どうしても覚えられない二つのこと

Pocket

 

いわゆる普通の人間だって、時として「どうしても覚えられないこと」の一つや二つはあるだろう。そしてこの凡庸なわたしにも、どうしても覚えられないことがある、しかも二つだ。

こればかりは、何度聞いてもどれほど覚えようと努力しても、なぜか決して覚えることができない。おまけに、小難しい数式だとか聞き慣れない外国語だとか、そういった類のものではないわけで。

そもそも覚えにくいものではないにもかかわらず、わたしにとってはどうしても区別がつかないから不思議なのだ。

 

その二つとは、「今が何世紀か分からない」ということと、「もも肉とむね肉の違いが分からない」ということだ。

 

 

今が何世紀なのか、聞かれることもないから余計に分からなくなる・・というのはあるが、少なくともわたしが生きている間は今の世紀が変わることはないのだから、一度覚えたらそれで充分のはず。

それでもなぜか、「あれ?今って何世紀だっけ」と考え込んでしまうことがあるのだ。

といっても、まるで何世紀か分からないわけではない。正確には、二択のどちらかで迷うのだ。20世紀か、21世紀か——。

 

これには大きな原因がある。それは、2000年と2001年つまり20世紀と21世紀のいずれをも、わたしは生きてしまったからだ。

今こうして文字にすれば、「あぁそうか、今は21世紀だ」とすぐに分かる。だがしばらくすると、果たして今は20世紀なのか21世紀なのか、判断基準が分からなくなるのである。

(2024年だから・・・20世紀か?)

なぜか毎回、このような考えに至るのだ。

 

まぁ、さほど頭がよくないから・・ということで一件落着だが、それでもどうにかして今が21世紀であることを覚えたい、というか理解したいのだが、何度挑戦しても忘れてしまうのだ。

そのたびに、誰かに聞いたりアレクサに尋ねたりするのであった。

 

これと似たようなことで、西暦と和暦の関係性もなかなか覚えられないが、これについては多くの日本人が同様の悩みを抱えているだろうから、さほど気にしてはいない。

仕事柄、履歴書に目を通すことが多いが、そこに記載された生年月日が西暦だったり和暦だったり統一されていないことで、翻弄されることがある。

それでも、専用ソフトに入力すると自動的に和暦と年齢が表示されるため、そこで初めて「この二人は同級生なのか・・」と分かるのであった。

 

・・・そんなこんなで、今が何世紀なのか、そろそろ忘れる頃だろう。

 

 

そしてもう一つの覚えられない項目である「もも肉とむね肉」については、どちらがどういう肉質なのかが覚えられないのである。

「パサパサとしっとり、どっちがどっち?」

「脂が少なくてダイエットに向いているのは、どっち?」

「値段が高いのは、どっち??」

イマドキは低温調理で、パサパサな肉もしっとり仕上げられるようだが、たとえばレストランで注文するときに、そもそもどちらがしっとりしているのか知っておきたいもの。

それが、何度聞いても覚えられないのだ。

 

「・・・えっと、わたしはどっちを頼めばいいんだっけ?」

「あなたが好きなのはもも肉だけど、今は減量中だからむね肉を食べるの」

わたしから何度も同じ質問をされる友人は、もはや説明付きで解説してくれるわけで、判断に困ったら彼女に聞けばいいのである。

それでも、なにかの折に「あれ?わたしが好きなのはどっちだっけ・・」と迷うことがあり、そんな時はいつでも両方頼んでいる。

 

どうせ同じ鶏肉なのだから、もも肉とむね肉でさほど違いはないはず。それでも、名称も金額も異なるのだから、やはり知っておくべきだろう。

牛肉のようにリブロースだのサーロインだのヒレだの、そもそもの部位が厄介なほど分けられているならば、多くの人間が覚えられないことであり問題ない。

しかし鶏肉は・・というか、もも肉とむね肉の二択であるにもかかわらず、何度聞いても忘れてしまうのだから、脳の障害を疑わざるをえないのだ。

 

(最終的には、両方食べれば違いが分かるからいいか・・)

 

そんな考えだから、いつまで経っても覚えないのである。

 

 

というわけで、"どうしても覚えられない二つのこと"について紹介してみた。

だが、こうして文字にしてみると「なんだ簡単なことじゃないか」となるが、明日にはもうきれいさっぱり忘れているわけで、自分自身のこととはいえ、己の忘却力に驚かされるのであった。

 

Illustrated by 希鳳

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です