「ハンモックの正しい寝方など、あるはずもない」とほざくド素人たちへ

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昨日、念願叶ってハンモックをベランダに設置したわたしは、喜び勇んで寝転んだところ、その微妙かつ確実な横揺れに三半規管をやられてしまった

ハンモックで船酔い状態になる・・という症状についてネット検索すると、多少はそういったコメントも散見された。だがあくまで少数意見であるため、"ハンモックに揺られてウィーンの風を感じる夢"は、わたしには手の届かない贅沢だったのだ・・と諦めていたところ、コラムを読んだ友人からこんな助言があった。

「僕もハンモックを買ったばかりの頃は、ハンモック酔いと腰痛を経験しました。それは、ハンモックの寝転び方を知らなかったためです」

そしてメッセージとともに、とある動画のリンクが送られてきたのだ。

 

それを読んだ直後、わたしは思わず鼻で笑ってしまった。

(フン、寝転び方もクソもあるもんか)

そもそも他人を信用しないわたしは、そんな安易かつ単純な理由で、あの三半規管をかき乱す揺れを防げるもしくは克服できるなど、到底信じられない。とはいえ、せっかく友人がアクションを起こしてくれたのだから、とりあえず試すだけ試してダメだった報告をしておこう——。

そう思いながら、リンクをクリックしたのである。

 

動画の主はメキシコに造詣の深い人物で、現地でメキシコ人から"ハンモックの正しい使い方"を習い、それについてまとめたものだった。彼は流暢なスペイン語で会話をしつつ、おもむろにハンモックへ横になると、

「多くの人がこんな風に真っすぐ寝てると思うんですけど、(これだと)背中が痛いだけなんです」

と言いながらこう続けた。

「で、教えてもらったんですけど、こんな風にね・・ハンモックの中で斜めに寝るんですよね。そうすると背中がほぼ真っすぐになり、沈みこまないので痛くならないんですよ」

 

——そんなバカな話があるだろうか。ハンモックといえば、バナナの中身のように真っすぐ寝るのが当たり前の姿勢である。その証拠に、ハンモックでくつろぐ人々の画像を見ても、誰もが縦になり真っすぐ寝転んでいるわけで、斜めに寝るなどお行儀の悪い子どもくらいだ。

しかも、腰痛がどうなのかは分からないが、この圧倒的かつ絶対的な横揺れを防ぐことなど、ハンモックを固定しない限り不可能。それを"斜めに寝る"だけで克服できるとは、にわかに信じがたい。

 

ちょうど出掛ける間際の忙しい時間帯だったので、帰宅してからこの方法を試そうと思ったが、とはいえこんなバカバカしい検証を後回しにするのは精神衛生上よろしくない。

そこでわたしは、解説通りに横たわり「ほらね、わたしには通用しなかったよ」という事実を証明することにした。

——他人を疑うのはいいことではない。だからといって、無防備に信じ込めば損をするのは自分である。友人との関係性を保つ意味でも、助言を無下にはできないわけで、とりあえず指示通りに試した結果、残念ながらダメだったよ・・と、優しく礼を言うことにしよう。

 

(ハンモックに対して、真っすぐではなく斜めに寝転ぶ・・と)

1ミリも信用していないわたしは、「ハンモックの寝方を変えたところで、酔いを回避することはできない」ということを証明するべく、静かに横になった結果——

 

(ヤバイ、全然気持ち悪くない・・・・)

 

全くもって信じられないが、まるで嘘のように三半規管が安定しているではないか!!!ハンモックへ斜めに寝そべることで、不安定な荷重バランスが落ち着くのだ。むしろ、ほぼ揺れていないといっても過言ではないほど、"雲のベッドに横たわった状態"のわたしは天を仰いでこう呟いた。

(おぉ、神よ。他人は信じるものですな・・・)

 

 

これは都市伝説的な話ではなく、物理的な"真理"である。そして、組み立てたばかりのハンモックを捨てようとしていたわたしは、すぐさまその考えを改めた。

 

(これでようやく、ウィーンの風に吹かれながらザッハトルテに舌鼓を打ちつつ昼寝をする・・という夢が叶う!!!)

 

・・なんとも帰宅が待ち遠しいのであった。

 

llustrated by おおとりのぞみ

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