絵も声も気に入らない、名作アニメの実力

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——そんなに文句を言いたいのならば、見なければいいだろう。見た揚げ句に文句ばかり垂れるなど、理不尽だし意味不明じゃないか!

・・なんのことかというと、Netflixが勧めてくるアニメについて、なぜかわたしは視聴しながら文句ばかり呟いているのだ。

 

仕事のBGMとしてアレクサでアニメを流すのが、わたし流の集中のしかた。舐めているわけではないが、仕事をするにも原稿を書くにもピアノを弾くにも、なんらかの映像と音声が流れていないと集中できないのだ。

普通は逆だろう。だがなぜかわたしは注意力散漫ゆえに、ザワついていたり浮ついていたりするほうが集中できるのだ。ちなみに、物音がうるさいと感じるときは集中できていない証拠で、アニメを爆音で流していても、内容などまったく記憶に残らないまま数時間が経過していることはしょっちゅうある。

そのため、「見たことがある」とは言えない状態で最終話まで見終わってしまったアニメが何本もあるわけで、まさに空気のようなBGMなのだ。

 

——話を戻そう。あらゆるジャンルのアニメを見尽くした(といっても、記憶に残らない視聴の繰り返しではあるが)わたしに対して、Netflixが次々とオススメのアニメを紹介してくる。

最近のお気に入りは「魔法系アニメ」のため、魔術師や魔王、魔人、妖精、魔女、異能力者などなど、非現実的な登場人物で溢れかえる作品ばかりを流し見してきた。

 

アニメの時点で異次元である上に、さらに魔術を使えるとなればそれこそ異世界の話である。だが、あり得ない設定だからこそ憧れるし、ついついのめり込んでしまうのだ。

(あぁ、わたしにも魔術や異能力があれば、リモコンに触れずとも消灯できるのに・・・)

もしかしたら——という淡い期待が拭えないわたしは、何度も何度も部屋の照明を睨みつけながら「消えろ!」と力んでみたり、洗濯機に衣服を入れすぎて沈まないシャツを見つめながら、「沈め、沈め!」と念じ続けた揚げ句に「すすぎ」に移ってしまったため、しぶしぶ手洗いしたりと、己のまだ見ぬ能力を顕現させるべく努力を怠らない日々を過ごしている。・・まぁ、とくに魔術や異能力とは関係ないが。

 

そして本日のオススメは、「コードギアス 反撃のルルーシュ」というアニメだった。「ギアス」と呼ばれる魔法というか能力を授けられた主人公の男子高校生が、仮装の超大国「神聖ブリタニア帝国」を崩壊させて、愛する妹の安寧を手に入れるために戦いを繰り返すストーリー。

ちなみに、コードギアスは「名作」とされており、これまで見たことはなかったがタイトルは聞き覚えのあるものだった。さらに、登場人物のセリフがネットミームで使われるなど、多くの人々から評価されている作品なのだ。もっとも有名なセリフである、

「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!!」

などは、他のアニメキャラに発言させるなど、汎用性の高いセリフとして有名。初めてこの言葉を目にしたとき、当然ながらなんのことかは分からなかったが、今日、ようやくその謎が解けた。

 

・・と、ここまでなんの問題もないのだから、コードギアスのどこにこだわる必要があるのかというと、非常に言いにくいことではあるが、いかんせん絵が気に入らないのだ。

絵というのは好みが分かれるため、誰もが気に入るアニメというのは存在しない。よって、わたしが気に入らないからといって、その作品が良いとか悪いとかいう基準にはならない。その上で、どうしても絵が気に入らないのである。

 

とはいえ、どうせBGM代わりに流し見程度の視聴方法なのだから、絵が気に入らなくても音声だけ聞いていればいいじゃないか——。と思ったのだが、これまたどうしたことか、キャラクターボイスが気に入らないのだ。

(ん~~、ちょっと違う気がする・・)

(ぬぅぅ、キャラのイメージと違うんだよなぁ・・)

チラチラと画面を見ながら、声とキャラクターとの違和感にヤキモキする。慣れればなんてことはないのだろうが、今のわたしにはそれを受け入れるだけの余裕がない。このままでは仕事が手につかないではないか——。

 

こうして、イライラしながらも時は過ぎ、気付けば最終回を迎えていた。絵も声も気に入らず、おまけに仕事も捗らない状態で、なぜかわたしはコードギアスを見終えてしまったのだ。

そして最終回の最後、思わず「あぁ、そういうことだったのか・・」と声が漏れた。主人公らは何度も裏切ったりすれ違ったりと、展開が二転三転する内容ではあったが、よりによってこのような終わり方で着地させるとは、驚きとともにある種の清涼感を覚えた。

 

とどのつまりは、絵や声が気に入らなかろうがなんだろうが、コードギアスというアニメが名作であるがゆえに、文句を言いながらも最後まで見続けてしまったのだろう。

 

 

・・・ところで、「さようなら、ユフィ。たぶん、初恋だった・・」というセリフがあったが、まさか主人公の初恋がユフィだったとは知らなかった。もう一度、最初から見返す必要があるのかもしれない。

 

Illustrated by 希鳳

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