虫vs動物

Pocket

 

虫vs動物という構図で真っ先に思い浮かぶのは、「セミを食うカピバラ」だろうか。

とある知人がカピバラを自宅で飼育しているのだが、ある時たまたまセミを食する愛鼠(カピバラは齧歯類に属し、世界最大のネズミである)の姿を発見したのだそう。通常ならば、地面に落ちているセミをバリバリと食べていたら「こら、やめなさい!」と注意したくなるものだが、彼はカピバラ飼育暦および飼育頭数が豊富であるため、その行為を「動物性たんぱく質の補給」と捉えて見守った。

セミというのは、高たんぱく・高エネルギーな昆虫のため、栄養補給にはもってこいのサプリメント。しかも、サイズ感がちょうど食べやすい大きさであることからも、カピバラのみならず奈良公園のシカですらつまみ食いをすることも・・。

そんなわけで、草食動物と呼ばれる彼らでも、本能的にあるいは興味本位で昆虫を口にすることがあるわけだ。

 

普通に考えれば当たり前のことだが、”野生の草食動物が虫を口にしない”なんてことはあり得ない。好んで食べるかどうかではなく、草や木の実を食べる際に、そこへ付着している虫や微生物が自ずと体内へ取り込まれるわけで、人間のように「虫がついてたら取り除く」などという器用なこと(?)はしないからだ。

しかも、水中で排泄をするカピバラは、場合によってはその水を飲んだりもする・・という事実を聞いて、「そんな汚い環境、かわいそう!」などと思わないでもらいたい。彼ら・彼女らが自主的にそうしている上に、われわれ人間とは異なる腸の作り(例えば、セルロースを分解する細菌や原生動物を盲腸に多数有するなど)をしており、それが自然な行動だからだ。

 

・・というわけで、「完全草食動物」という生き物はおそらくこの世には存在しないだろう。まぁ言葉の綾というか、「昆虫や微生物の付着は当然」という前提でカテゴライズするならば別だが。

いずれにせよ、虫vs動物といえば「セミvsカピバラ」が想起されるわたしなのである。

 

そしてもう一つの戦いは、「デカい蜘蛛vsネコ」である。たまたまSNSで見かけた光景なのだが、自宅でタランチュラのようなデカい蜘蛛を発見した家主が、悲鳴を上げながら飼い猫を呼び、それに応じてやって来たネコが一瞬にして蜘蛛を叩き潰す(抑えつける)・・というものだった。

ネコにとって蜘蛛はおもちゃのような存在なのだろう。適度な大きさで不思議な動きをする蜘蛛に興味津々のネコは、持ち前の”狩猟本能”を発動させることで蜘蛛を捕獲するのだが、この世で最も苦手な生き物が「蜘蛛」であるわたしにとって、これは神に値する行動でもある。

 

もちろん、一般的には「蜘蛛は益虫であり、駆除するものではない」と言われているのは知っているが、だからといってそれを許容できるほどの度量というか寛大な心を、残念ながらわたしは持ち合わせていない。どんなに小さな蜘蛛であっても視界に入った瞬間、体が凍り付き全身に殺意が走るのだ。

(ペット禁止のマンションではあるが、害・益虫駆除装置としてならば認められるかな・・・)

 

それにしても、ネコが見せるしなやかな身のこなしと瞬発力、あれはまさに神がかっている。しかも、イヌに蜘蛛を見せても無視するか怖がって逃げるかの二択だが、ネコならば果敢に挑んでいくわけで、その狩猟本能は本物であり称賛すべき価値がある。

おまけに、蜘蛛のみならずゴキブリすらも加えてくる俊敏さ・・いや、勇敢さに対して、愚鈍で臆病なわれわれ人間は脱帽するしかない。いかんせん人間ときたら、ギャァギャァ騒ぎながらゴキブリ一匹に翻弄させられるというのに、ネコは冷静かつ一瞬にしてそれを捕えてしまうのだから、生態系のピラミッドで示すならばネコのほうが上でいいだろう。

 

 

というわけで、ふと思い浮かんだ「虫vs動物」の構図について綴ってみたのである。

 

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です