シティーハンターの真骨頂

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令和のいま、改めて視聴しても古さを感じさせないアニメというか、エンディング曲と声優の声に感動を覚えたわたし。

そのアニメとは、CITY HUNTER(シティーハンター)だ。1987年にテレビアニメとして放送されてから、2023年の劇場版シティーハンターまで、いつの時代も視聴者を魅了してきたこのアニメは、下ネタ具合いは置いておいて「名作」といえるだろう。

 

とはいえ、今のご時世では地上波でこのアニメは流せない気がする。話のほとんどでおっぱいやおしりを触ったり、下着姿やスカートからパンツがチラリ・・となれば、完全にネタであったとしても、クレームの嵐は目に見えているからだ。

それよりも、こんなにも自由に銃を撃ち合う日本社会があるということに・・というか、そういう発想に驚かされた。

 

銃所持者ゆえに感じることではあるが、こうも簡単に銃を持ち歩くことなど不可能である。おまけに、作中ではコインを溶かして弾丸を作るなど、火薬取締法に抵触する場面も登場する。

さらに設定では、自宅地下に射撃練習場を設けており、実弾・実銃による射撃練習が可能。当然ながら、現実ではありえないシチュエーションであり、アニメならではの設定といえる。

 

だからといって、これらの設定に問題はない。

「子どもに悪影響を与える」

「誰かが真似したらどうするんだ」

などというくだらない屁理屈をこねる人間もいるだろうが、むしろ、現実か否かを判断する力を養うことのほうが重要である。

100トンのハンマーで殴られても平気だったり、ビルから飛び降りても無傷だったりするのが、二次元の世界だから描けるのだ・・ということが分からないのならば、「それこそが非現実だ」ということを教えるのが、親や教師の役割だからだ。

 

まぁくだらない与太話は置いといて、個人的には使用する拳銃がオートマチックではなくリボルバーである点が、アニメとして分かりやすいし臨場感ある演出になっていると感じた。

リボルバーは回転式拳銃のことで、シリンダーに6発の弾を装填できる。そして弾の数が視認できるあたり、拳銃としての臨場感が溢れるし、撃発のたびにシリンダーが回転するあたりも、パッと見で分かりやすいのだ。

 

ではなぜ、シティーハンターはセミオートの拳銃を使わないのかというと、当時の殺し屋を稼業とするプロは、弾詰まりのリスクを考慮してリボルバーを使っていたのではないか・・というのが、わたしの予想である。

現代ならば、リボルバーよりもコンパクトで、サプレッサー(消音装置)を装着しやすいセミオートのほうが実用的だろうが、40年前はまだリボルバーのほうが使い勝手が良かったのだろう。

 

・・おっと、話がアニメの内容に寄ってしまったが、なによりもわたしが感動したのは、エンディングテーマであるTM NETWORKの代表作「Get Wild」が、未だに色褪せることなく、カッコいいエンディングを演出していることだった。

 

今年でデビュー40周年を迎える彼らは、メンバーの年齢も65歳ということで、ある意味シニアの域に差し掛かっている。それでもあのイントロが始まると、どこかワクワクするような感覚に心躍らせるわけで、まさに名曲といえるのだ。

ちなみに、彼らの昨年のライブ動画を視聴したのだが、ボーカルの声は当時と変わらぬ若々しさと声量があり、まったく衰えを感じさせないクオリティーだった。

40年経っても変わらぬエネルギーを放ち続けている・・というのは、まさにプロでありこれこそがアーティストなのだろう。

 

さらに、Get Wildと同じくらい驚かされたのは、昨年公開された「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」で、主人公のキャラクターボイスを担当した神谷明氏の声だ。

神谷氏はテレビアニメの当時から、主人公である冴羽獠の声を担当していた。そして御年77歳(収録当時)にして、40年前と同じ声を乗せている事実に驚愕した。

 

77歳で二十代の声をキャラクターに乗せることができるなど、にわかに信じられない。

普通ならば、やはりどこかに年なりの弱々しさや衰えを感じるはずだが、そこはさすがにプロの仕事である。飄々とした冴羽獠がしっかりとそこにいるわけで、神谷氏の年齢を知らなければ、ごく自然に若手声優が声を当てているのだろう・・と勘違いするほどだ。

 

やはり歌にしろ声にしろ、衰えを微塵も感じさせないのがプロなのだと、改めて思い知らされたのである。

 

 

日本が誇る漫画・アニメの文化は、作者やアニメーターだけでなく、声優やテーマソングによっても支えられている。

何年経っても・・いや、何十年経っても色あせない感動を、これからもたくさん味わいたいものだ。

 

Illustrated by 希鳳

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