腰痛——季節の変化を知る指標

Pocket

 

ヒトには目に見えない能力・・というか感覚や機能が備わっている。それは「霊やUFOが見える!」的なことではなく、自らも無意識のうちに気圧の変化を感じ取り、その影響で体に異変が起きる・・というものだ。

 

(あぁ、本格的に秋が到来したんだな)

日中は半袖でも十分なくらい、まだまだ「寒い」とは言い難い季節が続いているが、わたしの腰は確実に秋の訪れを感じ取っていた——そう、なぜかわたしは、冬が近くなると腰痛を発症するのだ。

 

寒い季節限定で定期的に訪れるイベント、ぎっくり腰——。何の因果か、必ず冬のシーズンに起こるのだが、単に暑い寒いといった温度の問題ではなく、”季節が冬”になるとこのイベントに見舞われるのだ。

そして不思議なことに、3月になると——つまり、春が近づいてくると発症頻度はめっきり減り、いつの間にかぎっくり腰という負のループから抜け出せるのである。

 

「偶然にしては計画的だな」などと思いながらも、ハッキリとした理由は分からないまま過ごしてきたわけだが、ついにここ最近、またもや腰に違和感を覚えるようになったわたしは、その理由について調べてみた。

するとどうやら、”気温の変化による自律神経の乱れ”が関わっていることが分かった。

 

自律神経とは、自らの意志とは関係なく体を自動的に調整してくれる神経のことで、交感神経と副交感神経の二つに分けられる。

交感神経は、車でいうところの「アクセル」に当たり、緊張状態や活動モード中に優位となることで、心拍数や血圧を上げたり筋肉をこわばらせたりする機能を持つ。逆に、副交感神経はブレーキの役割を果たすため、血管が拡張し筋肉が緩むことでリラックスモードに入りやすい。

そして、昼夜の寒暖差といった温度変化は交感神経の緊張を誘発することから、血管収縮→血流低下→筋温・柔軟性低下→痛み誘発・・というフローにより、腰痛を発症することについての仮説が立つわけだ。

 

さらに、極端な気温差に翻弄された体が「暑い?寒い??」と混乱し、自律神経が忙しく働き続けることや、日照時間が短くなり体内時計のリズムが崩れることが原因となり、自律神経の切り替えが乱れやすくなる=見えないストレスの蓄積がトリガーとなり、痛みを感じやすい状態を作っている可能性もある。

 

いずれにせよ、自律神経の働きに起因するものなので、当然ながら鈍感なわれわ人間がそれらの変化に気づくことはない。それでも、腰痛という症状となって現れるのだから、ヒトの体はつくづく不思議なバランスで保たれているのだ。

そして、なぜこのことが原因だと特定できるのかというと、腰痛を感じながらも運動をすると、不思議と痛みが消えるからである。

その仕組みとは、運動により血流が増え酸素や栄養が筋肉に行き渡ることで、疲労や炎症にともない発生する化学物質(乳酸やブラジキニン、ヒスタミン、サイトカイン等)を押し流していく。その結果、代謝によりそれらの物質が処理され、腰の痛みが和らぐ・・という流れ。

 

こうなると「怪我により腰の筋肉や神経を痛めている」とは考えにくく、慢性的な腰痛・・すなわち「季節の変化による自律神経の乱れが原因の腰痛」と結論づけることができるのだ。

そしてこればかりは、逃げも隠れもできない圧倒的な影響力を及ぼすわけで、もうすでに「冬場のぎっくり腰」を警戒するあまり、半袖姿のまま気分が滅入るわたしなのであった。

 

だが一つだけ、今年に限って「僅かな期待が持てるアイテム」を手に入れたことを忘れてはならない——そう、拷問アイテムといっても過言ではない、シャクティーマットの存在を。

あの針の筵(むしろ)に寝転ぶことで、刺激により体内が活性化し血流が改善される。それと同時に、副交感神経が優位になることでリラックスモードに突入し、体の緊張がほぐれて痛みの緩和に効果を示す可能性がある。

(・・よし、地獄の痛みの先にある、わずかな光に期待しよう!)

 

 

今年の冬こそ、ぎっくり腰発症回数の「最低記録樹立」に期待したいのである。

 

Pocket