上にずんだ餅をセットしたらクルクルと包む。

それをポイッと口へ放り込むと、なんとも不思議な味が。

 

メインはキムチだ。それは圧倒的なピリ辛キムチの存在感が勝るに決まっている。

しかし噛みごたえといったら断然モチだ。

そしてほのかに感じる、舌にまとわりつく甘ったるさはずんだの底力に違いない。

 

この相反する三者が奏でるハーモニーに、わたしは夢中になった。

 

(でもやっぱり、一度は白米で食べておきたいな)

 

そんなことを考えながらも、あっという間にキムチは胃袋へと消えて行った。

 

メロンに生ハムだの、酢豚にパイナップルだの、あれらを許容するのならば、「キムチにずんだ餅」もアリだ。

ぜひ一度、お試しあれ。

 

 

Illustrated by 希鳳

 

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