東京駅で使えない、Suicaの謎

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なんだかなぁ・・とガッカリする出来事があった。まぁこれも、大企業ならではの後手後手感というか、システム上のしがらみというか、利用者からすると「なんで?」という言葉しか出てこないわけで。

東京駅は大混乱、いや、大混雑していた。遠方からゴロゴロと轟く低音を発しながら、ものすごい数の観光客がこちらへ迫って来る。「敵、襲来!」と叫びたくなる怪しい集団が、スーツケースを引きずりながら一斉に角を曲がったわけで、あれは間違いなく"お国柄"が現れている。一糸乱れぬ曲がり方と、地響きの如く鳴り響くキャスターの回転音に、われわれ日本人は度肝を抜かれた。

(すげぇな・・どこへ行くんだろう)

恐怖と物珍しさに目が釘付けとなる。しかし彼らは、そんな日本人などお構いなしに、颯爽とスーツケースを引きずりながら丸の内方面へと去って行った。

 

東京駅構内にたむろする人間の多くは、当然ながら日本人だと信じたいが、土産物売り場でも茶漬け店でも聞こえてくるのは中国語ばかり。とくに中国人の声量が大きいからかもしれないが、団体行動を常とする彼らの声はよく通るのである。

日本で買い物をし、食事をとり、スイーツを楽しむ彼らには感謝しかない。我が国にカネを落としてくれる、素晴らしいお客様なのだから。しかし、もしも店員が中国人で客も中国人、さらに店内の客がわたし一人だった場合、彼らが徒党を組んで中国語で会話を始めたら、わたしは完全に蚊帳の外である。注文するにも、中国語で問いかけられたら答えに窮するわけで、すごすごと店を後にするしかない。

・・なんてことにはならないだろうが、それでも、ここまで多くの外国人が東京駅に集結している事実は、感動や驚きとともに"警戒すべき隙間"があると捉えておくべきだろう。

そんな諜報員のような考えで外国人を一括りにするわたしは、最低な日本人である。だからこそ罰が当たったのだろうか、義眼の調整で半蔵門までやってきた母を見送るべく、新幹線乗り場への入場券を購入する際に、謎の意地悪をされた。

"意地悪"というと聞こえが悪いか。なぜなら、駅員だって望んでそうしているわけではないのだから。しかしなぜ、JR東日本の大御所駅・東京のみどりの窓口で、入場券をスイカで支払うことができないのだろう。

 

「ではこちらに携帯電話をのせてください」

ここまでの乗車記録を確認するべく、モバイルスイカ搭載のスマホを端末機器の上に置くよう指示されたわたしは、素直にそれに従った。

「入場券のみで150円です。現金かクレジットカードでお願いします」

(・・・え?)

現金など持っているはずもないが、よりによってSuicaも使えないとはどういうことだ?「Suicaを読み取る端末がないので・・」ということならばまだしも、いま目の前でモバイルスイカを読み取っているのだから、そこから150円を差っ引いてくれればいいじゃないか。

それなのになぜ、わざわざ現金かクレジットカードしか使えない・・だなんて意地悪をいうんだ——。

 

かつて大阪で、

「JR東日本とJR東海との間で、システムの連携ができていないからSuicaは使えない」

と言われたことがある。だがその後、両社は仲直り(?)したため、今では大阪でもSuicaを使うことができる。

さらにここは東京駅、Suica発祥の地である(私調べ)。それなのになぜ、入場券の購入にSuicaが使えないのか。たとえるならば、西武デパートでクラブ・オンが使えないとか、セブンイレブンでnanacoが使えないとか、そんなバカげた話はないだろう。にもかかわらず、天下の東京駅でSuicaが使えないとは、なんたるお粗末——。

 

「カネならSuicaにたっぷり入ってるんだけど」

強張った表情で、そう駅員に告げるわたし。

「あ、あぁそうですか。しかしSuicaは使えないので・・・」

(・・チッ)

やむを得ず、いざという時のクレジットカードを取り出すと、嫌味と同時に差し出した。

「なんでSuicaで払えないんですかね? これじゃ意味ないですよねぇ」

駅員は「そうですね」と乾いた返事をすると、わたしを無視するかのように黙々と150円の決済作業を行った。

システム上の都合なのだろうが、それにしても理解しがたい話である。

 

サムネイル by 希鳳

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